捧げ物
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目が覚めると私はベッドの中にいた。だけどこのベッドは私が眠っているベッドじゃない。
カーテン、シーツ、それに壁紙もホワイト一色で部屋を仕切る間仕切りカーテンまである。まるで病院みたい。
私は確か残業で資料作成をしていて、会社を出たところまでは覚えているけど、そこからは記憶がない。
間仕切りカーテンが揺れたかと思うと、一気に開かれる。そこには私の幼馴染・イザークの姿があった。
「やっと目覚めたか。倒れたの覚えてねーだろ」
「イザーク、私……運ばれたの?」
「その様子じゃ覚えてねーみてーだな。ぶっ倒れたとこに通行人が居合わせて救急車に運ばれて、うちにきたってわけだ」
「そう……なんだ。でも私、もう大丈夫──」
「あぁ? 何言ってやがる。過労・貧血に喘息。ま、大方社畜よろしくな生活してんだろ? 喘息も甘く見てっと肺炎に繋がっちまうからな」
私はイザークに言い返す言葉もなくて黙り込む。
睡眠時間は短いし、生活だって不規則だから体調が崩れたっておかしくない。
だけど一人暮らしだし、自分の生活は守らなきゃいけないから仕方ない。
言葉遣いは荒々しいけど、イザークの言う事はもっともだ。
「主治医の先生はなんて言ってるの?」
「大したことはねーだろうが、とりあえず検査入院だな」
「わかった。じゃあ看護師さんに従うから、今日からよろしくお願いします」
「俺としちゃ早く退院してほしいからな。治療に専念して元気になったら飯でも食いに行こうぜ」
うん、と私は返事代わりに小さく頷く。
イザークは小さな頃に両親を亡くしていて、家事は全て彼がこなしていた。
だから世話好きな一面があって、お互いの家を行き来していた頃はご飯を作ってくれたり、面倒を見てくれたりしたものだけど、社会人になってからそんなことはなくなって、たまにしか会わなくなったけれど。
私は今でも彼にとっては妹みたいな幼馴染なんだろう。
(イザークは私の気持ちなんて知らないよね)
呆けている私の髪をイザークがくしゃりと撫でる。
私の体調を気遣ってくれているのだろう。
「病人は病人らしく寝とけ。いいな?」
「はい」
きっとこんなことをしてくれるのは幼馴染だからじゃなくて、私が患者だから──そんなことを思いながら、私は眠るために目を閉じる。
私の寝顔を彼が見つめていることなんて、知る由もなかった。
カーテン、シーツ、それに壁紙もホワイト一色で部屋を仕切る間仕切りカーテンまである。まるで病院みたい。
私は確か残業で資料作成をしていて、会社を出たところまでは覚えているけど、そこからは記憶がない。
間仕切りカーテンが揺れたかと思うと、一気に開かれる。そこには私の幼馴染・イザークの姿があった。
「やっと目覚めたか。倒れたの覚えてねーだろ」
「イザーク、私……運ばれたの?」
「その様子じゃ覚えてねーみてーだな。ぶっ倒れたとこに通行人が居合わせて救急車に運ばれて、うちにきたってわけだ」
「そう……なんだ。でも私、もう大丈夫──」
「あぁ? 何言ってやがる。過労・貧血に喘息。ま、大方社畜よろしくな生活してんだろ? 喘息も甘く見てっと肺炎に繋がっちまうからな」
私はイザークに言い返す言葉もなくて黙り込む。
睡眠時間は短いし、生活だって不規則だから体調が崩れたっておかしくない。
だけど一人暮らしだし、自分の生活は守らなきゃいけないから仕方ない。
言葉遣いは荒々しいけど、イザークの言う事はもっともだ。
「主治医の先生はなんて言ってるの?」
「大したことはねーだろうが、とりあえず検査入院だな」
「わかった。じゃあ看護師さんに従うから、今日からよろしくお願いします」
「俺としちゃ早く退院してほしいからな。治療に専念して元気になったら飯でも食いに行こうぜ」
うん、と私は返事代わりに小さく頷く。
イザークは小さな頃に両親を亡くしていて、家事は全て彼がこなしていた。
だから世話好きな一面があって、お互いの家を行き来していた頃はご飯を作ってくれたり、面倒を見てくれたりしたものだけど、社会人になってからそんなことはなくなって、たまにしか会わなくなったけれど。
私は今でも彼にとっては妹みたいな幼馴染なんだろう。
(イザークは私の気持ちなんて知らないよね)
呆けている私の髪をイザークがくしゃりと撫でる。
私の体調を気遣ってくれているのだろう。
「病人は病人らしく寝とけ。いいな?」
「はい」
きっとこんなことをしてくれるのは幼馴染だからじゃなくて、私が患者だから──そんなことを思いながら、私は眠るために目を閉じる。
私の寝顔を彼が見つめていることなんて、知る由もなかった。