初夏、予感。
dream
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Side Tsukishima
時計の針は、午後3時をさしていた。
彼女は少し警戒心が弱い傾向があるのかもしれない。
利き腕がつった彼女は僕に「治して欲しい」と頼んできた。
バカなの。
まだ5月なのに半袖で、白い腕を僕に向けて、上目遣いでこっち見るなんて……
反則、じゃないの。
色々な感情が込み上げてくるのを抑えてショーケースへと向かう。
「君、大丈夫?耳まで真っ赤よ?」
驚いて顔を上げると、お店の真里さんが楽しそうに小声で僕に話しかけた。
「だ、大丈夫デス……、ショートケーキと…」
「ガトーショコラがオススメよ」
「ガトーショコラください」
真里さんが用意している間、観葉植物の影に隠れて顔をあおぐ。
会計を済ませてケーキを受け取ると、真里さんが僕の顔を見て、「もう大丈夫そうね」と笑った。
僕はそんなに酷い顔をしていたのだろうか。
イートインスペースに戻ると、未だに痛そうにしている彼女がいた。
ケーキ代は断って、慣れない左手で一生懸命ケーキを食べる簗瀬さんを見る。
……あ、笑った。
少し、胸が高鳴るのを感じた。
「美味しかった、月島くんご馳走様です」
食べ終わる頃には腕もだいぶ良くなっていたらしく、両手を合わせて僕にお礼を言ってくれた。
「じゃ、勉強再開するよ。次は25ページの……」
彼女の頬にケーキの食べ残しがついていた。
「プッ、キミってほんとおっちょこちょいだよね」
僕は可笑しくなって、彼女の頬に手を伸ばし、食べ残しをとって……食べてしまった。
瞬間、彼女の顔が真っ赤になって、両手を頬にあて、「あ、ありがと……」と呟いた。
僕もその時自分の行動に気がついたが、僕まで真っ赤になってる場合じゃないから、「ホラ、続きするよ」と、彼女の目線を教科書へ落とさせた。
「美子ちゃん、月島くん、ごめんだけど、そろそろ閉店しなくちゃなのよ」
申し訳なさげに真里さんが僕らのテーブルへとやって来た。
「ほんとだ!ごめんなさい真里さん!月島くんもありがとう!」
彼女は慌てて席を立ち、帰り支度の準備を始めた。
僕も倣って支度を整え、挨拶をして一緒に店を出た。
「月島くん、今日はありがとう。やっと理解出来てきた気がするよ。それにしても……やっぱりまだまだ5月の夜は寒いね……」
彼女は白い肌を手で擦りながら歩いていた。
僕は着ていたパーカーを彼女に肩からかぶせた。
「着てなよ、僕は大丈夫だから」
「で、でも……」
「いいから。遅いし今日は家まで送るから」
まだ何か言いたげな彼女の荷物を奪い、無理やりパーカーの袖を通させる。
「で、でも明日もまだ試験だし……」
「うるさい、こういう時は素直に送られなよ」
「……ありがとう」
彼女に近づいた時、風に乗ってシャンプーの香りがして、僕の心臓がどくん、と大きな音を立てた。
時計の針は、午後3時をさしていた。
彼女は少し警戒心が弱い傾向があるのかもしれない。
利き腕がつった彼女は僕に「治して欲しい」と頼んできた。
バカなの。
まだ5月なのに半袖で、白い腕を僕に向けて、上目遣いでこっち見るなんて……
反則、じゃないの。
色々な感情が込み上げてくるのを抑えてショーケースへと向かう。
「君、大丈夫?耳まで真っ赤よ?」
驚いて顔を上げると、お店の真里さんが楽しそうに小声で僕に話しかけた。
「だ、大丈夫デス……、ショートケーキと…」
「ガトーショコラがオススメよ」
「ガトーショコラください」
真里さんが用意している間、観葉植物の影に隠れて顔をあおぐ。
会計を済ませてケーキを受け取ると、真里さんが僕の顔を見て、「もう大丈夫そうね」と笑った。
僕はそんなに酷い顔をしていたのだろうか。
イートインスペースに戻ると、未だに痛そうにしている彼女がいた。
ケーキ代は断って、慣れない左手で一生懸命ケーキを食べる簗瀬さんを見る。
……あ、笑った。
少し、胸が高鳴るのを感じた。
「美味しかった、月島くんご馳走様です」
食べ終わる頃には腕もだいぶ良くなっていたらしく、両手を合わせて僕にお礼を言ってくれた。
「じゃ、勉強再開するよ。次は25ページの……」
彼女の頬にケーキの食べ残しがついていた。
「プッ、キミってほんとおっちょこちょいだよね」
僕は可笑しくなって、彼女の頬に手を伸ばし、食べ残しをとって……食べてしまった。
瞬間、彼女の顔が真っ赤になって、両手を頬にあて、「あ、ありがと……」と呟いた。
僕もその時自分の行動に気がついたが、僕まで真っ赤になってる場合じゃないから、「ホラ、続きするよ」と、彼女の目線を教科書へ落とさせた。
「美子ちゃん、月島くん、ごめんだけど、そろそろ閉店しなくちゃなのよ」
申し訳なさげに真里さんが僕らのテーブルへとやって来た。
「ほんとだ!ごめんなさい真里さん!月島くんもありがとう!」
彼女は慌てて席を立ち、帰り支度の準備を始めた。
僕も倣って支度を整え、挨拶をして一緒に店を出た。
「月島くん、今日はありがとう。やっと理解出来てきた気がするよ。それにしても……やっぱりまだまだ5月の夜は寒いね……」
彼女は白い肌を手で擦りながら歩いていた。
僕は着ていたパーカーを彼女に肩からかぶせた。
「着てなよ、僕は大丈夫だから」
「で、でも……」
「いいから。遅いし今日は家まで送るから」
まだ何か言いたげな彼女の荷物を奪い、無理やりパーカーの袖を通させる。
「で、でも明日もまだ試験だし……」
「うるさい、こういう時は素直に送られなよ」
「……ありがとう」
彼女に近づいた時、風に乗ってシャンプーの香りがして、僕の心臓がどくん、と大きな音を立てた。