魔法使いと合コン
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「私は悪くない案だと思うわ。今回の被害を踏まえて、カインの言うことは一理ある」
「ゲルダと同じく我も悪くない案じゃと思う」
「我もじゃ。10人の新人魔法使いたちが、いきなり、実践では厳しいからのう」
「奇妙な影響のこともあるしのう。みなのもの、どうじゃ」
スノウの問いかけに東の魔法使いは一斉に嫌な顔をする。
「共同生活……?」
「ここで一年も……?」
「ちょっと勘弁して欲しいかな……」
しかし、東の魔法使いの中で、唯一、賛成する人がいた。
「オレは構わない。雨風がしのげればどこでも寝れる」
「おまえは?」
カインの問いかけにシノは口を開いた。
「東の魔法使いシノ。シャーウッドの森の番人。ブランシェット家の小間使いだ」
「……ブラウンシェット家って、ヒースクリフの実家?」
ファウストの言葉にヒースクリフはちらりと、シノを横目に見て、苦い顔で頷いた。
「……シノは幼馴染です」
ファウストはヒースクリフとシノを見比べて、眉を上げた。
「……。きみたち、自己紹介が下手か」
「いや、だって、手本がさ……」
「シノ」
ネロの言葉を気にせずファウストはシノを呼ぶ。
「なんだ」
「おい、敬語を使え。ファウスト先生は俺たちの先生だぞ」
「まだ何も教わってない。名前以外」
「授業料も貰ってない。おまえ、ヒースクリフの友人か」
ファウストの言葉を聞いてシノは軽くヒースクリフを睨んだ。
「友人じゃない」
その答えにヒースクリフの額に青筋が浮かぶ。
「ああそう」
急に険悪な雰囲気が2人の間に漂う。
互いに意識しながら、互いに目を合わさない。
「俺の主人は、旦那様と奥様だ。ヒースはたまたまその子供ってだけ」
シノの言葉にゲルダはヒースと呼ぶくらいなのだから仲が良かったのではないかと思ったが口には出さずに静かに紅茶を飲む。
暖かいはずの紅茶は味だけが口の中に広がるだけで温度を感じない。
ゲルダは周りに聞こえないように小さくため息をついた。
「そうだな。おまえもたまたま、うちの使用人だっただけだ」
「そうだ」
「あっそう」
「ふん」
まさに売り言葉に買い言葉状態だ。
「なに……?ケンカしてんの……?」
2人にネロが聞けば2人は声を揃えて別に。と素っ気なく言った。
「どうでもいい。シノ」
「なに」
「ヒースクリフは初陣だった。初陣で凄惨な光景を目にして、仲間を二人失った」
「………」
「………」
ファウストの言葉にシノとヒースクリフの表情は暗くなる。
初陣ではない自分でも辛いのだ。
ヒースクリフの心中を察してゲルダは目を伏せた。
「今夜だけは、優しくしてやりなさい」
「……わかった」
ファウストの声は自己紹介の時とは比べ物にならないくらい優しかった。
シノもその言葉に素直に頷く。
根は優しいファウストに内心微笑みながら彼らのやりとりをゲルダは見守っていた。
「よし。東の国の紹介は以上だ。次」
「じゃあ、うちから紹介するよ。その前に、ひとつ聞いてもいいかな?」
ファウストからのパスを受け取ったのはフィガロだった。
「あ……。どうぞ」
「前に選ばれた南の魔法使いたちは、全員、石になってしまったのか?」
フィガロの問いかけに、〈大いなる厄災〉との戦いに参加していた人たちは、みな、口をつぐんだ。