初夏、予感。
dream
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「なるほど……さすが月島くん……」
午後2時。
待ち合わせは、いつものPatisserie Hoshino。
今日は私もお客さんとして、月島くんと勉強会をしている。
月島くんに苦手なものってないんじゃないかって思うくらい、的確に教えてくれて、つくづく月島くんの凄さを思い知る。
山口くんに聞いたけど、月島くんは一年生でレギュラー…なんだよね、なんでも出来ちゃうんだなあ。
月島くん、そういえばシャツは制服のままだ。
急いで私が急に頼んだりしたから急いで来てくれたのかな。
もしかして、ここから家も遠かったりしたかな。
「……簗瀬さん、聞いてる?」
「き、ききき、きいてるよ!」
訝しげに月島くんが私を見る。
「じゃあ問題。カール4世が金印勅書を発布したのはいつ?」
「えええっと……1346年?」
月島くんが小さくため息をついた。
あ、これ間違ったかな……
「1356年。ちょっと疲れちゃった?休憩しようか、僕も糖分欲しいし」
「ごめん…ありがとう」
月島くんが伸びをしたので、私も真似て伸びをしてみた。
「あいたっ、」
やり慣れないことをしたせいか、二の腕の筋を伸ばしてしまったらしく、鋭い痛みが右腕を走った。
「簗瀬さんつったの?プッ、ほんとおっちょこちょいだよね」
月島くんがいつものように私を小馬鹿にして笑う。
「そんな事言わないで助けてよー」
正直いきなりつったから治し方とか、どうすればいいか分からなくて、手が伸びた状態で月島くんに助けを求めた。
月島くんは一瞬目を丸くして、「……しばらくすれば治るデショ」と言ってショーケースのある方へ行ってしまった。
え……ホントに治るの?めちゃくちゃ痛いよ?
少ししたら、月島くんが戻ってきた。
「ハイ、簗瀬さんの分」
月島くんは、お盆を片手で持って、器用に片手だけでテキスト類を横にまとめると、テーブルにガトーショコラとショートケーキを並べた。
「え!?お金!返すよ、ちょっと待ってて……
」
慌てて財布を探そうと右腕を動かした。
刹那、痛みが駆ける。
「おっちょこちょいサンは大人しくケーキ食べて休みなよ、また今度奢ってくれればいいから」
「……ありがとう」
ゆっくり体を元に戻し、ガトーショコラを左手で食べる。
利き手じゃない方で食べるのは難しかったけど、今日食べたガトーショコラは、今まで食べたなかで1番甘くて、おいしく感じた。