第八章 冬のデート
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百瀬が飛び出した後、奏たちは万理の家で3人でケーキを食べ、クリスマスプレゼントと交換し合い、万理と奏は千に誕生日プレゼントも渡す。
奏はそのまま万理の家に泊まって…と、いつも通りのクリスマスを過ごした。
そして、クリスマスイヴから3日後。
クリスマスが過ぎた今、街はすっかり年越しモードである。
奏が働いているカフェも年始こそ休みではあるが年越しに向けて少し忙しい。
クリスマスは無理を言って休ませてもらったため、今日はバイトに顔を出していたのだが…
「珍しいね?」
「そう?」
千が1人でお店に来た。
1人だからと万理と一緒に来た時とは違い、奏は今回、カウンター席に彼を案内する。
「万くんはどうしたの?」
とりあえず水とお手拭きを用意しながら奏は千に問いかける。
奏の言葉に千はなんで、万?と言いたげな表情をした後、口を開いた。
「大掃除してる」
「手伝わなくていいの?」
「逆にいると邪魔って言われた」
千の言葉にその様子がありありと想像できた奏は、静かに笑った。
「ふふっ。万くんらしいね。それで追い出された千はここにお昼食べに来たの?」
「うんん。奏に会いに来た」
「…ん?」
聞き間違いかな?と奏は思い聞き直すが…
「だから、奏に会いに来た」
聞き間違いでは無かった。
「…昨日も会ったじゃん」
昨日、万理の家に3人で集まり、年明け1発目のライブの打ち合わせをしたばかりだ。
その時に明日は何している?と千に聞かれた奏だったが、会うためだったのかと今気がついた。
「会いに来ちゃダメなの?」
千はお手拭きで手を拭きながら不思議そうに聞いてくる。
「…別にダメじゃないけど…」
「奏のバイト終わりまでいるから一緒に帰ろ?」
「万くんの家と私の家真逆だよ?」
「連れて行きたいところがある」
(普段外に滅多に出ない千が私をどっかに誘うなんて珍しい…)
そんなことを思いながら、奏は千にどこに連れて行くつもりなのかと聞いたが…
「…行くまでの秘密」
そう言って千は悪戯に微笑んだ。
……少しかっこいいと思ってしまったのは奏だけの内緒である。
「…分かった。いてもいいけど、居座るだけじゃなくて売り上げに貢献してよ?」
「じゃあ、カフェラテ1つ」
「ん。了解」
数分後
「はい、どうぞ」
「これ…」
「ふふっ。よくできてるでしょ?頑張ったんだから」
奏が千に出したのはハートのラテアートがされたカフェラテ。
カフェラテなどの暖かい飲み物は夏にはあまり注文が無いため、奏は知らなかったがこの店は暖かいラテ系の飲み物にはラテアートのサービスがある。
高校のバイト時には夏休みしかシフトに入っていなかったが、高校を卒業してからは季節問わずシフトに入るようになったため店長に教えてもらったのだ。
教えてもらった当初は上手くできなかった奏だったが、根気よく練習し、今ではそこそこ難しいものでもできるようになっていた。
リーフなども書くことのできる奏だが、その中でもハートにしたのに特に深い意味はない。
強いて言えばハートはラテアートの基本であり、簡単だからであった。
しかし、そんな理由を知らない千は出されたラテアートにすぐには口を付けず、嬉しそうに眺めていた。