仕事とワイン
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キッチンに行くとスノウとホワイトの言葉通りそこにはネロがいた。
「おはよう。ネロ」
「ああ、あんたか。随分と遅い起床だな」
「ずっと前に起きてはいたのよ。部屋で作業をしていたらこんな時間になってしまって…。何か食べるものを貰いたいのだけれど何かあるかしら?」
「忙しいやつだな。…食べれないものはあるか?」
「特にはないけどワインに合うものがいいわ」
「おいおい。昼間っから飲むのかよ。見た目に似合わず酒豪だな」
ゲルダの言葉にネロは呆れながら言った。
「厄災の傷の影響で夜には触覚が働かないから美味しいものは日が暮れる前に食べたいのよ。温かい料理もね…」
その言葉にネロはゲルダの顔を驚いた表情で見つめた。
「…そうだったのか。…分かった。食堂でちょっと待ってな」
「ありがとう」
ゲルダはネロの言葉にキッチンを後にし、食堂に足を進めた。
「…シャイロック、どこにいるかしら?」
「おや?私をお探しですか?」
呟きの直後、食堂の入り口から声が聞こえる。
ゲルダがそちらを見ればそこにはシャイロックがいた。
「シャイロック!ちょうどいいところに。少しだけ貴方のワインをもらってもいい?」
「おや、その荷物からするに、これから出かけるでしょう?いけない人ですね」
そう言ってシャイロックは悪戯に笑った。
「お酒は強い方だもの。大丈夫よ。それに帰るのは夜になってしまうし…、そうなるとシャイロックのお酒の良さは十分に味わえないし…。どうしてもダメ?」
首を傾げながら言うゲルダの様子に少し沈黙した後、シャイロックは微笑んだ。
「…分かりました。可愛いおねだりもされましたしね。すぐに用意しますよ」
「!ありがとう」
少しして
ゲルダの前にはネロが作った料理にシャイロックのワインが揃っていた。
ネロは夕食の仕込みにキッチンに戻り、この場にはシャイロックとゲルダだけが残っていた。
ゲルダはシャイロックのワインに手をつける。
昨日は感じなかった滑らかな舌触りに冷たい感覚が口の中をかけ巡り、ワインの味が口の中に広がる。
喉を鳴らして飲めばワインが食道を通る感覚をゲルダは感じることができた。
「……やっぱりこっちの方が美味しい…。やっぱりシャイロックのワインは最高ね」
そうしてゲルダは柔らかく微笑んだ。
「ふふふ…、ありがとうございます。本当にゲルダは私のワインがお気に入りですね」
「そうね。葡萄の渋みに甘み、酸味、滑らかな舌触りに色の艶、透明感、そして芳醇な香り。どれもをとっても素晴らしくて初めて飲んだ時から大好きよ」
「そんなに褒めていただけるとは光栄ですね」
「本当のことを言ったまでよ。それにあなたのお酒を気に入らなかったらあそこに通わないわ」
ゲルダは話しながらもネロの用意してくれた料理を口の中に入れていく。
こちらも絶品だった。
「ふふふ…、それもそうですね」
「今、あなたの店は空いていないけど、こうしてあなたのワインが飲めるのは私たち、賢者の魔法使いの特権ね」
「では、ゲルダの店が空いてなくともあなたの美味しい紅茶を飲めるのも、キセルの葉を揃えてもらえるのも私たちの特権ですね」
「ふふっ。そうね」
2人は互いに笑い合った。
「ごちそうさま。さて、私はそろそろ行かなくちゃ。帰りが遅くなっちゃう」
そうして手を合わせたゲルダの皿の上の料理はいつの間にか無くなっていた。
「そうですか。では、私もそろそろお暇しましょうか。気をつけて、いってらっしゃい」
「ええ。いってきます」
そうしてシャイロックはワイングラスとワインを持って食堂を出ていった。
ゲルダは食器をキッチンまで持っていくとネロがそれを受け取る
「ごちそうさま。ネロ。美味しかったわ」
「そりゃどうも。あんたこれから出かけるんだろ?洗い物は俺がやっておくから行ってこいよ」
「そう?じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうわね」
「ああ」
ネロの言葉を背にキッチン、食堂と出るとそうゲルダは真っ直ぐにカゴを持って魔法舎の入り口まで出る。
そして外に出ると箒を出し、柄の部分にカゴの持ち手を引っ掛けると、飛び上がった。