無配
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
一国の姫が、それも宗主国の姫が朝から夕方までキッチンに籠もり、料理に勤しんでいた。
恋人冥利に尽きるというものですが、それはそれで淋しいというものですよ。今日はクリスマスという日なのでしょう?
水と油のように、相容れることなどなかった僕と貴方は今ナビが用意してくれた愛の巣で休日を過ごしている。
この僕を隠れ家に招き、万が一何かあった時のことを考えていないのですか? 兄妹揃ってお人好しですね。それもかなり重症の。
まあ、そうでなければこの僕の相手など務まらないでしょうからね。
「それはそうとクリスマスという日は恋人を太らせてどうにかしようという日なのですか? ローストチキンにミートドリア、フライドポテト──まだ食後にケーキもあるというのに、このままでは明日には牛になってしまいそうですよ」
「だってフレイグさんとこうやってご飯食べるの初めてですから、少しはりきり過ぎちゃいました」
同じ時間を長く共有はしましたが、恋人としてではなく仲間としてでしたし、何より互いの信念のために何度もぶつかり、愛だの恋だの考える余裕なんてなかったですからね。
なにより僕は一時は心の底から貴方を、この世界のすべてを憎んで蔑んでいた。
それなのに今では貴方の優しさに甘え、憎み蔑んでいたことが無駄とさえ思えるんですから。
咲き乱れる花々のように、僕の心にも色鮮やかな花が咲き始め、それは冬の厳しい寒さなど感じないのか毎日成長していく。何もかも貴方のせいですよ。
「食事を楽しむ余裕ができたのはいいことですが。トルークビルではこんなことは味わえませんからね。弟達が賑やかすぎて」
「ふふ、そうですよね。今は皆元気で楽しくやってるなら何よりです。あ、そうそう、ケーキはもう少ししてから食べます?」
僕の胃袋はひとつしかないのですから、そうしてもらえると有り難いですね。
ショコルーテでわざわざ今日のために予約してきたという、クリスマスケーキは予約していても受け取りに数時間かかると言っていましたね。何でも数量限定なんだとか。
他国に行ってまでスイーツを持ち帰りたいだなんて、貴方はどこまで甘いものに目がないんですか。
まあ確かに僕は隔絶されたトルークビルにいましたからね。そんな贅沢品とは無縁でしたから、関心はあるのですが。
スポンジケーキにたっぷりの生クリーム、中にはフルーツが敷き詰められ、表面には熟した苺と砂糖でできたサンタクロースとトナカイの人形が乗っていた。食べられるというのににこやかな笑顔を浮かべながら。
僕にはもう何が何やら分かりませんね。
「生憎僕の体はひとつしかないんですよ。大食漢ではないのでね」
「でも女性にとってはデザートは別腹ですよ?」
「やれやれ……困ったお姫様だ。それでは食べましょうか、仕方ありませんからね」
気が優しいのに頑固なのは相変わらずですね。今日もこうして僕が折れることになる。
クリスマスはサンタクロースが一年良い子にしていた子供にプレゼントを贈る日でしたよね。
それなら僕の我儘でささやかな願いを叶えて貰いましょうか。ゆっくりと時間をかけて、僕を幸せにすると言って下さい。
僕も微力ではありますが協力させてもらいますよ。
恋人冥利に尽きるというものですが、それはそれで淋しいというものですよ。今日はクリスマスという日なのでしょう?
水と油のように、相容れることなどなかった僕と貴方は今ナビが用意してくれた愛の巣で休日を過ごしている。
この僕を隠れ家に招き、万が一何かあった時のことを考えていないのですか? 兄妹揃ってお人好しですね。それもかなり重症の。
まあ、そうでなければこの僕の相手など務まらないでしょうからね。
「それはそうとクリスマスという日は恋人を太らせてどうにかしようという日なのですか? ローストチキンにミートドリア、フライドポテト──まだ食後にケーキもあるというのに、このままでは明日には牛になってしまいそうですよ」
「だってフレイグさんとこうやってご飯食べるの初めてですから、少しはりきり過ぎちゃいました」
同じ時間を長く共有はしましたが、恋人としてではなく仲間としてでしたし、何より互いの信念のために何度もぶつかり、愛だの恋だの考える余裕なんてなかったですからね。
なにより僕は一時は心の底から貴方を、この世界のすべてを憎んで蔑んでいた。
それなのに今では貴方の優しさに甘え、憎み蔑んでいたことが無駄とさえ思えるんですから。
咲き乱れる花々のように、僕の心にも色鮮やかな花が咲き始め、それは冬の厳しい寒さなど感じないのか毎日成長していく。何もかも貴方のせいですよ。
「食事を楽しむ余裕ができたのはいいことですが。トルークビルではこんなことは味わえませんからね。弟達が賑やかすぎて」
「ふふ、そうですよね。今は皆元気で楽しくやってるなら何よりです。あ、そうそう、ケーキはもう少ししてから食べます?」
僕の胃袋はひとつしかないのですから、そうしてもらえると有り難いですね。
ショコルーテでわざわざ今日のために予約してきたという、クリスマスケーキは予約していても受け取りに数時間かかると言っていましたね。何でも数量限定なんだとか。
他国に行ってまでスイーツを持ち帰りたいだなんて、貴方はどこまで甘いものに目がないんですか。
まあ確かに僕は隔絶されたトルークビルにいましたからね。そんな贅沢品とは無縁でしたから、関心はあるのですが。
スポンジケーキにたっぷりの生クリーム、中にはフルーツが敷き詰められ、表面には熟した苺と砂糖でできたサンタクロースとトナカイの人形が乗っていた。食べられるというのににこやかな笑顔を浮かべながら。
僕にはもう何が何やら分かりませんね。
「生憎僕の体はひとつしかないんですよ。大食漢ではないのでね」
「でも女性にとってはデザートは別腹ですよ?」
「やれやれ……困ったお姫様だ。それでは食べましょうか、仕方ありませんからね」
気が優しいのに頑固なのは相変わらずですね。今日もこうして僕が折れることになる。
クリスマスはサンタクロースが一年良い子にしていた子供にプレゼントを贈る日でしたよね。
それなら僕の我儘でささやかな願いを叶えて貰いましょうか。ゆっくりと時間をかけて、僕を幸せにすると言って下さい。
僕も微力ではありますが協力させてもらいますよ。