無配
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
特別に那由多さんに廻天に招待され、私とランダさんは滅多に訪れることの出来ない温泉街で観光を心ゆくまで楽しんでいた。
ランダさんはあまり他国と交流をしていないからか、見る物全てが真新しく新鮮に映るようで、ことある事に大きな声を上げて驚いている。
温泉に入っていた入浴剤の香りなのだろうか、ランダさんの襟元から柚子の香りが漂ってくる。
日頃から香水の類を好んで付けるような人ではないから、きっとそうなのだろう。
「姫、いい香りする。同じ風呂だったはずなのに、違う香り?」
「ランダさんからも柚子の香りがするので同じ入浴剤だったんじゃないかと思いますよ」
ランダさんは私の首筋に顔を近付けて、柚子の香りを堪能している。
私の説明に納得して首筋から顔を離すランダさんは素直であるが故に行動も思考に任せてのものが多いためか、人前でそんなことをされたら心臓の鼓動が速くなってしまう。
いつもは肌の露出が多い民族衣装だけれど、今日は蜻蛉柄の浴衣だ。
浴衣は露出こそ少ないけれど、狩りで日頃から鍛えているランダさんの筋肉の一部が露わになるとどきどきしてまう。
「姫、少し見てもいいか? 面白そうな土産、あった」
「はい、お土産は皆に?」
「廻天、滅多に来れない。ヒンターランドにないもの沢山ある。あ、あれは?」
廻天には様々な店が立ち並び、ランダさんは土産物屋に並んだ商品に目を奪われている。
温泉街といえばやっぱり温泉饅頭だろう。シンプルなあんこから季節の果実を擂り潰したものを練り込んだ色鮮やかなあんこなどバリエーションに富んでいる。
「苺に蜜柑、栗──色んな味があって美味しそうですね」
「沢山ほしい、けど持って帰る、嵩張るから無理。困った……」
ああ、そうか。お土産に温泉饅頭を買っていったら化粧箱で嵩張ってしまうから、持って帰るのは難しい。
それならもう少し小さくて小振りなものはどうだろう。
綺麗に並べられた、愛らしい猫が付いている根付が視界に入ってきた。
これならたくさん買っても温泉饅頭よりは嵩張らないだろう。
「ランダさん、これなんてどうでしょう? お父様には少し可愛らしすぎるかもしれませんが、色によって意味があるみたいですよ。ピンクは恋愛、イエローは金運、ブルーは仕事、グリーンは健康……贈る相手にあわせて変えるのもいいかもしれません」
ランダさんはにっこり微笑むと店員さんを呼びつけて、「これ、百個くれ! 色は……」と言うなり会計を済ませていた。
思い立ったら即行動、彼らしくて思わず私は微笑む。
商品が入った袋を受け取り、戻ってきたランダさんは藤色の紙袋を私に差し出した。
「これは?」
「今日すごく楽しかった、だからこれ、オレの気持ち」
紙袋を開くと先程見ていたピンクの猫が付いた根付が入っていた。
そのささやかな贈り物に私の心は温かくなる。素敵なプレゼントと今日の思い出は忘れられないものになりそうだ。
ランダさんはあまり他国と交流をしていないからか、見る物全てが真新しく新鮮に映るようで、ことある事に大きな声を上げて驚いている。
温泉に入っていた入浴剤の香りなのだろうか、ランダさんの襟元から柚子の香りが漂ってくる。
日頃から香水の類を好んで付けるような人ではないから、きっとそうなのだろう。
「姫、いい香りする。同じ風呂だったはずなのに、違う香り?」
「ランダさんからも柚子の香りがするので同じ入浴剤だったんじゃないかと思いますよ」
ランダさんは私の首筋に顔を近付けて、柚子の香りを堪能している。
私の説明に納得して首筋から顔を離すランダさんは素直であるが故に行動も思考に任せてのものが多いためか、人前でそんなことをされたら心臓の鼓動が速くなってしまう。
いつもは肌の露出が多い民族衣装だけれど、今日は蜻蛉柄の浴衣だ。
浴衣は露出こそ少ないけれど、狩りで日頃から鍛えているランダさんの筋肉の一部が露わになるとどきどきしてまう。
「姫、少し見てもいいか? 面白そうな土産、あった」
「はい、お土産は皆に?」
「廻天、滅多に来れない。ヒンターランドにないもの沢山ある。あ、あれは?」
廻天には様々な店が立ち並び、ランダさんは土産物屋に並んだ商品に目を奪われている。
温泉街といえばやっぱり温泉饅頭だろう。シンプルなあんこから季節の果実を擂り潰したものを練り込んだ色鮮やかなあんこなどバリエーションに富んでいる。
「苺に蜜柑、栗──色んな味があって美味しそうですね」
「沢山ほしい、けど持って帰る、嵩張るから無理。困った……」
ああ、そうか。お土産に温泉饅頭を買っていったら化粧箱で嵩張ってしまうから、持って帰るのは難しい。
それならもう少し小さくて小振りなものはどうだろう。
綺麗に並べられた、愛らしい猫が付いている根付が視界に入ってきた。
これならたくさん買っても温泉饅頭よりは嵩張らないだろう。
「ランダさん、これなんてどうでしょう? お父様には少し可愛らしすぎるかもしれませんが、色によって意味があるみたいですよ。ピンクは恋愛、イエローは金運、ブルーは仕事、グリーンは健康……贈る相手にあわせて変えるのもいいかもしれません」
ランダさんはにっこり微笑むと店員さんを呼びつけて、「これ、百個くれ! 色は……」と言うなり会計を済ませていた。
思い立ったら即行動、彼らしくて思わず私は微笑む。
商品が入った袋を受け取り、戻ってきたランダさんは藤色の紙袋を私に差し出した。
「これは?」
「今日すごく楽しかった、だからこれ、オレの気持ち」
紙袋を開くと先程見ていたピンクの猫が付いた根付が入っていた。
そのささやかな贈り物に私の心は温かくなる。素敵なプレゼントと今日の思い出は忘れられないものになりそうだ。
1/11ページ