春、新生活。
dream
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ゴールデンウィークは、休みが長くてアルバイトの民の私にとっては稼ぎ時ではあると思う。
スケジュール帳を開いて、明日から始まる長期休暇に詰め込んだアルバイトの予定を確認する。
なのに……
ホームルームに担任から次々に配られるプリントの山、山、山……
「はぁ……」
そこまで偏差値が高い訳では無いとはいえ、ここは進学クラス。
それなりに課題も沢山あるみたいで。
それなりに忙しい休日になりそうだなあ。
アルバイト……
ふと昨日の出来事を思い出す。
山口くんと…月島くん。
2人が来てくれた。
山口くんには、ケーキ屋さんでアルバイトしてる事は伝えていたけど、お店の名前までは言ってなかったはず。
さっき山口くんはケーキの感想もくれたっけ。
しっとりしてて甘くて濃厚で美味しかった、って、私がガトーショコラもオススメ、なんて言うから、気を遣って買ってくれたガトーショコラの感想を沢山言ってくれた。
シャーペンを握った指先を見る。
ケーキを手渡す時に重なった月島くんの手を思い出した。
肌と一緒でとても白くて細かったけど、ゴツゴツした指も長い大きな手。
バレー部だっけ……
あまり運動が得意じゃないから詳しくはわからないけど、バスケやバレーは高身長で手が大きいイメージがあって、まさに彼の手や身長は想像通りで、あんなに肌は白いけれど、スポーツマンなんだなと思い知る。
鼓動が、早くなる。
深く息を吸ってゆっくりと吐く。
溜息にも似たそれは、隣に座る山口くんにも聞こえたらしく、不思議そうに一連の動作を見られていた。
「簗瀬さんも課題に落ち込んでるの?俺もー」
いつの間にかホームルームは終わっていて、苦笑いを浮かべる彼は、私の当初の悩みを思い出させた。
「まあね、アルバイト沢山するつもりだから、いつやろうかなあ……」
「俺も。ゴールデンウィークは部活で合宿があるからさ、ほんとにいつやれるんだろう…」
「はぁ……」
今度は2人で溜息をつく。
山口くんとは仲良くなれそうだ。
「山口、部活行くよ」
頭上から月島くんの声がする。
「ごめんツッキー!簗瀬さんもまたね!」
山口くんが慌てて席を立って、月島くんを追いかけて行った。
山口くんってワンコみたいだよなあ。
じゃあ月島くんはネコかな。