魔法舎に火を放て!
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「……っ、風が……。大丈夫かな、賢者様……」
はじめて見る召喚の儀式にヒースクリフは驚きながら風に目を細める。
「安心せい。順調に儀式は進んでおる」
「今は賢者そのものが、掌理のゴブレットとなっておるのじゃ」
「「新たな魔法使いに、紋章を授けるために」」
双子の言葉が綺麗にハモる。
そして、しばらくすると次第に風が弱まり始める。
「ーーーー」
晶が何かを呟いた瞬間、十の光が『掌理のゴブレット』から飛び散り、あっという間に見えなくなった。
それと同時に風はピタリと収まった。
「……あれ……?」
晶は惚けたようにあたりを見回す。
「よくやったぞ、賢者よ」
「見事じゃ。十の光が『掌理のゴブレット』から、世界中に飛び散った」
「せ、成功したってことですか?」
双子の言葉に晶は不安そうに聞く。
「「そうじゃ、そうじゃ」」
「わっ……」
双子の声がハモり、晶の頭を撫でる。
晶が首をすくめると、急にずっしりと、ゴブレットが重くなるのを感じ、ふらつき、落としそうになる。
しかし、それを落とす前に、シャイロックがゴブレットを受け取って笑った。
「お見事でした。賢者の光に導かれて、新たな魔法使いの体に、紋章が浮かび上がることでしょう」
「紋章……」
「紋章が気になりますか?」
「…少しだけ」
自身の問いの答えを聞いたゲルダは着ているブラウスの左の腕をまくり、二の腕が見えるように露出させた。
そこには黒い百合の花に似た模様が浮かんでいた。
「これが紋章ですよ」
ゲルダが見せた紋章を晶は注意深く眺める。
「へぇ…。百合の花の形をしているんですね。…触っても大丈夫ですか?」
「ええ。問題ないですよ」
ゲルダの言葉に晶は彼女の二の腕に指を滑らせる。
すべすべの肌のにあった紋章は触ったところで取れたり、崩れたりする様子はなく、しっかりと肌に焼き付いていたようだった。
少しして晶はゲルダの紋章から手を離す。
それを見てからゲルダはブラウスの袖を下ろした。
「皆さんの身体にもあるんですか?」
「はい。ありますよ」
シャイロックはそう言うと笑みを含んで、自分の襟元を緩めて、ゆるく引っ張った。
そしてちらりと、晶に胸元を覗かせる。
左胸のあたりにゲルダと同じ模様が浮かんでいた。
人の胸元を覗き込むという行為と、シャイロックの色気に当てられて、晶は妙にどぎまぎしてしまった。
「あ……、ど、どうも……」
そう言った晶の顔は赤く染まっていた。
「おや。何故、赤面なさるのです?」
くすくすと機嫌良くシャイロックは笑う。
「かわいらしい方」
「そりゃ、女性にそんなところ見せたらそんなふうになるに決まっているでしょ?」
「おや、では、ゲルダはどうなんです?」
乱れた襟元にまだ少し見える胸元。
それらがシャイロックの普段の色気を倍増させている。
長年一緒にいるゲルダでさえ、その色気に当てられたことは例外ではないが、揶揄われるのは嫌だった。
「…どうでしょうね?」
シャイロックの問いにゲルダは心の内を悟られないように微笑んだ。
「教えてくださらないんですか?残念です」
そう言いながらシャイロックは笑った。
そして、シャイロックは晶の方に向き直る。
「紋章が出る場所は人によって違います。紋章が浮かんだ魔法使いたちは、各地にある塔から、ここに向かうでしょう」
「自主的に来てくれるんですか?あの、知らんふりされたりしないんですか?」
晶の最もな問いにカインが口を開いた。
「賢者の魔法使いが集わなければ、世界が消滅する。自滅願望がなければ、やってくるさ」
「もしあったとしても、世界中の魔法使いたちを敵に回して、行方を追われることになるからのう」
「無駄な抵抗はせんじゃろ」
賢者の魔法使いは世界救う役目を負わされた魔法使いだ。
彼らの他に自主的に世界を救う者は恐らくいない。
彼らが戦わなければこの世界は終わるのだ。
スノウとホワイトの言葉ももっともな話だった。
「そうなんてすね…」
「新しい仲間はどんな人か楽しみですね?」
「はい。そうですね」
ゲルダの言葉に晶はワクワクが隠しきれない様子で答えた。