魔法使いと合コン
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しばらくすると考えがまとまったのか再び口を開いた。
「……いえ。オズを説得しましょう」
「わかりました。全力を尽くします、賢者様」
「決まったの。それでは、今夜はお開きじゃ」
「各自、空いている部屋で、好きに休むといい」
「片付けは私がするのでカップなどはそのままで結構ですよ」
双子の言葉に皆は解放されたようにゾロゾロと席を立った。
ゲルダはその様子を横目に見ながらティーセットを片付けていく。
おかわりの紅茶を入れておいたティーポットも大体が空になっていた。
1つ1つ手で片付けていくのは面倒なため魔法で一気に浮かせて台車に乗せていく。
「手伝おうか?」
「フィガロ…」
声のした方を振り向けばそこにいたのはフィガロだった。
「久しぶりだね。ゲルダ」
「本当にね。貴方が南の国で医者をやっているなんて驚きだわ」
「よく言うよ。知っていたくせに」
「ふふっ。そうね」
南の国に素材を集めに行った際にゲルダは街の人からフィガロの噂を聞いていた。
腕のいい魔法使いの医者が近くの街にいること。
そして名をフィガロということ。
それを聞いたゲルダは噂を確かめに帰り際、上空からフィガロのいる街を眺めながら空を飛んでいた。
その街には噂通り、フィガロの姿があった。
遠く離れていても視線に気づいたのかフィガロもこちらへと視線を向けてきて、お互い言葉も交わさずにゲルダはその場を去ったのだ。
「最後に会ったのは20年くらい前かしら?」
「相変わらず記憶力がいいね」
「そう?20年前のことくらい覚えていて普通よ。まあ1000年以上前のことも鮮明に覚えているから否定はしないけど」
「それに少し見ないうちにまた綺麗になった」
「ふふっ。口説いているの?」
「もちろん。君みたいな綺麗で強い魔女、そうはいない。今も昔も、俺は君が好きだよ」
「ふふっ、ありがとう。でも私はあなたのものになる気は無いわ。今も昔も変わらずにね」
「つれないな〜」
「片付けの手は足りているから自分の部屋を確保してきたらどう?ルチルやミチルたちは頼れるフィガロ先生の近くがいいんじゃないかしら?」
「ははっ、それもそうだね。じゃあ、俺は先に失礼するよ」
そうしてフィガロは食堂を去っていく。
それと同時にゲルダはティーセットを全て乗せた台車を押してキッチンに向かっていった。
キッチンにつけば手早く洗い物を済ませる。
その最中、シャイロックとネロ、そしてスノウとホワイトが入った額縁を持ったムルが揃ってキッチンに入ってきた。
「おや、ゲルダ。ここにいたのですね」
「ええ。ちょっと片付けをね。…ムル、どうしてスノウ様とホワイト様の額縁を持っているの?」
「スノウとホワイトの燻製を作る!」
「ゲルダちゃんからも何か言っておくれ!」
「このままだと我ら燻されてしまうのじゃ!」
「…乱暴になってもいいなら強制送還させますよ?」
ゲルダの言葉にスノウとホワイトはコクコクと頷く。
それを見たゲルダが指を一振りすればスノウとホワイトの額縁は姿を消していた。
ゲルダが魔法で彼らを彼ら自身の部屋に強制送還させたのだ。
「あー!せっかく面白いことになりそうだったのに…」
ムルは不満そうにゲルダの方を見ながら残念そうな声を出す。
そんな様子を目の端に入れながら、ゲルダはシャイロックたちの方を改めて向いた。
「それで、シャイロックとネロは何をしに?」
「朝食当番をネロに頼んだのでキッチンまで案内していたんです。これから料理器具の場所を教えたら部屋に戻るつもりです」
「そうだったのね。ネロは料理人だったのよね?明日の朝食、楽しみにしてるわ」
「…まあ、はい…、どうも」
「それで料理器具の場所よね?お皿やカップはあの食器棚に、鍋やフライパンは…」
ゲルダは魔法で洗い物やカップを乾かすのを同時に並行しながらネロに向かって軽く説明をする。
「他に何か聞いておきたいことはあるかしら?」
説明が終わった頃には全ての洗い物が終わり、乾いたカップやポットも棚に戻されていた。
「いや、大丈夫だと思う…。…それにしても西の魔法使いなのに並行魔法なんて器用だな」
「私、西の魔法使いって言っても生まれたのは北の国なの。それからも各国を回っているから、あまり国の色に染まっていないんだと思うわ」
ネロの言葉にゲルダは微笑みながら特別なことなど何もないという風に答える。
「好奇心旺盛なところは西の魔法使いらしいですがね」
「それは元からよ」
「そうでしたね。では、説明も終わりましたし、私たちも部屋に戻りましょうか」
シャイロックの言葉にゲルダたちはキッチンを後にした。