春、新生活。
dream
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それからは、時々月島くんが店へ来てくれるようになった。
いつも来る前の日に月島くんから連絡が来る。
『明日、行きたいんだけどいい?』
たった一行、めちゃくちゃシンプルな一文だけど、来てくれるのが嬉しくて、いつも楽しみにしていた。
月島くんが事前に連絡して来てくれる時はいつも1人で、大体その時は私も休憩で一緒に紅茶を飲む。
たまに山口くんと2人で来ることもあるけど、その時は持ち帰りでショートケーキを買って帰っていた。
月島くんはショートケーキ好きなんだなあ。
カランカラン……
「あ、月島くん。いらっしゃいませ」
今日は月島くんが来てくれる日だった。
何となくソワソワしながら待っていると、部活帰りの月島くんがやって来た。
「今日もショートケーキ?」
「……まあね」
「用意しまーす」
相変わらず口数は少ない方だけど、来てくれる度に話をするようになったから、少しずつ月島くんのことが分かってきた。
山口くんとの仲を腐れ縁だと言っている割には嬉しそうなこと、ショートケーキが好きなこと、山口くんはフライドポテトが好きなこと、実は優しいこと、意外と言葉遣いが綺麗なこと、でも少し話したらすぐ毒舌になるところ。
それから、バレーの話になると少し不満そうな顔をすること。
誰にでも触れてほしくないことはあるし、私もそこまでして聞くことじゃないし…と思っているからあんまり聞かない。
それから、これは別に取り決めをしたわけじゃないけど、あんまり学校では話してない。
月島くんの休み時間は寝てるか、音楽を聴いているか、山口くんが話しかけに行っているかのどれかだし、わざわざ山口くんみたいに机まで行って話に行くこともないからね。
詩織ちゃんに言われた事も気にはなっていたし……
月島くんはいつも部活帰りに来ることが多くて、だいたい閉店時間近くまでの30分くらいを過ごして帰る。
そんな時は決まってバス停まで送ってくれて、バスが来るまで一緒に居てくれる。
そんな時、山口くんがいつも言う「ツッキーは優しくてカッコイイ」に心の中で同意する。
「いつも送ってくれてありがとう。ほんと大丈夫だよ?」
「……べつに通り道だし、女の子が夜道で1人とか危ないデショ」
「……ありがと」
女の子扱いされ慣れていない私は恥ずかしくなって俯く。
「それじゃあ、バス来たから……今日も送ってくれてありがとう月島くん」
「イエイエ。じゃあまた明日」
「またねー」
軽く手を振ると鼻で笑われる。
顔がいい人は何をしても華があって……なんかずるい。