第四章 生活の変化
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奏がコンコンと扉をノックするとすぐにどうぞ。と声がする。
その声は高い少年の声だった。
了承の言葉を聞いて奏は扉の取っ手に手をかけた。
「お邪魔しまーす」
奏が引き戸の扉を開けるとベッドには赤髪の少年、そしてほんのり薄ピンクがかった白髪の少年が側の椅子に座っていた。
赤髪の少年は奏の姿を確認するとその瞳はキラキラと輝いた。
白髪の少年は赤髪の少年程分かりやすくは無かったが口には笑みが浮かんでいた。
「奏お姉さん!」
「こんにちは。奏さん」
「こんにちは。陸くん、天くん」
奏のことをお姉さんと飲んだ赤髪の少年の名前は七瀬陸。
この病室の主だ。
奏のことを奏さんと呼んだ白髪の少年の名前は七瀬天。
この部屋の主、陸の双子の兄である。
「今日は体調大丈夫?」
「うん!今は暖かいから調子いいんだ!もう少しで一旦退院できるって!」
奏の気遣う声に陸は元気に答えた。
「そっか。良かったね」
「うん!今日来てくれてありがとう!来週だったら会えなかった。退院する前に奏お姉さんに会えて良かった!」
陸は暖かいひだまりのような笑顔で笑った。
その笑顔が奏は好きだった。
この笑顔が見られると思えばなんでもお願いを聞いてしまいそうな愛らしさだ。
「ふふっ。ちゃんと陸くんがいる時に検診に来ているからね」
「奏さん。今日は大丈夫だったんですか?」
天は今年8歳になるにも関わらずとてもしっかりしていた。
両親に、陸に頼られっぱなしでそれに応えたくて頑張る。
そのため甘え方が下手な子だった。
陸はもちろんだったが、そんな天を奏はとても気にかけて、可愛がっていた。
「うん。今月も問題なしだったよ」
奏が答えればと天は良かったです。と言って微笑んだ。
こちらは天使のように優しい微笑みだ。
「ねえねえ、今日は何弾いてくれるの?」
「天くんが歌って踊れるやつね」
「そしたら…」
奏は定期検診の後、陸が入院している時は必ずこの双子の元を訪れていた。
出会いは3年前の冬。
奏が風邪をひき、入院をした際に同室だったのが陸だった。
好奇心旺盛で人懐っこかった陸は奏とすぐに仲良くなった。
そして、毎日お見舞いにくる天も見知らぬ相手に最初は警戒していたが、陸の紹介からか奏の子供好きな人柄からか仲良くなるまでそう時間はかからなかった。
いつも陸は天に様々なおねだりをしていた。
本を読んで欲しい、ボードゲームの相手をして欲しい、外の話を聞かせて欲しい。
その中でも陸が何よりも喜んだのが天の歌とダンスだった。
天は歌とダンスが上手かった。
歌って踊る姿はさながらアイドルのようで奏が初めて見た時、陸にファンサービスをたくさんしていたことを覚えている。
天は陸だけのスターだった。
しかし、歌とダンスは上手くても伴奏などはない。
間奏の部分も自分の声で補っていた天は1曲歌うとかなり疲れていた。
そんな様子を見た奏は天の力になりたくて雅季にギターを持ってきてもらい、弾き始めた。
それ以来、奏がギターを弾いて天が歌うのが恒例になった。
それは奏が退院してからも続いている。
時には奏が作った曲を天に歌ってもらったこともあった。
陸も天も奏を…奏のギターを、曲を、好きになった。
今日も2人は弾いて、歌い、踊る。
たった1人の観客のために。