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dream
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Side Yamaguchi
それは、ある日の昼休みの事だった。
「排球部の紹介です……」
この日は、昼休みに校内放送でバレー部の紹介をする日だった。
放送の担当は日向で、マネージャーの二人もついててくれるらしい。
放送内容は想像通りグダグダで、影山を「ダメ人間」、ツッキーを「意地悪い」、俺のことは「地味」とか紹介したからツッキー怒っちゃって、一緒にお昼食べてたのに放送室に殴り込みに行っちゃって。
地味
昔から、そうだった。
いじめられっ子で、いつもツッキーの大きな背中の影に隠れてた。
だからツッキーは意地悪くないし!
「……山口くんは、行かないの?」
最近仲良くなった長谷川さん。
何故か少し怒ったように俺の方を見ていた。
「……あはは、俺はいいよ。ツッキーは本当はめちゃめちゃ優しいのに意地悪いとか言われてて俺もムカついたけど、俺は、地味、ホントのことだし」
ツッキーみたいに背は高くないしスマートじゃないし、影山みたいな正確さや天性の才能もない、まして日向の超人技は絶対ムリ。
「でも、山口くんのサーブが凄いの知ってるよ」
「え……」
「私、マネージャーじゃないし女子バレー部でもないから、詳しい事は分からないけど、練習とか、見てるから」
長谷川さんは俺のことをじっと見つめながら親権に話を続けた。
「サーブ打つ時の山口くん、かっこいいよ。こんなこと言ったらプレッシャーになるかもしれないけど、山口くんがサーブ打つ時、監督も、先生も、相手チームもお客さんも山口くんを見てる。あの瞬間の山口くんは誰よりも存在感あるから。だから、地味とかそんな事……言っちゃダメ、怒ってよ……」
その瞬間、放送室へ以降とするツッキーの言葉を思い出した。
『山口は、なんで来ないの?』
「烏野のみんなは試合中のサーブを見てないけど、みんな山口くんを信頼してるから安心して一投を託してるんでしょ?月島くんの顔いつも一緒だから分からないけど、月島くんだってさっき地味じゃないって思ったから山口くんにああ言ったんじゃないの……?」
彼女の声がだんだん小さくなっていく。
俺、まだまだかっこ悪いな。
好きな女の子にここまで言わせて。
「ごめん長谷川さん。それから、ありがとう。俺も行ってくる!」
席を立った俺を嬉しそうに長谷川さんが見上げた。
「頑張って!」
結局、俺が体育館裏に辿り着いた時には、日向は影山とツッキーにもうボコボコにされていて、俺の出る幕はなかったけど、まあ、元から俺に出る幕なんてないんだけど、それでもツッキーが少し満足そうに俺を見てくれた。
「山口は、地味じゃないよ」
廊下で帰り際にツッキーがボソッと呟いた。
「あ……あ……ありがとうツッキー!」
「でも」
ツッキーが小さくため息を履く。
「女の子に怒られてる山口はすごくダサいよ、男ならちゃんとしたら」
「ごめんツッキー!」
まったくツッキーの言う通りで、あんなに怒られた俺はかっこ悪い。
もう少し自分に自信が持てるようになったら、もう少し俺がツッキーを助けられるくらいサーブが決められるようになったら、その時は必ず君に好きだよって伝えるから、その時まで少し待っててね。
end
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