短編
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仕事から帰り自室の障子を開くと、いきなり背中に無機質で硬いものを押し当てられた。俺の勘から察するに銃口か──俺が気配にも気付かず、背中を取られるとは俺も巫女様に現を抜かしてたってことかもしれねえな。
雑賀衆の奴か、それとも依頼人絡みか……どっちにしても心当たりは五万とある。
根っからの傭兵稼業だからな。弱肉強食の世界に生きてんだ、いつ死んだっておかしくねえ。
「雑賀孫市、命を頂戴する」
声は低いが女の声だ。それなら尚更心当たりはねえんだが……お縄につくしかなさそうだな。
雑賀衆の頭領の最期がこんなに無様だとは、部下に見せられたもんじゃねえな。
今日はこの屋敷には数人の部下と巫女様しかいねえ。せめて最期に巫女様の顔を見たかったもんだが。
「殺す相手に名乗る必要もねえってか? それなら顔を拝ませちゃくれねえか。なに、悪足掻きするつもりはねえよ」
「いいだろう──なんちゃって。孫市さん、トリックオアトリート!」
突きつけられた銃口を離し、顔を見せた女は俺の恋人だった。悪戯にしちゃあ度が過ぎるんじゃねえか。
よく見れば巫女様は俺の服を身に纏っている。袖も裾も長すぎて、戦闘用の武装にならねえ気がするが。
着慣れた服だってのに、着てる奴が違っただけでこうも違ったものに見えるもんか。いや、巫女様だからか。
男の格好だってのに俺の何かを刺激するが、俺は気付かないふりをして平静を装う。
「ああ……確か菓子をやらなきゃ悪戯されるんだよな? だが生憎持ってなくてな。酒ならあるんだが」
「じゃあ悪戯しちゃいますよ?」
何言ってんだ。もう先に悪戯してんじゃねえか。……ってことは俺が悪戯しても許されるわけか。
こっちはかなり肝が冷えたんだ。灸を据えてやらねえとな。
俺はすかさず銃を奪うとそれを足元に置き、足元にまで気を配っていなかったのか巫女様が体勢を崩して転倒する。
畳に背中を打ち付けることは想定していたから、背中を打たないように手を添えてやる。
「武器を持ってるなら目を離すなよ。銃の扱いなら俺のが玄人だ。巫女様にゃあ負けねえよ」
「お菓子下さい」
「菓子はねえから悪戯には悪戯で返すぜ? だから今ここで俺の服を返してくれ。この場でな」
巫女様の返事も待たずに、俺は巫女様が身に纏う服のボタンをひとつ外す。
その隙間からは雪のように白い肌が覗いて、俺の情欲を煽るには充分なものだった。
んなもん素肌に羽織るとか何考えてんだ。そもそも男の部屋に一人で来るなんて襲ってくれって言ってるようなもんだ──巫女様の服を取り払う言い訳がいくつも思い浮かぶが、最早まともな考えなんて情けねえができたもんじゃねぇ。
「孫市さん、だめですってば……」
「服を返したら離してやるよ。元々は俺のだ。だろ?」
ボタンをひとつ、ふたつ外す度に胸元が露わになり、巫女様は必死に隠そうと抵抗するが、俺は手をどかせるように同じ箇所に口付けを繰り返す。
平静を装うのはもうやめだ。俺が巫女様より大人でも限界ってものがあるってことを、お前は知らなさすぎる。
諦めた手は俺の背に回され、俺は申し訳程度に行灯の明かりを消してやるのだった。
雑賀衆の奴か、それとも依頼人絡みか……どっちにしても心当たりは五万とある。
根っからの傭兵稼業だからな。弱肉強食の世界に生きてんだ、いつ死んだっておかしくねえ。
「雑賀孫市、命を頂戴する」
声は低いが女の声だ。それなら尚更心当たりはねえんだが……お縄につくしかなさそうだな。
雑賀衆の頭領の最期がこんなに無様だとは、部下に見せられたもんじゃねえな。
今日はこの屋敷には数人の部下と巫女様しかいねえ。せめて最期に巫女様の顔を見たかったもんだが。
「殺す相手に名乗る必要もねえってか? それなら顔を拝ませちゃくれねえか。なに、悪足掻きするつもりはねえよ」
「いいだろう──なんちゃって。孫市さん、トリックオアトリート!」
突きつけられた銃口を離し、顔を見せた女は俺の恋人だった。悪戯にしちゃあ度が過ぎるんじゃねえか。
よく見れば巫女様は俺の服を身に纏っている。袖も裾も長すぎて、戦闘用の武装にならねえ気がするが。
着慣れた服だってのに、着てる奴が違っただけでこうも違ったものに見えるもんか。いや、巫女様だからか。
男の格好だってのに俺の何かを刺激するが、俺は気付かないふりをして平静を装う。
「ああ……確か菓子をやらなきゃ悪戯されるんだよな? だが生憎持ってなくてな。酒ならあるんだが」
「じゃあ悪戯しちゃいますよ?」
何言ってんだ。もう先に悪戯してんじゃねえか。……ってことは俺が悪戯しても許されるわけか。
こっちはかなり肝が冷えたんだ。灸を据えてやらねえとな。
俺はすかさず銃を奪うとそれを足元に置き、足元にまで気を配っていなかったのか巫女様が体勢を崩して転倒する。
畳に背中を打ち付けることは想定していたから、背中を打たないように手を添えてやる。
「武器を持ってるなら目を離すなよ。銃の扱いなら俺のが玄人だ。巫女様にゃあ負けねえよ」
「お菓子下さい」
「菓子はねえから悪戯には悪戯で返すぜ? だから今ここで俺の服を返してくれ。この場でな」
巫女様の返事も待たずに、俺は巫女様が身に纏う服のボタンをひとつ外す。
その隙間からは雪のように白い肌が覗いて、俺の情欲を煽るには充分なものだった。
んなもん素肌に羽織るとか何考えてんだ。そもそも男の部屋に一人で来るなんて襲ってくれって言ってるようなもんだ──巫女様の服を取り払う言い訳がいくつも思い浮かぶが、最早まともな考えなんて情けねえができたもんじゃねぇ。
「孫市さん、だめですってば……」
「服を返したら離してやるよ。元々は俺のだ。だろ?」
ボタンをひとつ、ふたつ外す度に胸元が露わになり、巫女様は必死に隠そうと抵抗するが、俺は手をどかせるように同じ箇所に口付けを繰り返す。
平静を装うのはもうやめだ。俺が巫女様より大人でも限界ってものがあるってことを、お前は知らなさすぎる。
諦めた手は俺の背に回され、俺は申し訳程度に行灯の明かりを消してやるのだった。
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