インターン編
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今日の仕事は前のようなパトロールではなく、情報の収集だった。
「このヒーローは裏でヴィランと癒着しているという噂があってな。ヒカルとセレネで探ってきて欲しい。あくまで今回は情報収集だ。……抹殺などは考えなくていい」
「「分かりました」」
ここステラ事務所は事務所自体が公安の組織である。
現在の超人社会は「ヒーローはどんなときも絶対に正しい」という信頼を前提として成り立っている。
そのため、ヒーローが犯罪に手を染めることは決してあってはならない。
そんなことが公に出てしまえば市民は大混乱、超人社会は崩壊するだろう。
そうならないために、ヴィランと癒着しているヒーローなどのヴィランと繋がりがあるヒーローは即座に公安委員会に報告。
すると抹殺指示が出されることがほとんどだ。
ヒーローが逮捕というよりもヴィランによって殺されたなどとして処理をする方が世間からのイメージなどが守りやすいのだろう。
他にも犯罪組織の諜報活動、テロを計画した組織の抹殺などを行う暗部と呼ばれるものが公安には存在する。
そしてこのステラ事務所はそんな暗部の組織だ。
表の顔は普通のヒーロー事務所。
裏の顔は公安ではオスクリタと呼ばれる暗部組織である。
昔は諜報活動のみを行っていたらしいが暗殺を行っていた優れたスナイパー……レディ・ナガンが謀反を働き、投獄されてから戦闘も行う組織へと変化していった。
ヒーローが悪事を働くことが消えない限り、誰かが粛清をしなければならない。
それがこの組織だ。
そのため、私はこれから必要であれば人殺しもする世界に足を踏み入れることになる。
ここにいる人は多かれ少なかれ人は既に殺していることがほとんどだ。
私も例外ではない。
公安の試験、そしてその前にも親に殺せと言われた人を言われるがまま殺したことがある。
これが皆に言えていない私の秘密その1である。
一緒に授業を受けている人物が人殺しだと知ったら一体どんな風に見られるか想像に難くない。
そして、この組織に入らないという選択肢は私には存在しない。
私に拒否権利はないのだ。
私は公安に拾われた捨て犬で今は公安の飼い犬なのだから。
首輪を付けられている以上、私の命は公安に握られている。
私のこの首輪は公安から嵌められた首輪である。
確保された時には既に犯罪予備軍であった私。
常識の知らない幼い私を牢に入れるか、外に出すかで当時は相当揉めた。
私としてはその時はどちらでも良かった。
今では牢にぶち込まれずに済んでよかったと思う。
結果として強個性だった私は思考を矯正し、ヒーローにすれば戦力になると見なされ、牢には入れられなかったものの、矯正されたフリをしてヴィラン側に寝返ることも考えられた。
それに加えて私の強個性である。
上は私を恐れながらも戦力にしたいことには変わらなかった。
私を制御するために公安は私に小型爆弾付きの首輪を嵌めた。
ヴィラン側に万が一寝返った際にすぐに抹殺できるように。
だから私は一生この首輪を着け続けるのだ。
公安が私の飼い主ではなくなるその日まで。
いくらステラさんが自由を用意してくれたとしてもそれはできる範囲でのみ。
彼女も結局は公安に飼われている身。
できることは限られている。
上の決定には逆らえないのだ。
それに、誰かがやらなければならないのであれば既に手の汚れている自分がやるのがちょうどいいとも思っている。
だから、首輪がなかったとしても頼まれれば私は従っていただろう。
そして、こんな人殺しの人生に他人は必要ない。
恋人を作る気はないというのはそういうことだ。
こんな人殺しといてもその人が不幸になるだけ。
人を殺しているのが万が一世間に知られれば後ろ指を刺され、危害が及ぶことだってある。
私が傷つくのは別にいい。
でも、大切な人が傷つくのは避けたい。
胸の痛みや早くなる鼓動。
最近、轟が原因で頻発する知らない症状。
気になるものの、開けてはならないパンドラの箱のような気がして、私は見て見ぬフリをして仕舞い込むのだ。