初夏、予感。
dream
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Side Tsukishima
「……で、この人が次期皇帝になるために……」
次の日、試験2日目午後3時、Patisserie Hoshino。
昨日、帰ろうとした僕を呼び止めて、「やっぱり教えてください!」って後ろから叫ばれた時は驚いたけど、昨日最初に勉強を教えると誘ったのは僕の方だ。
どうして、誘ったのかは僕にも分からない。
昨日の別れ際だって、気付いたら声をかけてしまっていた。
最近の僕は、少しおかしい。
たかが定期テストくらい、程々にいい点さえ取れれば、大学には行ける。
まあでも、誰かより点数が低いなんてムカつくから、僕も毎日机に向かっている訳で。
昨日の夜のことを思い返す。
さすがに送るのはバス停までの方が良かったかな。
大して仲良くもない、クラスメイトの男子に家を知られるとかフツー嫌だよね。
あれ、……じゃあどうして僕は、その大して仲良くもない女子に時間を割いているんだろう。
君と僕の関係性って、一体何なんだろう。
「だんだん分かってきたかも!ちょっと演習問題解いてみるね!」
彼女の明るい声で現実に引き戻される。
適当に相槌を打って、僕も明日の試験のために参考書を開く。
……ああ、ここ引っ掛け問題で出されやすいんだっけ、後で簗瀬さんにも教えないと……
無意識のうちに彼女への試験対策まで考えてしまっていた自分に気付いたが、僕自身の奇妙な行動にも慣れてきていた。
マナーモードにしたスマホが震えているのに気が付き、画面を確認すると山口からだった。
「ちょっと、電話してくるけど、君はサボらず問題解いてなよ」
急ぎ気味に店を出て、電話を取る。
「もしも……」
『ヅッギィイイイイイ!助けて!!』
いつも僕の名前をうるさいくらい呼ぶ山口がいつも以上にうるさくて驚く。
「ちょ、何。どうしたの」
『やばいんだ、俺、明日死ぬかもしれないから助けてー!!!』
ただならぬ雰囲気で涙声で僕に畳み掛けるように山口が話すから僕まで少し焦りそうになる。
きちんと話を聞いていると、山口が世界史の出題範囲を誤っていて、それに今気づいたから赤点かもしれないと大騒ぎしていた。
……この場に呼ぶ?
何となく、山口には二人で勉強していた所を見られたくない。
でも、正直僕にとって唯一の親友を放っておくのも気が引ける。
ガラス越しに彼女を見る。
一生懸命課題に取り組んでいる……あ、こっち見た、笑った。
か、可愛いな……
じゃなくて。
小動物が可愛いなんて良くあることで……
僕は何の所為かも分からないため息をひとつついて、彼女の元へと戻った。
「……で、この人が次期皇帝になるために……」
次の日、試験2日目午後3時、Patisserie Hoshino。
昨日、帰ろうとした僕を呼び止めて、「やっぱり教えてください!」って後ろから叫ばれた時は驚いたけど、昨日最初に勉強を教えると誘ったのは僕の方だ。
どうして、誘ったのかは僕にも分からない。
昨日の別れ際だって、気付いたら声をかけてしまっていた。
最近の僕は、少しおかしい。
たかが定期テストくらい、程々にいい点さえ取れれば、大学には行ける。
まあでも、誰かより点数が低いなんてムカつくから、僕も毎日机に向かっている訳で。
昨日の夜のことを思い返す。
さすがに送るのはバス停までの方が良かったかな。
大して仲良くもない、クラスメイトの男子に家を知られるとかフツー嫌だよね。
あれ、……じゃあどうして僕は、その大して仲良くもない女子に時間を割いているんだろう。
君と僕の関係性って、一体何なんだろう。
「だんだん分かってきたかも!ちょっと演習問題解いてみるね!」
彼女の明るい声で現実に引き戻される。
適当に相槌を打って、僕も明日の試験のために参考書を開く。
……ああ、ここ引っ掛け問題で出されやすいんだっけ、後で簗瀬さんにも教えないと……
無意識のうちに彼女への試験対策まで考えてしまっていた自分に気付いたが、僕自身の奇妙な行動にも慣れてきていた。
マナーモードにしたスマホが震えているのに気が付き、画面を確認すると山口からだった。
「ちょっと、電話してくるけど、君はサボらず問題解いてなよ」
急ぎ気味に店を出て、電話を取る。
「もしも……」
『ヅッギィイイイイイ!助けて!!』
いつも僕の名前をうるさいくらい呼ぶ山口がいつも以上にうるさくて驚く。
「ちょ、何。どうしたの」
『やばいんだ、俺、明日死ぬかもしれないから助けてー!!!』
ただならぬ雰囲気で涙声で僕に畳み掛けるように山口が話すから僕まで少し焦りそうになる。
きちんと話を聞いていると、山口が世界史の出題範囲を誤っていて、それに今気づいたから赤点かもしれないと大騒ぎしていた。
……この場に呼ぶ?
何となく、山口には二人で勉強していた所を見られたくない。
でも、正直僕にとって唯一の親友を放っておくのも気が引ける。
ガラス越しに彼女を見る。
一生懸命課題に取り組んでいる……あ、こっち見た、笑った。
か、可愛いな……
じゃなくて。
小動物が可愛いなんて良くあることで……
僕は何の所為かも分からないため息をひとつついて、彼女の元へと戻った。