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あれから僕の体調もよくなり、最初は散歩したり庭先でティータイムを楽しんでいたりしたけど、畑いじりの経験があるイザーク兄さんに頼み込んで僕は花を育てるようになった。
君は花が大好きだ。花を前にすると陽光のような笑顔が咲く。
自分で育てた花を手土産に、多忙な姫が作ってくれた休日に隠れ家を訪れる。それがいつしか僕の日常になっていた。
なんて幸せな日常なんだろう。まるで今も夢を見ているみたいだ。
季節はすっかり冬になり、草花は雪を纏っている。それでも元気に育っているんだから不思議なものだね。
今日は待ちに待ったクリスマス。なんでも大切な人と過ごす日らしい。
兄弟とはいつでも過ごせるけど、君と過ごす時間は貴重だから──そう言うと君は花のような笑顔を向けてくれた。
「アダムが私と過ごすこと、みんな許可してくれたの?」
「以前より体調もよくなったし、僕だってもう大人だよ。自分のことくらい自分で決められる」
「あ、違うの。子供扱いしたわけじゃなくて、みんなが心配してないかなって思っただけ」
「知ってるよ」
僕にだけじゃなくて、その優しさは誰にだって向けられるものだ。一介の民でさえ、君は優しさを向けることができる。
トロイメアのお姫様なんだから、我儘で高飛車になったっていいのにね。
お姫様ならこんなふうに食事だって用意してくれない。
自分でできることは自分でやる、思いやりがあって優しくて芯の強い君が大好きなんだ。
「ね、姫。そろそろケーキ食べない?」
ディナーを味わって間もないのに、クリスマスケーキを待てなくて僕は姫に強請る。
すると姫は冷蔵庫で冷やしたクリスマスケーキを出してくれた。
ブッシュドノエルと呼ばれるロールケーキの上には、砂糖でできたトナカイとサンタクロースが乗っていた。
「可愛くて食べるのがもったいないね」
「でもケーキは長持ちしないから今日食べちゃわないと。好きなだけ食べてね、アダム」
ナイフでケーキを切り分けて、姫はケーキが乗ったお皿を手渡してくれる。
ショコルーテのチョコも美味しかったけど、これもショコルーテのものなんだっけ。
フォークでケーキをひとかけら掬い、口に放り込むと生クリームと苺の甘さが広がっていく。
イザーク兄さんも手作りのお菓子を出してくれるけど、チョコや生クリームは贅沢品でなかなか手に入らないからすごく新鮮だよ。
「あ、すっかり忘れちゃってた。姫、はい、これ。メリークリスマス」
「え? アダム、知ってたの?」
だってクリスマスのこと、教えてくれたのは君だから。
大切な人と過ごしてプレゼントを贈り合う。君からは以前から色んなものを貰ってばかりだから、どうか僕の心を受け取って。
ビロードのリボンを紐解いて、クリムゾンのギフトボックスを開けるとスノードームが姿を現す。
あまり高価な物は好まないみたいだし、中を見ると雪が降ってるでしょ? この雪はね、光の加減で色が変わるし光エネルギーを蓄えて暗闇でも光るんだって。仕組みはよくわからないけど、素敵だなって思ったんだ。
「暗い場所でも光るから枕元に置いてもいいし。使ってくれたら嬉しいな」
「すごく嬉しいよ。ありがとう──ねぇ、早速どんな明かりか試してみてもいい?」
うん、と頷くと姫はライトを落とす。
暗闇の中で光るスノードームが僅かに姫の居場所を告げた。
「大好きよ、アダム」
囁きと共に落とされる口付け。柔らかな感触に僕の顔は真っ赤になっているだろう。
君って人は本当にずるいよ。僕は何だか悔しくなって、姫の唇に自分のものを重ねた。
クリスマスのキスはひどく甘ったるくて、またおかわりが欲しくなるくらいに幸せな気持ちにさせてくれるものだった。
君は花が大好きだ。花を前にすると陽光のような笑顔が咲く。
自分で育てた花を手土産に、多忙な姫が作ってくれた休日に隠れ家を訪れる。それがいつしか僕の日常になっていた。
なんて幸せな日常なんだろう。まるで今も夢を見ているみたいだ。
季節はすっかり冬になり、草花は雪を纏っている。それでも元気に育っているんだから不思議なものだね。
今日は待ちに待ったクリスマス。なんでも大切な人と過ごす日らしい。
兄弟とはいつでも過ごせるけど、君と過ごす時間は貴重だから──そう言うと君は花のような笑顔を向けてくれた。
「アダムが私と過ごすこと、みんな許可してくれたの?」
「以前より体調もよくなったし、僕だってもう大人だよ。自分のことくらい自分で決められる」
「あ、違うの。子供扱いしたわけじゃなくて、みんなが心配してないかなって思っただけ」
「知ってるよ」
僕にだけじゃなくて、その優しさは誰にだって向けられるものだ。一介の民でさえ、君は優しさを向けることができる。
トロイメアのお姫様なんだから、我儘で高飛車になったっていいのにね。
お姫様ならこんなふうに食事だって用意してくれない。
自分でできることは自分でやる、思いやりがあって優しくて芯の強い君が大好きなんだ。
「ね、姫。そろそろケーキ食べない?」
ディナーを味わって間もないのに、クリスマスケーキを待てなくて僕は姫に強請る。
すると姫は冷蔵庫で冷やしたクリスマスケーキを出してくれた。
ブッシュドノエルと呼ばれるロールケーキの上には、砂糖でできたトナカイとサンタクロースが乗っていた。
「可愛くて食べるのがもったいないね」
「でもケーキは長持ちしないから今日食べちゃわないと。好きなだけ食べてね、アダム」
ナイフでケーキを切り分けて、姫はケーキが乗ったお皿を手渡してくれる。
ショコルーテのチョコも美味しかったけど、これもショコルーテのものなんだっけ。
フォークでケーキをひとかけら掬い、口に放り込むと生クリームと苺の甘さが広がっていく。
イザーク兄さんも手作りのお菓子を出してくれるけど、チョコや生クリームは贅沢品でなかなか手に入らないからすごく新鮮だよ。
「あ、すっかり忘れちゃってた。姫、はい、これ。メリークリスマス」
「え? アダム、知ってたの?」
だってクリスマスのこと、教えてくれたのは君だから。
大切な人と過ごしてプレゼントを贈り合う。君からは以前から色んなものを貰ってばかりだから、どうか僕の心を受け取って。
ビロードのリボンを紐解いて、クリムゾンのギフトボックスを開けるとスノードームが姿を現す。
あまり高価な物は好まないみたいだし、中を見ると雪が降ってるでしょ? この雪はね、光の加減で色が変わるし光エネルギーを蓄えて暗闇でも光るんだって。仕組みはよくわからないけど、素敵だなって思ったんだ。
「暗い場所でも光るから枕元に置いてもいいし。使ってくれたら嬉しいな」
「すごく嬉しいよ。ありがとう──ねぇ、早速どんな明かりか試してみてもいい?」
うん、と頷くと姫はライトを落とす。
暗闇の中で光るスノードームが僅かに姫の居場所を告げた。
「大好きよ、アダム」
囁きと共に落とされる口付け。柔らかな感触に僕の顔は真っ赤になっているだろう。
君って人は本当にずるいよ。僕は何だか悔しくなって、姫の唇に自分のものを重ねた。
クリスマスのキスはひどく甘ったるくて、またおかわりが欲しくなるくらいに幸せな気持ちにさせてくれるものだった。