第六章 新たな出会い
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初詣から約1ヶ月が過ぎた今日はバレンタイン。
奏は昨日のうちにプチチョコタルトとトリュフを大量に作成していた。
陸と天。
実に蜜柑。
雅季と彼のライブハウスのスタッフに向けてとなれば必然的に数は多くなるものだった。
万理と千には他の人とは別に甘さ控えめのガトーショコラを作っていた。
今日は定期検診のため、蜜柑と陸と天の分を持って奏は家を出る。
いつも通りに検診を終え、奏が蜜柑にバレンタインのチョコを渡せば彼女は今年も美味しくいただくわね。と言って笑った。
そして、検診後。
奏は今日も入院している陸の病室に足を運んだ。
「こんにちは~」
「あ!奏お姉さん!」
「こんにちは。奏さん」
「陸くん元気だね。調子いい?」
「うん!今日はあったかいから!」
「そっかそっか。じゃあ、はい、どうぞ」
陸の元気な言葉に笑いながら奏は2人にラッピングされたお菓子の袋を渡した。
「ハッピーバレンタイン!」
「わー!今年はタルトとトリュフだ!俺、当たったね!」
「そうだね。陸の勝ちだね」
2人は嬉しそうに奏からの袋を受け取りながら話す。
「なんの話?」
今来た奏に当然、話の流れは分かるはずもなく、奏はコートをハンガーにかけながら2人に聞いた。
「奏お姉さんが今年はバレンタインに何をくれるか予想していたんだ!天にぃはクッキー、俺はトリュフ!どっちが当たるかな?って!」
「なるほど、だから陸くんの勝ちってことね」
「うん!」
奏の納得した声に陸は嬉しそうに笑顔で頷いた。
「じゃあ、当たった陸くんにはご褒美ね」
奏は陸の頭を優しく撫でる。
頭を撫でられた陸は嬉しそうに笑った。
「へええ。奏お姉さんに頭撫でられるの俺好き!」
「そう?良かった」
陸と話をしていると奏は天が話に入ってこないことに気がつく。
天がいた方を見れば彼は奏と陸をいつの間にか離れたところから微笑ましそうに…少し羨ましそうに見ていた。
両親に、陸にいつも頼られている天はあまり甘え方を知らないように奏には思えた。
子供なら"ずるい"などと言ってもいいのに天はそんなことなどひとつも言わなかった。
(ご褒美は平等に…ね)
「天くんもおいで」
奏が手招きをしながら呼べば、天はスタスタとこちらにやってくる。
「天くんも外れちゃったけど頑張って考えたね」
そして奏は天の頭も陸と同じように優しく撫でた。
「っ、奏さん…」
予想外だったのか、天は恥ずかしそうにでも、どこか嬉しそうに大人しく撫でられる。
(甘えるのがちょっと下手な天くん。可愛い子だ)
「ほら、天くんからも陸くんにご褒美あげたら?」
「…陸、当たるなんてすごいね」
奏の言葉に天は優しく微笑みながら陸の頭を撫でた。
「へええ!ありがとう、天にぃ!俺、天にぃから撫でられるのが1番好き!」
「!ふふ。そっか」
そんな2人を微笑ましく見ていると不意に2人がこちらを向く。
「奏お姉ちゃんも毎年ありがとう」
「ありがとうございます。奏さん」
「「お疲れ様」」
そう言って天は少し背伸びをしながら、陸は頑張って手を伸ばして…2人は奏の頭を奏がやってくれたように優しく撫でた。
まさか、自分が撫でられると思っていなかった奏は2人の行為に驚きながらも、柔らかく微笑んだ。
「!…ありがとう。2人とも」