ダグラス主 オフィスパロ
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「冷えると思うから暖かい格好でおいで」
ダグラスさんとデートの約束をしたある日、念を押すようにそう告げられた。
仕事ではあまりお洒落はできないから、つい女性らしい部分を見せたくてスカートやワンピースばかり選んでしまう。
だけど今回はダグラスさんのバイクでツーリングすることになったから、ミニスカートなんて選んだら大惨事になるのは目に見えているからそんなことはしないけれど。
彼は部長という立場もあり、基本的には多忙を極める彼に合わせるというスタイルが定着している。
それでも休日デートなんて中々できないものだから、デートといえば仕事帰りにご飯を食べたり。時にはお互いの家に泊まったり。
でも今日はいつぶりだろうか、真っ昼間からのデートということもあっていつもよりも早く目が覚めてしまった。
鏡の中の私自身を見つめながら、メイクをする時間すら彼を想っているのだから不思議なものだ。
いや違う。実際にはいつだって彼を想っている。ただいつもと違う、綺麗だと思ってもらいたくて、メイクをしながら彼を想うのだ。
駅前で待ち合わせることをしなかったのは、目立つのを避けるため。
だって大型バイクにダグラスさんのような大柄な男性が乗っていたら目立って仕方ないから。
女性という生き物はいつだって噂話が大好きだ。それこそスイーツより好んでいる人だっている。
誰と誰が付き合っただの、別れただの、社内だってそれは変わらない。
ドリームリングで働く社員は主に電車で通う者が多く、否が応でも朝は顔を合わせることが多い。寧ろ誰とも顔を合わせないことがないくらいだ。
そんなところに私とダグラスさんが居合わせたら、彼女らにどんな噂を流されるか怖くてたまらない。
そしてそれは順風満帆な彼の歩む道を阻むことになる。それだけは絶対にしたくない。
疚しいことなどなにひとつしてないのに、隠さなければならないのは辛い所だけど。
丁度メイクを終えた頃、足元に置いたスマホが音楽を奏で、ダグラスさんから連絡があったことを告げてくれた。
どうやら着信ではなくSMSだったらしい。
シンプルで絵文字もないものだったけど、私の口許を緩ませるには充分なものだった。
「今家の前にいるんだけど、出発できそうかな? もし時間がかかりそうならバイクを停めて待ってるから、メールで知らせて貰えると嬉しい」
私は返事を送る時間すら惜しくて、 必要なものだけを詰めたハンドバッグを手に、家を飛び出した。
すると家の前でバイクを停めた彼が立っている。幻でないことを真っ先に確かめたくて、私はダグラスさんに抱きついた。
「メールで知らせてって言ったのに。挨拶するより先に抱きついてくれるなんて、よっぽど淋しかったのかな」
「ごめんなさい。夜以外にダグラスさんと会えるのが嬉しくて……」
「離れるのは名残惜しいけど、行こうか。振り落とされないようにね」
ライダースジャケット越しに触れる彼の体温と煙草の残り香に男性的なものを感じてしまい、私の鼓動は早くなる。
腰あたりの部分を優しく掴むと、ダグラスさんの手が私の手首を添えるように握り、腹部へと誘導する。
しっかり掴まっていないといけないのはわかっているんだけど、苦しさを感じるほどに早くなる鼓動を察知されてしまいそうで。
この人の前では私は少女になってしまう。少年のような笑顔を見れば同じように微笑み、綺麗な女性に囲まれている所を見かけたら、仕事とはいえ嫉妬の炎で胸が黒く焦げてしまいそうになる。
恋人であることを公言しない、と言ったのは私なのに。
「ほら、もっとしっかり掴まってくれないと。結構スピード出すつもりだから、飛ばされないようにね」
「こう、ですか?」
「そうそう。普段もこれくらいしっかり抱きついてくれたら嬉しいんだけどな」
「……もう、ダグラスさんってば」
本心なのか、からかいなのか分からないダグラスさんの軽口とともに、バイクは走り出す。
綿菓子のように柔らかそうな雲はゆっくりと形を変え、風と共に流れていく。
緑なんてまるでない、雲に届きそうなほどに高く聳えるビルや、忙しそうに急ぐ人達が彩る都会の街並み。
それはやがてダグラスさんがバイクを走らせ、時間の経過と共に遠く小さくなっていく。
その代わりに私達を歓迎してくれたのは青々とした田園。太陽光が反射して煌々と輝くエメラルドグリーンの海。
知らない土地というだけで開放的な気持ちになり、私はライダースジャケット越しに小さなキスを落とす。
「君はシャイだと思ってたけど、本当は大胆な子だったのかな? あとで倍に返してあげるから、今度は服じゃなくて唇にお願いしようかな」
小さな子が好きな人に意地悪をするように、私の頬が林檎のように染まるのを想像しながら笑みを浮かべているに違いない。
私はその意地悪にどうやって対抗しようか考えながら、指先に力を込めるのだった。
ダグラスさんとデートの約束をしたある日、念を押すようにそう告げられた。
仕事ではあまりお洒落はできないから、つい女性らしい部分を見せたくてスカートやワンピースばかり選んでしまう。
だけど今回はダグラスさんのバイクでツーリングすることになったから、ミニスカートなんて選んだら大惨事になるのは目に見えているからそんなことはしないけれど。
彼は部長という立場もあり、基本的には多忙を極める彼に合わせるというスタイルが定着している。
それでも休日デートなんて中々できないものだから、デートといえば仕事帰りにご飯を食べたり。時にはお互いの家に泊まったり。
でも今日はいつぶりだろうか、真っ昼間からのデートということもあっていつもよりも早く目が覚めてしまった。
鏡の中の私自身を見つめながら、メイクをする時間すら彼を想っているのだから不思議なものだ。
いや違う。実際にはいつだって彼を想っている。ただいつもと違う、綺麗だと思ってもらいたくて、メイクをしながら彼を想うのだ。
駅前で待ち合わせることをしなかったのは、目立つのを避けるため。
だって大型バイクにダグラスさんのような大柄な男性が乗っていたら目立って仕方ないから。
女性という生き物はいつだって噂話が大好きだ。それこそスイーツより好んでいる人だっている。
誰と誰が付き合っただの、別れただの、社内だってそれは変わらない。
ドリームリングで働く社員は主に電車で通う者が多く、否が応でも朝は顔を合わせることが多い。寧ろ誰とも顔を合わせないことがないくらいだ。
そんなところに私とダグラスさんが居合わせたら、彼女らにどんな噂を流されるか怖くてたまらない。
そしてそれは順風満帆な彼の歩む道を阻むことになる。それだけは絶対にしたくない。
疚しいことなどなにひとつしてないのに、隠さなければならないのは辛い所だけど。
丁度メイクを終えた頃、足元に置いたスマホが音楽を奏で、ダグラスさんから連絡があったことを告げてくれた。
どうやら着信ではなくSMSだったらしい。
シンプルで絵文字もないものだったけど、私の口許を緩ませるには充分なものだった。
「今家の前にいるんだけど、出発できそうかな? もし時間がかかりそうならバイクを停めて待ってるから、メールで知らせて貰えると嬉しい」
私は返事を送る時間すら惜しくて、 必要なものだけを詰めたハンドバッグを手に、家を飛び出した。
すると家の前でバイクを停めた彼が立っている。幻でないことを真っ先に確かめたくて、私はダグラスさんに抱きついた。
「メールで知らせてって言ったのに。挨拶するより先に抱きついてくれるなんて、よっぽど淋しかったのかな」
「ごめんなさい。夜以外にダグラスさんと会えるのが嬉しくて……」
「離れるのは名残惜しいけど、行こうか。振り落とされないようにね」
ライダースジャケット越しに触れる彼の体温と煙草の残り香に男性的なものを感じてしまい、私の鼓動は早くなる。
腰あたりの部分を優しく掴むと、ダグラスさんの手が私の手首を添えるように握り、腹部へと誘導する。
しっかり掴まっていないといけないのはわかっているんだけど、苦しさを感じるほどに早くなる鼓動を察知されてしまいそうで。
この人の前では私は少女になってしまう。少年のような笑顔を見れば同じように微笑み、綺麗な女性に囲まれている所を見かけたら、仕事とはいえ嫉妬の炎で胸が黒く焦げてしまいそうになる。
恋人であることを公言しない、と言ったのは私なのに。
「ほら、もっとしっかり掴まってくれないと。結構スピード出すつもりだから、飛ばされないようにね」
「こう、ですか?」
「そうそう。普段もこれくらいしっかり抱きついてくれたら嬉しいんだけどな」
「……もう、ダグラスさんってば」
本心なのか、からかいなのか分からないダグラスさんの軽口とともに、バイクは走り出す。
綿菓子のように柔らかそうな雲はゆっくりと形を変え、風と共に流れていく。
緑なんてまるでない、雲に届きそうなほどに高く聳えるビルや、忙しそうに急ぐ人達が彩る都会の街並み。
それはやがてダグラスさんがバイクを走らせ、時間の経過と共に遠く小さくなっていく。
その代わりに私達を歓迎してくれたのは青々とした田園。太陽光が反射して煌々と輝くエメラルドグリーンの海。
知らない土地というだけで開放的な気持ちになり、私はライダースジャケット越しに小さなキスを落とす。
「君はシャイだと思ってたけど、本当は大胆な子だったのかな? あとで倍に返してあげるから、今度は服じゃなくて唇にお願いしようかな」
小さな子が好きな人に意地悪をするように、私の頬が林檎のように染まるのを想像しながら笑みを浮かべているに違いない。
私はその意地悪にどうやって対抗しようか考えながら、指先に力を込めるのだった。
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