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姫さんが広めたクリスマスってやつが近くなると、仕事が忙しくなる。
贅沢三昧してて胃をやられたり、風邪を引いたり。正にクリスマス様様ってやつだよな。
家族や恋人と過ごすイベントだから、店が開いてたとしても早くに閉めるから、お客さんはまとめて買い求めてくれるってわけだ。有り難い話だよな。
けど今年のクリスマスは姫さんに誘われて、隠れ家で過ごすことになったから商売は一日休みだ。
外に出たらオレが商売のことしか考えないと見越してのことだろう、御馳走も隠れ家で食べるらしい。
夢世界のあちこちに出掛けてるとはいえ、贅沢な食事は全くしてないから楽しみだ。
「姫さん、来たぞ? メリークリスマス」
「メリークリスマス、ダヤン君。寒いから早く入って? ダヤン君の家でもあるんだから」
オレの家でもある──か。年中移動してばっかだから考えたことなんてなかったけど、帰りを待っててくれる奴がいるってのは幸せだよな。
何もかも失くして、金に執着してたオレが初めて心の底から信用することができた相手。後にも先にももういないだろなあ。
夢世界を渡り歩くオレに家なんか必要ないと思ってたけど、ここは別格だ。
なんかほっとして気が抜けちまう。でもリラックスできる場所があるってのは悪くねえ。
「外、寒かったでしょう? 今年は寒くなるって言ってたから、ダヤン君、風邪引かないでね? ダヤン君のお仕事は体が資本だし」
「それは姫さんもだろ。休みの時くらいゆっくりしないと寝込む羽目になるぜ?」
「だってクリスマスは年一回のイベントだもん。つい気合い入れちゃった」
テーブルの上にはホームパーティーでも始めるんじゃないかってくらいの料理が並んでる。
ローストビーフにミネストローネ。リースを模した色彩豊かなシーフードサラダ。真っ赤なストロベリーで敷き詰められたタルト──前菜からデザートまでよりどりみどりだ。
なあ、姫さんってトロイメアのお姫さんだよな? それも宗主国のお姫様が料理作ったり、料理だけじゃなくて家事こなしたりするなんて聞いたことないけど。
あ、そういえば姫さんはトロイメアじゃない所で育ったって言ってたっけか。そこで特殊な訓練でも受けたのだろうか。
そう言うと姫さんは微笑を浮かべた。
「違うよ、私は国民と同じように普通に育ったの。だからこういうことするのは、私からすればごく普通のことなの」
「まあオレはあんたの手料理味わえて嬉しいけど。ほっぺた落ちそうなくらい、旨いなあ……」
小皿に料理を取り分けながら、オレは何かにとり憑かれたように只管料理を口の中に放り込む。
料理が旨すぎて忘れそうになってたけど、クリスマスプレゼント用意してたんだった。
行商で訪れた街で見かけた、シトリンのネックレス。太陽みたいに明るくて、あんたみたいだなと思ったら自然と手に取って買っちまった。
「こんな時くらいしか渡せないし、これ。クリスマスには大切な相手に贈り物するんだろ? あ、もちろん金は取らないから受け取ってくれる……よな?」
「……変なダヤン君。ありがとう、これなら旅の間も身に付けられるし、すごく嬉しいよ。私からはこれ」
姫さんが差し出した紙袋にはタータンチェックのマフラーが入っていた。
まだこれから寒さが続くと考えてのクリスマスプレゼントに、オレはどうしようもなく嬉しくてその場で巻いて見せた。
「姫さん、ありがとな!」
オレがそう言うと、姫さんはイルミネーションのように明るい笑顔を見せてくれた。
これで明日からまた頑張れそうだ。
贅沢三昧してて胃をやられたり、風邪を引いたり。正にクリスマス様様ってやつだよな。
家族や恋人と過ごすイベントだから、店が開いてたとしても早くに閉めるから、お客さんはまとめて買い求めてくれるってわけだ。有り難い話だよな。
けど今年のクリスマスは姫さんに誘われて、隠れ家で過ごすことになったから商売は一日休みだ。
外に出たらオレが商売のことしか考えないと見越してのことだろう、御馳走も隠れ家で食べるらしい。
夢世界のあちこちに出掛けてるとはいえ、贅沢な食事は全くしてないから楽しみだ。
「姫さん、来たぞ? メリークリスマス」
「メリークリスマス、ダヤン君。寒いから早く入って? ダヤン君の家でもあるんだから」
オレの家でもある──か。年中移動してばっかだから考えたことなんてなかったけど、帰りを待っててくれる奴がいるってのは幸せだよな。
何もかも失くして、金に執着してたオレが初めて心の底から信用することができた相手。後にも先にももういないだろなあ。
夢世界を渡り歩くオレに家なんか必要ないと思ってたけど、ここは別格だ。
なんかほっとして気が抜けちまう。でもリラックスできる場所があるってのは悪くねえ。
「外、寒かったでしょう? 今年は寒くなるって言ってたから、ダヤン君、風邪引かないでね? ダヤン君のお仕事は体が資本だし」
「それは姫さんもだろ。休みの時くらいゆっくりしないと寝込む羽目になるぜ?」
「だってクリスマスは年一回のイベントだもん。つい気合い入れちゃった」
テーブルの上にはホームパーティーでも始めるんじゃないかってくらいの料理が並んでる。
ローストビーフにミネストローネ。リースを模した色彩豊かなシーフードサラダ。真っ赤なストロベリーで敷き詰められたタルト──前菜からデザートまでよりどりみどりだ。
なあ、姫さんってトロイメアのお姫さんだよな? それも宗主国のお姫様が料理作ったり、料理だけじゃなくて家事こなしたりするなんて聞いたことないけど。
あ、そういえば姫さんはトロイメアじゃない所で育ったって言ってたっけか。そこで特殊な訓練でも受けたのだろうか。
そう言うと姫さんは微笑を浮かべた。
「違うよ、私は国民と同じように普通に育ったの。だからこういうことするのは、私からすればごく普通のことなの」
「まあオレはあんたの手料理味わえて嬉しいけど。ほっぺた落ちそうなくらい、旨いなあ……」
小皿に料理を取り分けながら、オレは何かにとり憑かれたように只管料理を口の中に放り込む。
料理が旨すぎて忘れそうになってたけど、クリスマスプレゼント用意してたんだった。
行商で訪れた街で見かけた、シトリンのネックレス。太陽みたいに明るくて、あんたみたいだなと思ったら自然と手に取って買っちまった。
「こんな時くらいしか渡せないし、これ。クリスマスには大切な相手に贈り物するんだろ? あ、もちろん金は取らないから受け取ってくれる……よな?」
「……変なダヤン君。ありがとう、これなら旅の間も身に付けられるし、すごく嬉しいよ。私からはこれ」
姫さんが差し出した紙袋にはタータンチェックのマフラーが入っていた。
まだこれから寒さが続くと考えてのクリスマスプレゼントに、オレはどうしようもなく嬉しくてその場で巻いて見せた。
「姫さん、ありがとな!」
オレがそう言うと、姫さんはイルミネーションのように明るい笑顔を見せてくれた。
これで明日からまた頑張れそうだ。