魔法使いと合コン
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ファウストはカップを置くと、目を伏せたまま、指先を組んだ。
長い間、黙り込んでいる。
「あの、具合が悪いようでしたら、無理なさらず……」
「東の魔法使い、ファウスト」
晶の気遣う言葉を遮ってファウストは簡潔に自己紹介をした。
「……他には?」
「ない」
クロエの質問をファウストはバッサリと切り捨てる。
「あ……。ファウスト先生は、東の魔法使いのまとめ役をしていてくれたんです」
見かねたように、ヒースクリフが控えめに付け足す。
ファウストは眉間の皺を深くした。
「先生なんて呼ばれる道理はないよ」
「でも……」
「二人、石になった」
かすれた声で、ファウストは告げた。
重苦しい沈黙があたりに満ちる。
その沈黙を破ったのはフィガロとレノックスだった。
「先の戦いで……」
「厄災の……」
「あ、先生どうぞ」
「いや、きみから」
「はい」
2人がゆずりあっている所に、リケが挙手をする。
何故か先生っぽくムルが指名した。
「はい、リケ。発言どうぞ」
「ファウストって、中央の国の建国に関わったと言われている聖なる魔法使いのファウストですか?」
ファウストは目も合わせずに即答した。
「人違いだ」
「でも……」
「……」
口籠るリケにファウストは何も答えようとしない。
「あ……。そういう魔法使いがいたんですか?」
「はい。人に尽くした高潔な魔法使いです。その方を見習うよう、司祭様に言われました」
リケは心底その魔法使いを尊敬しているように語った。
「次、ヒースクリフ」
この話はもう終わりだと言いたげにファウストはヒースクリフの名前を呼ぶ。
「あ……。はい。東の魔法使い、ヒースクリフです。……よろしくお願いします」
ヒースクリフは少し自信なさげに自己紹介をした。
「ヒースは年が近かったから、よく一緒に過ごしてた。あとで紹介します、アーサー殿下、リケも」
「わかった。よろしくな」
「よろしくお願いします……」
「あ……。はい、どうも」
初めて会う人に少々緊張した様子でヒースクリフは短く返事をした。
「次。順番に」
次にファウストは今回召喚された2人の東の魔法使いに挨拶を促す。
「じゃあ俺から……。ネロです。えー……、以上です」
「馬鹿なの。それだと何の情報も手に入らないだろ」
水色の髪の青年、ネロが先に自己紹介をするがファウストは呆れたように言った。
「あんたも同じような自己紹介だったじゃねぇか……」
「なに?」
ネロの言葉にファウストは彼を睨みつける。
「いや……。えーと、東の国で料理屋やってました」
「兄様、料理屋さんですって」
「すごいね。お料理得意なんだろうね」
「あ、どうも……」
ルチルとミチルの賞賛の言葉を軽く流してネロは話を続ける。
「そういうわけなんで、早く、帰りたいんだけど……。〈大いなる厄災〉が来るのは、年に一度だけだろ?その時には必ず顔を出すようにするよ。悪いけど、そういう感じでいいかな」
「構いませんよ。今までも賢者様以外は外で暮らして迎撃の際にだけ集まっていましたし……」
「いや、待ってくれ」
ネロの問いに答えたシャイロックの言葉をカインが遮る。
「これは改めて話し合おうと思っていたんだが、みなも知っての通り、今回の〈大いなる厄災〉の力は強かった。そのせいで、10人の仲間が石になった。同じ悲劇を繰り返さないよう、計画的に修行して、作戦を考えて、組織力を高めよう」
「……つまり?」
ネロがカインの言葉の先を促す。
「ここで皆で生活しながら、〈大いなる厄災〉の襲撃に備えるんだ」