神野事件編
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定魔法使いの約束以外の夢小説は一括で変更可能です。
魔法使いの約束は魔法使いの約束の名前変換場所からどうぞ。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私たちは無事に戦場を離脱し、駅前広場に到着した。
駅前の大型ビジョンには先程までいた場所のことがニュースで速報で取り上げられている。
多くの人が足を止めてモニターを見ていた。
最大威力の風が先生から放たれる。
オールマイトがそれを受け止め、土埃が止んだ後、そこから見えたのはいつも見る筋骨隆々なオールマイトではなく、見違えるほど細く、痩せこけた姿だった。
そして、何か先生に言われた拳を下げた。
姿の変化、そしてオールマイトが戦意喪失したかのように見えた周りの人たちはざわめき始める。
困惑や不安、恐怖が生まれる。
しかし、そこで絶望に打ちひしがれるのではなく、次々に声援が生まれた。
あちこちで「頑張れ!」と「負けるな!」、「勝ってくれ!」と声がする。
彼は人々の希望の光なのだ。
彼に願いを託すように皆が声を上げた。
そして、遠くにいる人々の声など聞こえていないはずなのに、その声援に答えるようにオールマイトはボロボロになりながらも、先生を打ち倒し、ゆっくりと……でも、力強く左手を上げた。
「オールマイト勝利!しょ、勝利のスタンディングだ!!!」
その姿にあるものは歓声をあげ、あるものは安堵の声をこぼし、あるものは抱いて喜び合った。
守り抜くという信念。
重荷になるような人々からの期待も力に変えて彼は強敵を打ち倒すその姿はあまりにも眩しい。
(私じゃ、いくらやっても勝てないや……)
両親は私ならオールマイトにいつか勝てると言った。
でも、いくら個性を磨いても、身体を鍛えても、あの頃の背負うものも信念もない私には一生かけてもあの人には勝てなかった。
「オールマイト!オールマイト!」と人々のコールを聞きながらそんなことを思った。
少しして到着したプロヒーローたちが現場付近の救助活動に勤しむ。
その傍で先生は移動式牢の中に入れられようとしていた。
ふと、現場の実況をしていたアナウンサーの声が止まる。
ビジョンにはオールマイトが映っており、カメラに向かって指を刺し彼はこう告げた。
「次は……キミだ……」
オールマイトが発したこの言葉に周りが盛り上がる中、緑谷だけがボロボロと泣いていた。