断片

「鮭~がぁ~、飛ぶよぉ~~」「え、鮭って飛ぶの?」「飛ぶよぉ」「そうなんだ」静かな茶の間である。ストーブが赤々と燃えていて、暖かい。かなこはうつ伏せ状態でファッション雑誌を見ていた。見ているだけで、凝視はしていなかった。集中していないのである。そこへ、調子っぱずれなおじさんの歌、鮭が飛ぶ歌が流れてきたのである。いや、おじさんが歌っただけなのだが。「そこ、そこぉ、『そうなんだ』じゃなくてさぁ、『どういう風に飛ぶのっ、おじさんっ♪』って食いついてきてよぉ~」かなこは、相変わらずきもいな、と普通に思った。
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