市丸ギン
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雨が降るならば濡れぬように雨を遮る傘に。
体温が低くなろうものなら幾多ものの壁に。
刃を剥き、皮膚を裂かれそうになったのならば盾になる。
『ギンちゃんはね、私が守ってあげるから。何にも心配しなくていいの。ずっと何もないように。そしたら心配しなくて済むもん』
将来の約束ではない、小さな約束。大人からしてみれば飯事ままごと同然の約束。
成長するにつれ忘れてしまうだろう、と大人たちは嘲り笑ったけれど。
少年と少女の間では堅い約束が結ばれていた。
世界を廻す君の隣にいたいと思ったのは至極自然だった。
泥だらけで家族が待つ家に帰れば、まだ年若い母は仕方がないと苦笑いする。
「また汚してきたの? 困った子ねぇ……。お転婆な所はお父さんに似たのかしら?」
まだ妹や弟が生まれる前だった。
父は家族を養う為に休む暇なく働く毎日。
言霊のように母に繰り返し聞かせる少年の話。
少年の名は市丸ギン。名が示す通りに美しい銀糸の髪を持ち、幼いながらに◯◯を愛した。
愛は何だと胸に問う知能は持ち合わせていなかったが、自然と浮き上がってくる感情。
友情ではなく、会える時間であるならば、一秒でも延長して夜も一緒に居たかったがそういうわけにもいかない。
瞬く時間でさえも貴い。
やましい下心ではなく、純粋な愛情。
会えるだけで幸せを感じ、手を繋ぐだけで大袈裟だがありったけの愛情を感じていた。
いつ好意を寄せ始めたのかは憶えていない。
気付かぬうちに◯◯の明るさに、人柄に愛らしさに惹かれていた。
◯◯が微笑めばつられて笑ってしまう。
生まれついての細い目が一段と細く小さくなる。
流魂街での生活は苦しく貧しかったが◯◯が存在する事で苦しいとは感じなかった。
例え苦汁を嘗めようことがあっても苦しみはなく、満足だった。
◯◯の頭を撫でながら母は微笑んだ。
泥で濡れた和服の代わりにタオルを被せる。
口癖に近しきいつもの話。
「◯◯はいつも“ギンちゃん”の話ばっかりね。ほら、早く着替えなさい」
「は~い。だって好きなんだもん」
「あら……◯◯ったらおませさんね。どんな子かは知らないけど、お父さんが聞いたらどう言うかしら」
「ギンちゃん? 男の子なのにすっごくきれいで可愛いよ」
物心つかない年頃から、愛だの恋だのを理解しろというのが先ず無理な話だ。
家族愛に似た愛情。
まだ異性というものを知らず、近所に子供らしき子供がいないから比較対象がない故わからない。
だが◯◯はそれでいいと感じた。
不純物の混じらぬ限りなく純粋な愛情。
愛を語るにはまだ早いかと見えたが、その手における精神面は大人たちとなんら変わりない、同じかに見えたのだから。
だからそれでいい、と心の内で呟いた。
幼稚で稚拙且つ大胆な表現しか知らない。
日が暮れるまで疲れの知らぬ身体を酷使し、日が暮れれば帰るのは惜しいが家の戸を開ける。
家族の団欒を三度終えれば睡魔に誘われるまま身を委ね、布団の中で安息の時間を得る。
本能に動かされるまま生活を送る日々は充実していた。
身体にこべり付いていた泥を落とし、手渡された浴衣を羽織る。
布で吸収した水気がまだ少し肌を漂っていて、じんわりと浴衣に染みてくる。
ギンを語る◯◯の目は輝いていた。誇りに思い、自慢なのだろう。毎日が楽しくて仕方がない、そんな目をしている。
小さな幸せを喜ぶ、そんな姿が子供らしくて愛らしい。
「◯◯、それは男の子に失礼よ?」
「私よりきれいなんだもん。ほんとだよ?」
「女の子は可愛い、って言ったら嬉しいかもしれないけど。男の子はきっとあまりいい気持ちじゃないわね」
「ふぅん……変なの」
父がそうだった、と言い聞かせてやると何故か◯◯は納得し、はだけたままの浴衣を帯で締めた。
ぱしゃぱしゃ、と水溜りに足を浸す。
何気なしに水を蹴ればそれは形を変える。
身体が濡れるのも構わず何度も繰り返し、足を上下させた。
「ギンちゃん……?」
家から出て数キロ先に見える少年らしき人影。
地面に座り込んだまま頬杖をついて動こうとはしない。
◯◯は市丸の元に駆け寄り、雨を遮るようにして俯く市丸の前で仁王立ちになって立った。
急に雨が止んだ事に首を傾げ、前の影に気付く。
影はよく見知った少女・◯◯だった。
「◯◯……! 何でここにおるん?」
「外に出たらギンちゃんが見えたから。……濡れちゃうよ? 雨降ってるのに座っちゃだめだよ」
「◯◯かて濡れるやんか。ボクはええから早よどき」
「そうしたらギンちゃんが濡れちゃうでしょ? 傘は濡れなきゃ役に立たないもん」
「……ほな雨宿り、しにいこ。な?」
濡れさせまいと市丸の壁になる◯◯の髪から雫が垂れる。
◯◯の手を取り、濡れないようにと被さるようにして早足で歩を進めた。
廃屋、もしくは木でもいい。
雨宿りできるような場所はないものか。
雨で狭まる視界だけを頼りに探し求める。
「ギンちゃん」
「ん?」
くぐもったような声が腕の近くで音を生む。
◯◯は指差して市丸に伝えようとしていた。
◯◯が指差す方向は東。
目をやれば緑生い茂る大木があった。
二人の身長を足してもまだ届かない大きさ。
隙間が見えないほど緑が生い茂っているならば、雨露をしのげるだろう。
木の下に座り込むと◯◯も隣に腰掛けた。
裾や袖をぎゅうっ、と絞る。
流れ出るような大量の水が地面を潤し、水溜りを作り出した。
継ぎ接ぎが目立つ浴衣。生地が破れれば母に繕って貰い、繰り返した結果なのだろう。
衣服を一新する金銭がないという証。
父親が働いているといっても僅かばかりの収入しかないに違いない。
食いつないでいけるだけまだ恵まれている方なのかもしれないけれど。
職があり、金を持ち合わせていたのなら着物を浴衣を、食糧を与えられるのに。
手助け一つできない、我が身を呪う。
寒くないように、と肩を寄せて。
「◯◯、寒ないか?」
「ちょっとだけ寒いけどすぐ乾くよ。そういえばお腹空いたかなぁ…ギンちゃん、空かない?」
「?」
◯◯は懐を探ると角砂糖を手の平に乗せた。
◯◯の指先が砂糖の粉と雨の水でキラキラと光ってみえる。
雪のようにまっさらな白。
示されるまま口を開けたら◯◯はそれを口の中に放り込んだ。
自身の口にもひとつ。ざらざらとした表面。
物体が溶ける瞬間、甘さが広がる。
「砂糖?」
「美味しいでしょ? お腹一杯にはならないけどお腹の足しにはなるかなって思って」
「美味しいけど……こんな高い物……」
砂糖や菓子類に渡る嗜好品は高値で手に入りにくい。
年端もいかぬ子供なら尚更だ。
3食の食事だけで精一杯だというのにどこから手に入れたのか、市丸は不思議に思った。
「近所の人が紹介してくれたの。内職……代わりにお菓子くれて」
「仕事なんかしとったん? ボク聞いてへんで」
「だって言ってないもん。それに仕事って言ったって造花とかそんなんだし」
そういえば◯◯は物作りが好きだった。
下手の横好きではなく、手先も器用だったことを市丸は思い出した。
流魂街での生活は正直苦しい。
霊力がないものなら食にありつけなくとも苦はないが、市丸や◯◯、そして◯◯の家族には幸か不幸か霊力がある。
当然腹が減ることもあり、食欲もある。
飲まず食わずしては生きられないのだ。
自分よりも年下で幼いというのに。
市丸は小さいながら頭が下がる思いだった。
学院を経て死神になったとして。
上へと階段を上っていくことができたら楽な生活が出来るかもしれない。
夢のまた夢だが。
志す価値は十二分にある。
そして少年時代を通り過ぎ、死神として奇跡か悪戯の賜物か、二人は出会うこととなる。
貴方の記憶に小さな私は残っていないだろうけど。
◯◯はふと微笑んだ。
思い出し笑いでも他者の目には微笑みに映る。
「◯◯? どないしたん? 急に笑い出して」
「え……」
筆を手にする自分の前には隊長である、かつて少年であった彼の姿があった。
一回りは小さな身体を腕の中に納め、市丸は◯◯の表情を窺う。
「ちょっと昔を思い出してて。笑ってました?」
「楽しそ~に笑っとった」
「きっと思い出し笑いしてただけですよ。昔大好きだった男の子がいたんですけど、遊んでいるのがすごく楽しくて。懐かしいなあ……って」
腕に更なる力を込めて、筆を進める手を休めさせるのが目的だ。
いくら抗おうとも切り離す事は敵わない。
「仕事が進まないんですけど……」
「それ目的やから。別にええよ」
「これが終わらないことにはどうしようもないですし……! 仕事中はダメだっていつも言ってるじゃないですか!」
「“男の子”とやらに妬いてまうわ」
「でもそれはっ……」
墨で染みた筆先が地面に解読できぬ文字を書く。
銀糸を押し当てられて言葉は奪われる。
『それはあなた自身です』とも言えず目を瞑った。
体温が低くなろうものなら幾多ものの壁に。
刃を剥き、皮膚を裂かれそうになったのならば盾になる。
『ギンちゃんはね、私が守ってあげるから。何にも心配しなくていいの。ずっと何もないように。そしたら心配しなくて済むもん』
将来の約束ではない、小さな約束。大人からしてみれば飯事ままごと同然の約束。
成長するにつれ忘れてしまうだろう、と大人たちは嘲り笑ったけれど。
少年と少女の間では堅い約束が結ばれていた。
世界を廻す君の隣にいたいと思ったのは至極自然だった。
泥だらけで家族が待つ家に帰れば、まだ年若い母は仕方がないと苦笑いする。
「また汚してきたの? 困った子ねぇ……。お転婆な所はお父さんに似たのかしら?」
まだ妹や弟が生まれる前だった。
父は家族を養う為に休む暇なく働く毎日。
言霊のように母に繰り返し聞かせる少年の話。
少年の名は市丸ギン。名が示す通りに美しい銀糸の髪を持ち、幼いながらに◯◯を愛した。
愛は何だと胸に問う知能は持ち合わせていなかったが、自然と浮き上がってくる感情。
友情ではなく、会える時間であるならば、一秒でも延長して夜も一緒に居たかったがそういうわけにもいかない。
瞬く時間でさえも貴い。
やましい下心ではなく、純粋な愛情。
会えるだけで幸せを感じ、手を繋ぐだけで大袈裟だがありったけの愛情を感じていた。
いつ好意を寄せ始めたのかは憶えていない。
気付かぬうちに◯◯の明るさに、人柄に愛らしさに惹かれていた。
◯◯が微笑めばつられて笑ってしまう。
生まれついての細い目が一段と細く小さくなる。
流魂街での生活は苦しく貧しかったが◯◯が存在する事で苦しいとは感じなかった。
例え苦汁を嘗めようことがあっても苦しみはなく、満足だった。
◯◯の頭を撫でながら母は微笑んだ。
泥で濡れた和服の代わりにタオルを被せる。
口癖に近しきいつもの話。
「◯◯はいつも“ギンちゃん”の話ばっかりね。ほら、早く着替えなさい」
「は~い。だって好きなんだもん」
「あら……◯◯ったらおませさんね。どんな子かは知らないけど、お父さんが聞いたらどう言うかしら」
「ギンちゃん? 男の子なのにすっごくきれいで可愛いよ」
物心つかない年頃から、愛だの恋だのを理解しろというのが先ず無理な話だ。
家族愛に似た愛情。
まだ異性というものを知らず、近所に子供らしき子供がいないから比較対象がない故わからない。
だが◯◯はそれでいいと感じた。
不純物の混じらぬ限りなく純粋な愛情。
愛を語るにはまだ早いかと見えたが、その手における精神面は大人たちとなんら変わりない、同じかに見えたのだから。
だからそれでいい、と心の内で呟いた。
幼稚で稚拙且つ大胆な表現しか知らない。
日が暮れるまで疲れの知らぬ身体を酷使し、日が暮れれば帰るのは惜しいが家の戸を開ける。
家族の団欒を三度終えれば睡魔に誘われるまま身を委ね、布団の中で安息の時間を得る。
本能に動かされるまま生活を送る日々は充実していた。
身体にこべり付いていた泥を落とし、手渡された浴衣を羽織る。
布で吸収した水気がまだ少し肌を漂っていて、じんわりと浴衣に染みてくる。
ギンを語る◯◯の目は輝いていた。誇りに思い、自慢なのだろう。毎日が楽しくて仕方がない、そんな目をしている。
小さな幸せを喜ぶ、そんな姿が子供らしくて愛らしい。
「◯◯、それは男の子に失礼よ?」
「私よりきれいなんだもん。ほんとだよ?」
「女の子は可愛い、って言ったら嬉しいかもしれないけど。男の子はきっとあまりいい気持ちじゃないわね」
「ふぅん……変なの」
父がそうだった、と言い聞かせてやると何故か◯◯は納得し、はだけたままの浴衣を帯で締めた。
ぱしゃぱしゃ、と水溜りに足を浸す。
何気なしに水を蹴ればそれは形を変える。
身体が濡れるのも構わず何度も繰り返し、足を上下させた。
「ギンちゃん……?」
家から出て数キロ先に見える少年らしき人影。
地面に座り込んだまま頬杖をついて動こうとはしない。
◯◯は市丸の元に駆け寄り、雨を遮るようにして俯く市丸の前で仁王立ちになって立った。
急に雨が止んだ事に首を傾げ、前の影に気付く。
影はよく見知った少女・◯◯だった。
「◯◯……! 何でここにおるん?」
「外に出たらギンちゃんが見えたから。……濡れちゃうよ? 雨降ってるのに座っちゃだめだよ」
「◯◯かて濡れるやんか。ボクはええから早よどき」
「そうしたらギンちゃんが濡れちゃうでしょ? 傘は濡れなきゃ役に立たないもん」
「……ほな雨宿り、しにいこ。な?」
濡れさせまいと市丸の壁になる◯◯の髪から雫が垂れる。
◯◯の手を取り、濡れないようにと被さるようにして早足で歩を進めた。
廃屋、もしくは木でもいい。
雨宿りできるような場所はないものか。
雨で狭まる視界だけを頼りに探し求める。
「ギンちゃん」
「ん?」
くぐもったような声が腕の近くで音を生む。
◯◯は指差して市丸に伝えようとしていた。
◯◯が指差す方向は東。
目をやれば緑生い茂る大木があった。
二人の身長を足してもまだ届かない大きさ。
隙間が見えないほど緑が生い茂っているならば、雨露をしのげるだろう。
木の下に座り込むと◯◯も隣に腰掛けた。
裾や袖をぎゅうっ、と絞る。
流れ出るような大量の水が地面を潤し、水溜りを作り出した。
継ぎ接ぎが目立つ浴衣。生地が破れれば母に繕って貰い、繰り返した結果なのだろう。
衣服を一新する金銭がないという証。
父親が働いているといっても僅かばかりの収入しかないに違いない。
食いつないでいけるだけまだ恵まれている方なのかもしれないけれど。
職があり、金を持ち合わせていたのなら着物を浴衣を、食糧を与えられるのに。
手助け一つできない、我が身を呪う。
寒くないように、と肩を寄せて。
「◯◯、寒ないか?」
「ちょっとだけ寒いけどすぐ乾くよ。そういえばお腹空いたかなぁ…ギンちゃん、空かない?」
「?」
◯◯は懐を探ると角砂糖を手の平に乗せた。
◯◯の指先が砂糖の粉と雨の水でキラキラと光ってみえる。
雪のようにまっさらな白。
示されるまま口を開けたら◯◯はそれを口の中に放り込んだ。
自身の口にもひとつ。ざらざらとした表面。
物体が溶ける瞬間、甘さが広がる。
「砂糖?」
「美味しいでしょ? お腹一杯にはならないけどお腹の足しにはなるかなって思って」
「美味しいけど……こんな高い物……」
砂糖や菓子類に渡る嗜好品は高値で手に入りにくい。
年端もいかぬ子供なら尚更だ。
3食の食事だけで精一杯だというのにどこから手に入れたのか、市丸は不思議に思った。
「近所の人が紹介してくれたの。内職……代わりにお菓子くれて」
「仕事なんかしとったん? ボク聞いてへんで」
「だって言ってないもん。それに仕事って言ったって造花とかそんなんだし」
そういえば◯◯は物作りが好きだった。
下手の横好きではなく、手先も器用だったことを市丸は思い出した。
流魂街での生活は正直苦しい。
霊力がないものなら食にありつけなくとも苦はないが、市丸や◯◯、そして◯◯の家族には幸か不幸か霊力がある。
当然腹が減ることもあり、食欲もある。
飲まず食わずしては生きられないのだ。
自分よりも年下で幼いというのに。
市丸は小さいながら頭が下がる思いだった。
学院を経て死神になったとして。
上へと階段を上っていくことができたら楽な生活が出来るかもしれない。
夢のまた夢だが。
志す価値は十二分にある。
そして少年時代を通り過ぎ、死神として奇跡か悪戯の賜物か、二人は出会うこととなる。
貴方の記憶に小さな私は残っていないだろうけど。
◯◯はふと微笑んだ。
思い出し笑いでも他者の目には微笑みに映る。
「◯◯? どないしたん? 急に笑い出して」
「え……」
筆を手にする自分の前には隊長である、かつて少年であった彼の姿があった。
一回りは小さな身体を腕の中に納め、市丸は◯◯の表情を窺う。
「ちょっと昔を思い出してて。笑ってました?」
「楽しそ~に笑っとった」
「きっと思い出し笑いしてただけですよ。昔大好きだった男の子がいたんですけど、遊んでいるのがすごく楽しくて。懐かしいなあ……って」
腕に更なる力を込めて、筆を進める手を休めさせるのが目的だ。
いくら抗おうとも切り離す事は敵わない。
「仕事が進まないんですけど……」
「それ目的やから。別にええよ」
「これが終わらないことにはどうしようもないですし……! 仕事中はダメだっていつも言ってるじゃないですか!」
「“男の子”とやらに妬いてまうわ」
「でもそれはっ……」
墨で染みた筆先が地面に解読できぬ文字を書く。
銀糸を押し当てられて言葉は奪われる。
『それはあなた自身です』とも言えず目を瞑った。
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