春、新生活。
dream
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ゴールデンウィークが明けると、毎年必ず五月病を患う。
「はあ……」
明けた初日の学校は、なかなかつらくて、詩織ちゃんや山口くんがウトウトしながら授業を受けているのが目に入った。
私も眠かったなあ、とアルバイト中に昼間の出来事を思い出す。
時計は5時をさしている。
ゴールデンウィーク期間中は、帰省などで人が多く集まるからか、いつもよりお客さんが多かった。
その反動か今日はお客さんも少なめで、私も思わず立ちながらウトウトしてしまう。
カランカラン……
「いらっしゃいませー……あっ」
「…………ドーモ」
顔を上げると、そこには月島くんがいた。
「つ、月島くん、いらっしゃいませ」
なぜか緊張で声がうわずる。
「……ショートケーキ、持ち帰りでひとつ下さい」
「はい、かしこまりました、ご用意しますね」
ゴソゴソと紙の箱を組み立てる。
先週のゴールデンウィーク特需で組み立ても上手にできるようになっていたはずなのに、緊張で上手く作れない。
「……簗瀬さん」
「はいっ?」
「やっぱり、ここで食べて帰るよ」
「わ、分かりました。ケーキ、持っていくから…お好きな席へどうぞ」
「アリガト」
イートインスペースへ向かった月島くんの背中を見つめ、大きく深呼吸。
大丈夫、大丈夫。
お皿にケーキを載せて、粉砂糖をふりかける。
それをお盆に載せて月島くんの元へと運ぶ。
「おまたせしませた……」
……最悪だ、噛んだ。
「プッ……、ありがとう。キミって結構おっちょこちょいだよね」
「……よく言われマス………」
初めて見る月島くんの笑った顔に、どくん、と鼓動が早くなる。
恥ずかしくなり俯いていると、真里さん……星野夫妻の奥さんから声がかかる。
「あ、美子ちゃん、お友達?今お店空いてるから、一緒に休憩していいよ〜!」
「へっ!?あ、はい……ありがとうございます」
なりゆきで月島くんの前に座る。
真里さんがサービスして下さった紅茶を月島くんと自分に淹れて、綺麗に入った方を月島くんに渡した。
「ありがとう。あのさ、ちょっとお願いがあるんだけど」
紅茶を1口飲んで、月島くんが私を見る。
「お願い……?」
「僕がケーキ買いに来たこと、学校で秘密にして欲しいんだよね」
月島くんからのお願いは、男子高校生らしいとても可愛いものだった。