短編
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人気者の恋人を持つということは私にとっては誇りであるけれど、同性からは妬まれるものと決まっているから私達は付き合っているということを公言していない。
家光さんは普段は飄々としていて何を考えているかわからないところはあるけど、営業成績は好調だし、社会人としてのキャリアは浅いけれど上司から信頼されている。
話術が巧みであるところは営業に向いていると言えるだろう。
そんな家光さんを恋人に持つ私は恵まれているし、幸せだと思う。
だけど私が彼に相応しい恋人だと胸を張って言えるかと問われたら、イエスとは決して言えない。
家光さんは私と付き合っているということを公言していないため、彼がフリーであると信じている女性社員は彼女の座を狙っていることだろう。
私が家光さんの彼女だ、と言えないでいることが心苦しく、悪いことをしている訳じゃないのに後ろめたい気持ちになってしまうのだ。
「だって巫女チャン、目立つの嫌いでショ? まあオレは巫女チャン以外のコに興味はないから、言っといた方が虫避けにもなるしいいかな、とは思うけど無理強いはしないよ。女の子ってそういうの、敏感だからね~」
そう、女性という生き物は自分と周りの者を比較しては優劣をつけ、自らが優れていると認識すれば優越感に浸るものだ。
だけどそれは家光さんに興味があるだけで、中身──彼の性格やプライベートで見せる姿を知っている上での話ではないのだから。
「家光さんは仕事のできる人なんだから当然のことです。家光さんに人気があるのは、私としては複雑ですけど」
「そうかな~? 巫女チャンだって会社の顔だしさ、事務のコは皆すぐに辞めちゃうのに巫女チャンは無遅刻無欠勤、それに仕事も安心して色々任せられるし、本当に助かってるよ。評価されるのも当然だよね。まあもちろんそれだけじゃないだろうけどね」
私が勤める会社は有り難いことに好調なのだけれど、仕事量に対して従業員が少ない。
だから自然と残業時間は増え、有休も取得しにくくなっている。
それでも仕事を続けようと思えるのは、不謹慎かもしれないけれど家光さんがいるからかもしれない。
「でもね、いつまでもオレが虫を払うのは限界があるから、考えといてね。巫女チャンがオレの彼女だってこと、ずっとは皆に黙ってられないでショ?」
家光さんの言葉に含みがあることを
、その時の私は気付けなかった。
事務という仕事柄、社員さんと接する機会は多いけれど、他意はない。だって私には恋人がいるのだから。
それからは事あるごとに私が社員さんと話していると、不自然なまでに家光さんが会話に入ってくることが増えた。
家光さんは『虫を払う』とよく言っていたけど、これはそういうことなのかもしれない。
だけど私が家光さん以外に心を揺さぶられることはないことはわかっている筈なのに。
ねぇ、そこまで気にするのなら今度は私が虫を追い払って見せようか。そしたら私の気持ちを理解してくれるだろう。
家光さんは普段は飄々としていて何を考えているかわからないところはあるけど、営業成績は好調だし、社会人としてのキャリアは浅いけれど上司から信頼されている。
話術が巧みであるところは営業に向いていると言えるだろう。
そんな家光さんを恋人に持つ私は恵まれているし、幸せだと思う。
だけど私が彼に相応しい恋人だと胸を張って言えるかと問われたら、イエスとは決して言えない。
家光さんは私と付き合っているということを公言していないため、彼がフリーであると信じている女性社員は彼女の座を狙っていることだろう。
私が家光さんの彼女だ、と言えないでいることが心苦しく、悪いことをしている訳じゃないのに後ろめたい気持ちになってしまうのだ。
「だって巫女チャン、目立つの嫌いでショ? まあオレは巫女チャン以外のコに興味はないから、言っといた方が虫避けにもなるしいいかな、とは思うけど無理強いはしないよ。女の子ってそういうの、敏感だからね~」
そう、女性という生き物は自分と周りの者を比較しては優劣をつけ、自らが優れていると認識すれば優越感に浸るものだ。
だけどそれは家光さんに興味があるだけで、中身──彼の性格やプライベートで見せる姿を知っている上での話ではないのだから。
「家光さんは仕事のできる人なんだから当然のことです。家光さんに人気があるのは、私としては複雑ですけど」
「そうかな~? 巫女チャンだって会社の顔だしさ、事務のコは皆すぐに辞めちゃうのに巫女チャンは無遅刻無欠勤、それに仕事も安心して色々任せられるし、本当に助かってるよ。評価されるのも当然だよね。まあもちろんそれだけじゃないだろうけどね」
私が勤める会社は有り難いことに好調なのだけれど、仕事量に対して従業員が少ない。
だから自然と残業時間は増え、有休も取得しにくくなっている。
それでも仕事を続けようと思えるのは、不謹慎かもしれないけれど家光さんがいるからかもしれない。
「でもね、いつまでもオレが虫を払うのは限界があるから、考えといてね。巫女チャンがオレの彼女だってこと、ずっとは皆に黙ってられないでショ?」
家光さんの言葉に含みがあることを
、その時の私は気付けなかった。
事務という仕事柄、社員さんと接する機会は多いけれど、他意はない。だって私には恋人がいるのだから。
それからは事あるごとに私が社員さんと話していると、不自然なまでに家光さんが会話に入ってくることが増えた。
家光さんは『虫を払う』とよく言っていたけど、これはそういうことなのかもしれない。
だけど私が家光さん以外に心を揺さぶられることはないことはわかっている筈なのに。
ねぇ、そこまで気にするのなら今度は私が虫を追い払って見せようか。そしたら私の気持ちを理解してくれるだろう。