春、新生活。
dream
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「新入生の皆さん、御入学おめでとうございます。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
…………長い。
長すぎる。
先月、似たような拷問を受けたところだと言うのに。
じっと座って、時々頭を下げて、時々拍手して、起立の合図で立ち上がり、初めて聞く校歌を右から左へ受け流す。
可もなく不可もなかった、中学校生活も無事に終わり、ただなんとなく、知ってる人のいない学校に行きたくて、電車で15分揺られて、駅から自転車で通学する烏野高校を選んだ。
学力はそこそこだったから、もっと上の学校も選べたけど、制服も可愛いし、大学進学も見据えた進学コースもあったから、ここにした。
「つづきまして、来賓のーーーーーーーーー」
暇つぶしに辺りを見渡す。
私も人のことは言えないけど皆似たような顔つきで式典の早期終了を祈っていた。
このブロックに座ってる人達が同じクラスなんだよね。
入学前、健康診断のために学校へ一度だけ行ったことがあったから、なんとなく友達というか顔見知りもできた。
でも、健康診断は男女別日に設定されていたから、男子とは初対面だった。
うわ、背、高……
同じクラスのブロックで、前の列に座っている金髪の男子が目に入った。
周りのクラスメイトよりも頭ひとつ抜けている。
これが高校生かあ…と、同じく先月まで義務教育を受けていたであろう金糸の後ろ姿を眺め、改めて自分が高校生になったことを実感する。
春、新生活。
まだ終わらない入学式に小さくあくびをしつつも、これから始まる新生活に、少し心を躍らせていた。