断片

 ココアはムームと寿司屋に来ている。安い寿司屋である。ムームとはクラスメイトである。頭の横からウサギの耳を生やしているのがムーム。頭の横から髪の毛を生やしているのがココアである。二人は親友では全くないのだが、ムームは何故かココアにまとわりついて離れない。それには理由がある。
「ねぇ、今日こそお家に連れて行ってよ」
「え~?」
 テーブル席でムームが身を乗り出して頼んでくる。
 ココアは全く取り合わない。
「うちにはチョコレートケーキもコーヒーもないよ?」
「そんなのどうでもいいのよ。私の目的は……フガフガ」
 ムームは自分の両手で自分の口を塞いだ。
 ムームには目的がある。ココアと一緒に暮らしているコアに会いたいのだ。
 一度、コアが何を思ったか帰宅途中のココアを迎えに来たことがあり、それがムームとの初対面だった。コアはビジュアル『だけ』は格好良いので、勘違いする女子が続出してしまう。コアの勤務先では既に本性がバレているので、心配ない(?)。
「あのね。うちはめっちゃ貧乏なの。余ってるご飯もないよ?」
「……あんた、私を何だと思ってんの」
 ムームがジト目で見てくる。
 ココアはフライドポテトをつまみながら、
「疫病神でしょ?」
「違うわよっ! 恋する乙女……フガフガ」
腰を浮かせたムームが、全然隠し切れていない本音を晒しながら口を押さえる。
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