Tomorrow is another day
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最近忙しかったからと、午前中で終らせてもらった仕事の帰り道。昼はどうしようか、これから帰って寝てしまおうかなどと考えながらいつもの道を歩き駅に向かう途中。トントンと軽く肩を叩かれて振り返ると自分と同じくらいの背か、もしくは若干低いのではないかと思われる偉く可愛い子がニコリと笑っていた。
「ねぇねぇオネーサン。今ヒマ?」
『…はい?』
「ボクと一緒に遊ぼ♪」
『えっと…え?』
これが俗にいうナンパというものだろうか。だがしかしこんなに可愛いらしい男の子が自分に声を掛ける要素が見つからない。
『あの…人違い、ですかね?』
「えぇ〜!違うよ!オネーサンがいいから声を掛けたんだよ?それともボクと遊ぶのそんなに…イヤ?」
『いや…そういうわけでは…』
「じゃあ行こっ!きっまり〜!」
まさか人生初のナンパが自分より数倍可愛らしい、そして多分年下なんじゃないかという見た目の男の子にされるとは思っても見ず、何が何やらわからないままそのピンク色の頭をした男の子の後をついていった。
* * *
「これなんかどうかな?すっごくオネーサンに似合ってる!」
『そ、そうかな…?キミの方がよっぽど似合うと思うよ』
「まぁボクが着ても似合うんだけどオネーサンが着たところをみたいんだもーん!」
『オネーサンはキミが着ているほうがいいと思うな〜』
「エヘヘ♪じゃあボク着てみよっかな!」
『うんうん、それがいいよ』
彼のご希望で洋服屋にきたが、偶然なことに数日前に帝統くんにあげたコートを売っているお店だった。勿論何回来ても楽しいものだが、何故だか彼が選ぶ洋服は一体どこから見繕ってくるのか全てセンスの良いものばかり。そして可愛い男の子と買い物をしているという事実はやはり楽しいし、見ていて眼福だ。
『あ、そういえば…名前言ってなかったけど…私ミョウジナマエと言います。キミは?』
そういった直後彼はとても驚いた顔をしてこちらを振り返る。
「えっ!?オネーサン…ボクのこと知らないの?」
『ん?何処かで会ったことあったっけ?』
「うるうる…そっかぁ…ボクのこと知らないんだね」
『ゆ、有名人か何かだったりする?ごめん、私そういうの疎くて…』
これは気がつかなかった。でも確かに凄く整った顔立ちをしているし、モデルさんか何かだろうか。
「うーん、別にいいんだけど…なんかオネーサンって珍しいね?」
『まぁあんまり雑誌とかテレビに興味がないというか…流行りにのれてないとも言うんだけど』
「アハハ!じゃあそんなオネーサンにも今知ってもらいたいな!ボクは飴村乱数!それでこの間会ったと思うんだけど、有栖川帝統と同じチームなんだよ♪」
『え、帝数くんの友達?というかチームって…なんかスポーツの?』
意外な事実に驚くと飴村くんはチッチと舌を鳴らしながら人差し指を振る。
「ヒプノシスマイクを使ったラップバトル。そのシブヤディビジョンのFling Posseっていうチームだよ!」
『ヒプノシスマイク…ってあの?』
「そうそう♪」
特に関心はないが流石にその存在は分かる。武器の使用が禁止された今、ラップでのテリトリーバトルがあるということ。そのシブヤ代表ということは…
『飴村くんも帝統くんも結構凄い人じゃん!!』
「そーいうこと!ま、帝統からオネーサンのことは聞いてたしそのお礼も兼ねて今日は誘ったんだ〜♪」
なるほど。これで合点がいったと一人納得していると飴村くんはどこからか、はいと紙袋を渡してくれた。
「そんなオネーサンにプレゼント!これ、よかったらドーゾ♡」
『え…くれるの?』
開けて開けてと急かす声にじゃあと袋を開けるとそこには帝統くんにあげたあのコートがあった。
『え…これ…』
「うん!帝統からお返しは貰ったと思うんだけど、あのコート人気で手に入りづらいものだったでしょ?だからボクからもお詫びとしてそれあげる!もちろん新品だから安心してね」
『でも…そんな悪いよ』
「いーの!いーの!さ、受け取って!」
『うん、ありがとう!飴村くん』
「どーいたしまして!」
突然遊びにいこうと誘うものだから今どきのチャラっとした感じの子かと思っていたがこうして他のメンバーのことを考えての行動だと分かった今律儀な子なのだと思い、自分の認識を改めた。
その後も洋服を見てまわり飴村くんのファッションショーを見させて貰ったあと今日はありがとうとその場で分かれる。
『このコート、大事にするね。どうもありがとう』
「うん!帝統のあげたコートより僕のあげたの着てね!」
「あはは!そうしようかな、なんて!じゃあ気をつけてね〜』
* * *
「もう帝統ったら…あのオネーサンから貰ったコートを見てボンヤリしちゃってさ。なんかムカつくから返してやったけど…変な人だったなぁ」
一人渋谷の街を歩くその姿と共に何やら不穏な色が混じる。
「僕のこと知らないのはまだいいけど…他のオネーサンみたいに目が♡じゃなくて扱いづらいんだよねぇ」
ま、もう会わないだろうし。と呟いたところでふと思い出す。
「帝統のスマホからあのオネーサンの連絡先がないか見とかなきゃ」
気まぐれな野良猫は特定の飼い主を作る必要はない。そんな猫はFling Posseにはいらない。腑抜けたリリックなど許さない。
〜♪
「あ、もしもしオネーサン?ご飯食べいこー♪」
You wait and see.
-ま、そのうちわかるよ-