仮免許試験編
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定魔法使いの約束以外の夢小説は一括で変更可能です。
魔法使いの約束は魔法使いの約束の名前変換場所からどうぞ。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そして、いよいよ試験当日の日がやってきた。
コスチュームを持ち、バスに乗り込み会場に向かう。
会場到着後、伸びをしながらバスを降りると、みんなこれからの試験に向けての緊張が見て取れる。
「この試験に合格し、仮免許を取得できれば、お前ら卵は晴れてひよっこ……セミプロへと孵化できる。頑張ってこい」
相澤先生の言葉に皆の表情が一層引き締まる。
気合いを入れるように切島が雄英お決まりの言葉を言うと同時に、その声に勝る大きな声が被った。
そこには雄英生ではない軍帽のようなものを被った男子生徒がいた。
「勝手によそ様の円陣へ加わるのはよくないよ。イナサ」
「あっ、しまった!どうも、大変失礼いたしましたぁ!!」
イナサと呼ばれたその男子生徒はピシッと背筋を正し、大声で謝罪をしながら勢い良く頭を下げる。
勢い余って地面に頭を激突させるも、特に痛がる様子は無かった。
少し驚きながらも、頭をぶつけた衝撃で舞った帽子が更に遠くに飛ばされそうになっていたため、風を操って自分の元に手繰り寄せた。
その時、ザワザワと周りの人たちが話しているのに気がつく。
どうやらこの生徒は雄英に並ぶ強豪校、士傑高校の生徒らしい。
(この人たちが士傑高校の生徒……)
ステラさんから名前だけは聞いたことがあるが、制服までは知らなかった。
雄英と同じ難関校なのであれば警戒すべき相手だ。
雄英が大好きだと言う彼の頭からは血がたらりと流れる。
恐らく先程、ぶつけた時に切れたのだろう。
その姿を見て、手元に持った帽子と共に彼に近づいた。
「あの……」
「あ!あんた、天野奏さんですよね!体育祭見ました!すごかったです!かっこよかったです!帽子拾ってくれたんですね!ありがとうございます!」
「あ、えっ、と、ちょっとストップ!怪我しているんだから頭下げないで。それと、ちょっと屈んで」
「?」
「ちょっと、染みるかも」
帽子を差し出した私に凄い勢いで話しながらそのまま勢いで再度頭を下げようとした彼を頑張って静止して屈むように促す。
彼は不思議そうに首を傾げながらも私の言葉に従って屈んでくれた。
届くようになった彼の血が流れている額に手を近づけ、水の力を使う。
手のひらに現れた水球が血を拭い去っていく。
血がついていた場所を辿ればすっかりそこは綺麗になっていた。
それに満足して手を離した。
手に出していた水球は少し濁っている。
それを床に叩きつけて個性を解除した。
「傷口が汚れたままで放置するのはあんまりよくないから。とりあえずすすぎだけ。ちゃんと直してもらってね」
「おぉ!水の力も使えるんすね!すげぇ!ありがとうございます!」
「じゃ、じゃあ……」
彼の最初の感じから分かっていたことであるが、グイグイ来られるのは苦手だ。
少し話しかけたのを後悔した。
お礼を言って来ながら、キラキラと子供のような目でこちらに興味津々な彼に帽子を押し付けてみんなのところに戻る。
「……大丈夫か?」
「なんとか……」
私の困った様子に気がついたのか声をかけてくれた轟に苦笑いをしながら曖昧に答えた。
原因の彼は同じ学校の人に連れられて会場に足を進めている。
そんな後ろ姿を見ながら相澤先生があの男子生徒について教えてくれた。
「夜嵐イナサ。昨年度……つまりおまえらの年の推薦入試。トップの成績で合格したにも関わらず、なぜか入学を辞退した男だ」
推薦入試をトップの成績で合格。
つまり、入試当初、実力は轟以上だったということだ。
「推薦入試者だったらしいけど轟、あの人の個性知っている?」
「……いや、覚えてねぇ。悪い」
少し考えて轟は首を振った。
個性は分からないがかなりの実力者であることは変わりない。
警戒するべき人として自分の中の要注意人物のリストに彼の名前を書き留めた。