第七章 春原百瀬
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あの手紙をもらった日以来、千のライブに対する意識が変わった。
以前はやる気の無さそうな顔だったが、その瞳は今ではやる気に満ちている。
奏にとっては、随分前に付き合う女性を減らしていったこと以来の千の嬉しい変化だった。
そして、あの日以降、あの少年はRe:valeのライブに頻繁に現れるようになっていた。
更に、奏はあの少年のお姉さんもどの子か分かるようになっていた。
ウェーブのかかったふわふわの黒髪が特徴の可愛いらしい女性でいつも万理カラーのペンライトを振っていた。
しかし、あの少年はお姉さんの付き添いだけで来ているわけでは無さそうで1人で来ている姿を奏は何度も見かけていた。
(ファンになってくれたみたいで嬉しいことだ)
千と万理も付き添いではなく何度も足を運んでくれる男性のファンは珍しいからか興味を持ったようでスタッフから話を聞いていた。
「あの子が私が話していた子だよ」と奏が言うと2人は優しい子そうだもんなと納得したように頷いた。
彼の名前も聞かれたが奏も聞きそびれたといえば残念そうにした2人は記憶に新しい。
名前の知らないサッカー部に所属している男の子。
あの日の案内人の少年のあだ名はキャプテンになった。
時は流れ、今日は12月24日。
クリスマスイブであり千の誕生日である今日、ライブハウスでは毎年恒例のクリスマスライブが行われていた。
サンタを模した赤と白に彩られた衣装はこの日のためだけに作られたとっておきだ。
いよいよ最後の曲に差し掛かろうとしたその時。
「やめろこらぁ!」
怒号が聞こえ、奏がそちらを見てみれば見覚えのある男がステージに乗り込んで来た。
何かと因縁をつけてRe:valeに絡んできていたアーティストグループだ。
「おまえがジュリアを振ったせいであいつ、田舎に帰っちまったんだぞ?!ボーカル不在でライブに出られなくなったじゃねーか!どうしてくれる!!」
奏は万理をチラッと見るが彼は首を横に振る。
ということはこいつが言うおまえは千のことだろう。
千の女癖が悪いことは今に始まった事ではないが、最近は片手で足りるくらいには減ってきている。
あのファンレターの一件もあり、千なりに努力しているのだと奏は思っていた。
(相手に別れを告げようが、告白を振ろうが千にも選ぶ権利はあるんだから仕方がなと思うんだけど…。まあ、千のことだから言い方とかに問題があるんだろうな…)
同情はするけど時と場所は最悪だ。
そんなことを言うためだけにライブを中断させたことに、奏はイライラつき、早くステージから追い出して、お客さんを安心させてあげたかった。
そんなことを思っていると奏たちの前に黒い影が颯爽と飛び出した。
照明に照らされたその影は男達を容赦なくボコボコにしていく。
一瞬何が起きているのか分からなくて呆然と見ていたが、あまりの容赦の無さに我に返って3人で慌てて止めに入った。