捧げ物
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
隠れ家で君と会うようになってから少し経つけれど、必ずわたしより遅くに眠っているのに先に起きていて、朝目が覚めると既に食事が出来上がっている。
ここは城ではないのだから食事・炊事・洗濯をしなければならないのはわかるのですが、これでは折角の隠れ家での休日が休息にならないのでは、とわたしは心配でならないんです。
セッティングされたテーブルの前に、君と向かい合わせになるように座る。
わたしは少し呆けたまま、コーヒーに角砂糖をひとつ落とした。
「トトリさん、朝から暗い顔してますけどどうしたんですか?」
「実は前々から思っていたことなのですが、君はここで休めているのかと思いまして。君はここで家事ばかりしていて休めていないでしょう? それなら分担してやるのはどうでしょうか。君ばかりの負担になるのは私も望んでいませんからね」
提案したものの、家事なんて生まれてこの方したこともなく、出来上がったものを食べることしかしてこなかったのですが。これを機に君から学ぶことが出来れば、私も手伝えますし君の負担も少しは減るんじゃないかと思うんです。
まあ、君がわたしに教えなければならないというのが負担になるとは思いますが。
「うーん……トトリさん、少し思い違いしてらっしゃるようなんですが」
「はい?」
きみはミルクレープをフォークとナイフを使って切り分けると、口の中に放り込んだ。
ココアでミルクレープの甘さと調和を取り、咀嚼を終えると再び口を開く。
「私、ここにきて家事ばかりしてるとは思ってないんです。いつもトトリさんの傍にいられないからお世話がしたいし、温かいご飯を食べて欲しいんです。それと私が洗った服に袖を通してもらいたいし……全部トトリさんが好きだから。こうしてる時間が私の安らぎなんですよ?」
君は狡い女性ですね。そんなこと言われたら何も言えないじゃありませんか。
君の気遣いはとても嬉しいんです。わたしに気を遣わせまいとしていることも。
でもそれはわたしだって同じなんですよ。君といる時間が何よりの安らぎで、君にも安らいで欲しいんです。
「君に甘やかされてばかりいると駄目な大人になってしまいそうなので、今日ばかりは譲れませんよ。もちろんわたしに料理の経験は皆無なので教えてほしいのですが」
「じゃあ今日の夕方にでも町に買い物に行きましょうか。まだ寒いからシチューにでもしようかな、と思っていた所なんです。一緒に作りましょうね」
君はさらりと何でもないことのように言いますが、あくまでもわたしが初心者であることを失念しているわけでは……ありませんよね? 野菜の剥き方よりも先ずは包丁の扱い方から学ばなければ。
初心者のわたしにいきなりシチューだなんて高難易度クエストは無茶苦茶すぎませんか。自慢ではありませんが料理なんて食べるばかりで作ったことがないんですから。
にこやかに笑う君に連れられた町中で、料理が如何に大変な作業かを思い知ることになるのだった。
ここは城ではないのだから食事・炊事・洗濯をしなければならないのはわかるのですが、これでは折角の隠れ家での休日が休息にならないのでは、とわたしは心配でならないんです。
セッティングされたテーブルの前に、君と向かい合わせになるように座る。
わたしは少し呆けたまま、コーヒーに角砂糖をひとつ落とした。
「トトリさん、朝から暗い顔してますけどどうしたんですか?」
「実は前々から思っていたことなのですが、君はここで休めているのかと思いまして。君はここで家事ばかりしていて休めていないでしょう? それなら分担してやるのはどうでしょうか。君ばかりの負担になるのは私も望んでいませんからね」
提案したものの、家事なんて生まれてこの方したこともなく、出来上がったものを食べることしかしてこなかったのですが。これを機に君から学ぶことが出来れば、私も手伝えますし君の負担も少しは減るんじゃないかと思うんです。
まあ、君がわたしに教えなければならないというのが負担になるとは思いますが。
「うーん……トトリさん、少し思い違いしてらっしゃるようなんですが」
「はい?」
きみはミルクレープをフォークとナイフを使って切り分けると、口の中に放り込んだ。
ココアでミルクレープの甘さと調和を取り、咀嚼を終えると再び口を開く。
「私、ここにきて家事ばかりしてるとは思ってないんです。いつもトトリさんの傍にいられないからお世話がしたいし、温かいご飯を食べて欲しいんです。それと私が洗った服に袖を通してもらいたいし……全部トトリさんが好きだから。こうしてる時間が私の安らぎなんですよ?」
君は狡い女性ですね。そんなこと言われたら何も言えないじゃありませんか。
君の気遣いはとても嬉しいんです。わたしに気を遣わせまいとしていることも。
でもそれはわたしだって同じなんですよ。君といる時間が何よりの安らぎで、君にも安らいで欲しいんです。
「君に甘やかされてばかりいると駄目な大人になってしまいそうなので、今日ばかりは譲れませんよ。もちろんわたしに料理の経験は皆無なので教えてほしいのですが」
「じゃあ今日の夕方にでも町に買い物に行きましょうか。まだ寒いからシチューにでもしようかな、と思っていた所なんです。一緒に作りましょうね」
君はさらりと何でもないことのように言いますが、あくまでもわたしが初心者であることを失念しているわけでは……ありませんよね? 野菜の剥き方よりも先ずは包丁の扱い方から学ばなければ。
初心者のわたしにいきなりシチューだなんて高難易度クエストは無茶苦茶すぎませんか。自慢ではありませんが料理なんて食べるばかりで作ったことがないんですから。
にこやかに笑う君に連れられた町中で、料理が如何に大変な作業かを思い知ることになるのだった。