雄英体育祭編
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私の言葉と同時に彼の左半身から赤い炎が噴き出る。
そこから見えた瞳には迷いなんてものはない。
強い意志が爛々と輝いていた。
恐らくこれが轟の最高火力だろう。
なら私も私にできる最高火力でそれを打ち破ろう。
私は両手に手をついて氷結を繰り出す。
そして自身に重力をかけ爆風に吹き飛ばされないようにする。
(これで最後……!)
轟の炎、そして私の氷が激しくぶつかる。
私の氷が尽きるのが先か轟の炎が尽きるのが先か。
完璧な我慢比べ状態。
徐々に身体が冷たくなっていくのを感じる。
私はまだ天元の個性を2つ同時には使えない。
つまり重力操作と併用することはできても氷を出しながら炎を出すということはできないのだ。
だから我慢比べには限界がある。
でも引くわけにはいかない。
重力はそのためにかけてあるのもある。
辛くても手を離さないように。
限界まで出し切れるように。
少しして限界が来たのか全身から力が抜けていく。
身体が冷え切って目の前が霞んでいく。
力が抜けていって重力操作は切れてしまった。
(これが私の全力ー!!!)
そして、力を出し切った私は勝敗の分からないまま視点が暗転していく。
その意識を失う直前、誰かが私のことを呼んだと同時に何か暖かいものに包まれた気がした。
(あったかい……)
その暖かさを感じながら私の意識は闇に沈んだ。
「ん……」
「目が覚めたかい?」
「……リカバリー、ガール?」
「頭痛とか、身体に影響ないかい?」
「大丈夫です」
「あんた酷い低体温症になっていたんだよ。まあ、轟も体温が上がって危なかったけど。あんたたちお互いがお互いの温度を分け合ってちょうど良くなったみたいだけどね」
「……え?」
「ここまでは轟が運んでくれたんだよ。俺も体温上がっているからちょうどいいって言ってね。ここに到着した頃には身体中の霜もだいぶ亡くなっていたからこっちとしても重症にならなくて助かったさ。あとでお礼言っておきな」
「……は、はい」
リカバリーガールはこちらに歩み寄ると体温を測りコクンと頷いた。
どうやら体温も問題ないらしい。
「ほら、目が覚めたなら会場に早くお戻り。そろそろ表彰式が始まるよ」
「もう表彰式……」
「ああ。優勝は爆豪だよ」
なら私は轟に押し負けたのか。
いや、先程轟が私を運んだと言った時点で気づくべきだった。
常闇と爆豪。
そっちの準決勝は爆豪が勝ったということだ。
ダークシャドウと光を出す爆豪では相性が悪い。
順当と言うべきだろう。
そしてその後、爆豪は轟に勝ったってことか。
私はリカバリーガールにお礼を言って保健室を後にした。
『それではこれより!表彰式に移ります!』
私は3位の表彰台に常闇と一緒に立っている。
そして、隣には頑丈に拘束されて暴れ狂っている爆豪がいる。
「常闇。これどうしたの?」
「轟が爆豪との決勝で炎の個性を一度は使おうとしたんだが最終的には使わなかったんだ。それに納得いっていないようでな」
「なるほどね……」
私の時には使ってくれたが、完全に払拭できたわけではないらしい。
そんな原因の轟はそんな爆豪を気にもとめてないようだ。
スタジアムの頂上から登場したオールマイトの姿に会場が沸き立つ。
今年のメダル授与はオールマイトが行ってくれるそうだ。
ミッドナイト先生からメダルを受け取ったオールマイトが私たちの元へと歩み寄る。
「天野少女!おめでとう!複数の個性操作見事だった」
「ありがとうございます」
「轟少年に負けてしまったけど、きみならもっと強くなれる!課題も見えてきただろうし、これからも期待しているよ」
「……はい」
そうして、ギュッと優しく抱きしめられ、ポンポンと背を叩かれた。