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シャロンは王子様でありながら、キャラバンの護衛をしたりして生計を立てている。
その苦労は彼の腕に刻まれている小さな傷がそれを証明している。
国民の未来を思うには幼いシャロンではあるけれど、その明るい太陽のような笑顔は苦労をしていることを微塵も感じさせない。
休暇の時くらいは体を休めてほしいと思い、思いきってクリスマスはスノウフィリアで過ごすことに決め、彼を連れてきた。
「なあ、姫ちゃん。これ、空から降ってくるやつ、雪……だったっけ?」
雪が服や肌の上で解ける度、シャロンはそれを不思議そうに見つめる。
ラビアは昼と夜で気温差があり、夜間は寒いものの、砂漠なので雪が降ることはない。
雪景色も初めて見るものであり、シャロンの目には真新しく映るのだろう。
街は雪で覆われ、人々もコートやダウンジャケットなどでしっかりと防寒対策をしていて、肌を露出している人などはもちろんいない。
シャロンもダッフルコートを着用し、イヤーマフにニット帽、更には手袋まで身に付けて防寒対策はばっちりだ。
だけど顔まではどうしようもできなくて、鼻が真っ赤に染まっている。まるでトナカイみたい。
「そうそう。ラビアの夜も寒いけど、ここはずっと寒いから風邪を引かないようにね?」
私達のお目当ては言わずもがなクリスマスツリー。クリスマスと言えばこれは外せない。
私が広めたクリスマスではあるけれど、国によって特色が異なっていて違いがあるのが面白い。
スノウフィリアの街中に立ってある、天にも届きそうなほど巨大なクリスマスツリーのオーナメントはシンプルだけど、雪を纏った純白が何とも言えず美しい。それはもう、言葉を失なってしまうくらいに。
「随分でかいんだなあ。なあ、でも降ってる雪は解けるのに、何でこのツリーは雪まみれでいれるんだ?」
「このクリスマスツリーはね、雪が付着するようになってるの。雪がどんなに降り積もったって、スノウフィリアの民は強く逞しく生きていくの。この雪はね、いわば大切な人を思う気持ちの深さ──だから何があっても解けちゃいけないの」
このクリスマスツリーはラビアにも通じるものがある。
昼間は灼熱のような陽射しが照り付け、夜には時に命を奪いかねない冷たさで襲いかかってくる。
だけどラビアの民は心が折れてしまうことはなく、それを日常として受け入れ、強く逞しく生きているでしょう。
オアシスが限られていても、富んでいなくたって、みんな大切な人のために生き、生活を送っている。
あなたもそう。お金がなければキャラバンの護衛をしたりして、生計を立てているじゃない。
そのあなたの行いが何より素晴らしいと、心の底からそう思う。
「ああ、そうか。ラビアと一緒なんだな、スノウフィリアも。ラビアもさ、生活はしにくいけど俺はラビアの王子として生まれてよかったなって思う。王子じゃなきゃ、姫ちゃんにも会えなかっただろうし……なんてな」
シャロンらしからぬ言葉に、鼻みたいに真っ赤な顔をしているのが可愛いなんて口にはしないけれど。
手袋越しに繋いだ手は不思議と寒さを感じないくらいに熱を持っていて、ラビアのサンタさんは私の心も温めてくれたようだった。
その苦労は彼の腕に刻まれている小さな傷がそれを証明している。
国民の未来を思うには幼いシャロンではあるけれど、その明るい太陽のような笑顔は苦労をしていることを微塵も感じさせない。
休暇の時くらいは体を休めてほしいと思い、思いきってクリスマスはスノウフィリアで過ごすことに決め、彼を連れてきた。
「なあ、姫ちゃん。これ、空から降ってくるやつ、雪……だったっけ?」
雪が服や肌の上で解ける度、シャロンはそれを不思議そうに見つめる。
ラビアは昼と夜で気温差があり、夜間は寒いものの、砂漠なので雪が降ることはない。
雪景色も初めて見るものであり、シャロンの目には真新しく映るのだろう。
街は雪で覆われ、人々もコートやダウンジャケットなどでしっかりと防寒対策をしていて、肌を露出している人などはもちろんいない。
シャロンもダッフルコートを着用し、イヤーマフにニット帽、更には手袋まで身に付けて防寒対策はばっちりだ。
だけど顔まではどうしようもできなくて、鼻が真っ赤に染まっている。まるでトナカイみたい。
「そうそう。ラビアの夜も寒いけど、ここはずっと寒いから風邪を引かないようにね?」
私達のお目当ては言わずもがなクリスマスツリー。クリスマスと言えばこれは外せない。
私が広めたクリスマスではあるけれど、国によって特色が異なっていて違いがあるのが面白い。
スノウフィリアの街中に立ってある、天にも届きそうなほど巨大なクリスマスツリーのオーナメントはシンプルだけど、雪を纏った純白が何とも言えず美しい。それはもう、言葉を失なってしまうくらいに。
「随分でかいんだなあ。なあ、でも降ってる雪は解けるのに、何でこのツリーは雪まみれでいれるんだ?」
「このクリスマスツリーはね、雪が付着するようになってるの。雪がどんなに降り積もったって、スノウフィリアの民は強く逞しく生きていくの。この雪はね、いわば大切な人を思う気持ちの深さ──だから何があっても解けちゃいけないの」
このクリスマスツリーはラビアにも通じるものがある。
昼間は灼熱のような陽射しが照り付け、夜には時に命を奪いかねない冷たさで襲いかかってくる。
だけどラビアの民は心が折れてしまうことはなく、それを日常として受け入れ、強く逞しく生きているでしょう。
オアシスが限られていても、富んでいなくたって、みんな大切な人のために生き、生活を送っている。
あなたもそう。お金がなければキャラバンの護衛をしたりして、生計を立てているじゃない。
そのあなたの行いが何より素晴らしいと、心の底からそう思う。
「ああ、そうか。ラビアと一緒なんだな、スノウフィリアも。ラビアもさ、生活はしにくいけど俺はラビアの王子として生まれてよかったなって思う。王子じゃなきゃ、姫ちゃんにも会えなかっただろうし……なんてな」
シャロンらしからぬ言葉に、鼻みたいに真っ赤な顔をしているのが可愛いなんて口にはしないけれど。
手袋越しに繋いだ手は不思議と寒さを感じないくらいに熱を持っていて、ラビアのサンタさんは私の心も温めてくれたようだった。