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dream
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「そういえば新譜が出てるんだよね」
音楽の趣味が同じ事がきっかけで仲良くなった月島くんと付き合い初めて3ヶ月。
今日は、体育館の点検だとかで、普段部活で忙しい月島くんにとっては部活のない放課後は久しぶりで、そんな貴重な時間を私との放課後デートに充ててくれていた。
行き先は仙台のCDショップで、お互いが好きなアーティストの新譜にふたりで釘付けになる。
「絵莉もこのアーティスト好きだったデショ?」
月島くんがCDを何枚か購入して、一緒に店を出た。
少し陽が傾きかけた夕方の大通りを並んで歩く。
月島くんの髪が夕陽に照らされてキラキラ輝いている。
綺麗だなあ、と眺めていると不意に視界が大きく揺れて路地裏に連れ出される。
「やっと二人になれた」
月島くんが私を抱きしめながら深呼吸する。
「えっ、あっ、月島くん、ここ外……!」
月島くんは慌てる私を無視して抱きしめ続ける。
「ねぇ、絵莉。ちょっとこっち向きなよ」
少し屈んで彼が私の額に彼のそれを重ねて囁く。
至近距離で月島くんの琥珀色した瞳に捉えられる。
瞬間、優しく微笑んだ月島くんの唇が私の唇と重なった。
名残惜しげに唇が離れる。
「月島くん……?」
「さっきからずっと思ってたんだけど……二人の時は蛍デショ」
彼が正面から私を抱きしめ、私の顔は彼の胸にうもれる。
私が遠慮がちに「蛍……?」と呼ぶと、彼の心臓の音がどきどきと聞こえた気がした。
「ん、いい子……」
蛍くんは優しく頭を撫でて、もう一度私にキスをした。
「いつも部活漬けで頑張ってるんだから、これくらい許されて当然デショ」
今度は優しく手を繋いで、路地裏を出て本線へ戻る。
「僕だって、ずっと我慢してたんだから……」
彼が小さな声でぼそっと呟いて、驚いて見上げたら、そっぽ向いた彼の真っ赤に染まった耳が目に入った。
普段ヘッドフォンで音楽を聴く彼がポケットからイヤホンを取り出し、私の耳と半分ずつ付ける。
片耳から聞こえたのは、私たちが大好きな歌手の純愛ソングだった。