仮免許試験編
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「奏ちゃん!どう?」
「空から見た感じここら辺はもう大丈夫みたい!ギャングオルカの方の加勢行ってきても大丈夫?」
「ええ!こっちは任せて!」
「ありがとう!」
梅雨ちゃんに任せて水辺を後にする。
戦闘の起きている方に向かえばそこにいたのは轟と夜嵐。
見た感じ連携が取れていなく、敵の制圧ができていない。
試験前の感じからしてお互いの印象は最悪だろう。
そして、勘違いかもだが轟の雰囲気が体育祭の時と似ている気がした。
そして最悪は続く。
お互いの放った風と炎がぶつかり、轟の炎が恐らくギャングオルカにやられたであろう受験者に当たりそうになる。
「何をしてんだよ!!」
自身の移動に使っている風を止め、回避に風を放とうとしたその時、緑谷が間一髪その受験者を引っ張って炎の直撃を防ぎ、2人を睨みつけて叫んだ。
緑谷はそのまま地面にぶつかりそうになる。
「緑谷!」
「天野さん!」
緑谷の着地地点に水の幕を張りトランポリンのように衝撃を軽減させた。
続いてギャングオルカの超音波が夜嵐を襲う。
直撃した夜嵐は失墜し、地面へと落ちる。
「っ!夜嵐!」
ここから距離があるから間に合うか分からない。
水では間に合わないと判断し、風を高速で飛ばし、雑だが風のクッションを作る。
幸い、風は間に合い、地面への衝突を回避した。
しかし、それでも超音波の威力は凄まじいのか夜嵐は起き上がることができずにいた。
夜嵐の次に標的となったのは轟だった。
首を掴まれ、至近距離で超音波攻撃を受ける。
遠距離であの威力。
至近距離で受けたのならば言うまでもなく夜嵐以上のダメージだ。
ギャングオルカに首を掴まれたままピクリとも動かない。
その事実に心臓が嫌な音を立てた。
2人を助けなければ。
しかし、周りにはギャングオルカの臣下がいる。
このまま放置すれば後ろの要救助者に危害が加わるだろう。
そう思った瞬間、緑谷が救助した受験者が地震のようにして地を割った。
確か、名前は真堂と言っただろうか。
受験の前に挨拶をしてきた人だ。
真堂さんは彼らを行動不能にしろと怒鳴った。
緑谷だけであの人数を相手にするのは無理がある。
轟たちも心配だが、市民が優先。
なんとか気持ちを振り切って、ギャングオルカの臣下を相手にする。
それと共に大きな火柱が上がった。
恐らく轟のものだろう。
彼もまだ戦っているのだ。
(さっさと倒して2人の加勢に行く……!)
「緑谷!下がって!」
「!天野さん」
「ふぅ……。氷の流星、アイシクル・メテオ!」
圧縮弾の氷を手にし、大量の氷エネルギーを瞬時に取り入れる。
それと同時に身体に寒さが一気に降りる。
圧縮弾により、いつもなら時間のかかる大きな氷の弾もすぐに完成した。
そしてその氷は弾け飛び、細い無数の針になって彼らに降り注ぐ。
これは両親に教えてもらったファイナル・ブレットと呼ばれていた技の改良版だ。
本来なら銃弾のような圧縮の水弾でやる技。
両親に1番最初に教えてもらった技である。
無差別に大量の死傷者を出す技だが、ヒーローとして使うには殺傷能力が高すぎる。
そのため、私は銃弾から、針のような形にし、殺傷能力を弱めた。
更に、当たれば終わりの弾丸ではなく、敵を地面に縫い付けて戦闘不能にさせるために水ではなく氷に使用する能力を変えた。
簡単に折れないようにするために氷の密度を上げ、硬度を上げたりなどもしている。
せいぜいこの技で負うのは軽い刺し傷と擦り傷、そして凍傷くらいだ。
心臓などに当たっても細いため致命傷にはならない。
まあ、氷でできている弾なため、長時間の放置は危ないかもだが。
「あ、天野さん!?やりすぎじゃ……」
「大丈夫。致命傷にはならないから。とにかく、逃れたやつの制圧を……!」
「分かった!」
そうして緑谷が駆けていく。
自身に炎の個性を付与して寒さを緩和させる。
辺りを見れば、臣下たちは熱に弱いギャングオルカが夜嵐と轟が放った炎の竜巻に包まれたことを知り、炎を出す轟にセメント銃を向ける。
「邪魔させない!」
眼鏡のスイッチをオンにし、銃を素早く抜く。
そして的確に相手のセメント銃を撃ち抜いた。
「あいつ!」
「天野!」
「今は寝ていてください!」
「ぎゃぁぁぁぁ!」
電気を放てば臣下たちは次々と倒れていく。
ようやく轟たちの元に辿り着いた。
炎の渦の中を見ればギャングオルカはペットボトルの水を被り、乾燥から身を守っている。
ペットボトルの水は残り3分の1程。
銃を構えて弾をリロード。
光の弾で、ペットボトルを的確に撃ち抜いた。
光は風と炎、どちらを邪魔することがない。
適任の弾だ。
ギャングオルカの銃弾に気がつきこちらを睨みつける。
その姿を見て少し駆けつけるのが少し遅かったと後悔した。
彼の準備はかなり整ってしまっている。
なら、破られた後のことを考えるべきだ。
光の圧縮弾を手に持ちエネルギーを吸収したその瞬間、超音波攻撃によって竜巻が破られた。
「次は……!」
「光の箱庭!」
竜巻から解放されたその瞬間、小さな光のドームがギャングオルカを包みこんだ。
光の箱庭は光の壁の派生技だ。
光の壁で対象を包み込み、結界としての役目を果たす。
強度は使用した光エネルギーの多さで変わるのだ。
今回は圧縮弾も使用してかなりの量のエネルギーを使っている。
簡単には破れないはずだ。
「こんなもの!」
ギャングオルカが超音波攻撃を1度するが、結界は割れない。
ならばとギャングオルカは結界を破ろうと続けて超音波攻撃を繰り出した。
あの超音波、出す時間は限られていないらしい。
あの様子では結界も持って残数十秒だろう。
「轟!」
「天野……」
「浮かせるよ。酔ったり、慣れないかもしれないけど耐えてね」
「ああ、助かった……」
近くにいた轟を重力操作で浮かせる。
その時の轟はいつもと同じ雰囲気を纏っていて少し安心した。
光の鎖を軽く巻いて、轟を連れたまま夜嵐の元に向かう。
見た目が完全に確保、連行されている状態かつ、少し手荒だが、運ぶ手段がこれしかないため、我慢してもらうしかない。
2人を救出して後衛に2人を預け、前線に戻るのが吉だろう。
私が戻るまでは緑谷が間を持たせてくれると信じている。
「夜嵐。これからあなたを浮かせる。風の制御で慣れているかもしれないけど気持ち悪くなったりしたらごめん」
「面目ないっス……」
そして、夜嵐を浮かせ、鎖を巻き、まさに後退しようと風の個性を発動させようとしたところでパリンと結界が割れた。
(思ったよりも早い……!見誤った……!)
再度あの強度の光の箱庭を出すにはエネルギーを変換する時間、更に圧縮する時間が足りない。
更に圧縮弾を取り出すにはギャングオルカから目を離さなければならないがそんな暇は今はない。
ギャングオルカの奇襲に身構え、臨戦体制を取っていると、緑谷がギャングオルカに蹴りをお見舞いした。
「天野さん!行って!」
「!ありがとう、緑谷!」
緑谷にお礼を言ってこの場を後にしようとすると共に、ファーンと音が鳴った。
「ええ……、ただいまをもちまして、配置された全てのHUCが危険区域より救助されました。誠に勝手ではございますが、これにて仮免試験全工程終了となります」
目良さんのアナウンスが試験の終わりを告げる。
こうして仮免試験は終わりを迎えた。