ダグラス主 隠れ家
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秋になったとはいえ、肌を刺すような陽射しはまだまだ強い。
だけど髪を撫で、体を優しく抱きしめるような風は秋の到来を感じる。
セント・ガブリエル号の船員さんの家族が経営しているというリゾートホテルのプールを今日だけ貸し切りにさせてもらい、ダグラスさんにゆっくりしてもらおうと彼の誕生日に誘ったところまではいいのだけど。
(プールだけ楽しんで隠れ家に帰る……なんて私からは言えないよね。部屋は一応予約したけど──)
もう何度もダグラスさんの誕生日を祝っているからか、場所選びに困った私は非日常空間を楽しんでもらいたくてここを選んだけれど、夜になればそういう雰囲気になってしまうだろうし、まるで夜のお誘いをしているかのようで少し恥ずかしい。
(美味しいご飯食べて、ダグラスさんの誕生日を祝いたい、ってことはわかってもらえるよね?)
自分に言い訳をするように、私はウッドテーブルに置いてある、トロピカルジュースが入ったグラスに口を付け、喉を潤した。
仲良く二つ並べたサマーベッドに身を委ねるダグラスさんの姿があり、私は彼を見て微笑を浮かべる。
「こうして見ると毎日見ているはずの風景だけど、美しいね。海とプールは別物の筈だけど、今日は君がいるから特別に感じるよ」
「はい、今日はダグラスさんの誕生日だからゆっくりしてほしいなって。もう何度も誕生日を祝うようになったので、マンネリ防止ってやつです」
当然といえば当然なんだけれど、私達が着用しているのは洋服ではなくて面積の小さな水着だけだ。
二人きりとはいえ、こんなに肌を露出することはないから少し恥ずかしいけど、折角勇気を出して買ったのだからお披露目しないと水着がかわいそうだと思うことにした。
胸元にフリルの付いた花柄のバンドゥビキニをちらりと見る。やっぱり少し張り切りすぎたかもしれない。
「君が肌を出している服を着ているのは滅多に見れないからね。ここに誰もいなくてよかったよ。誰かがいたら嫉妬で気が狂う所だった」
「もう……」
「折角だし、プールに入ろうか?」
ジュースを飲みながら会話を楽しむのもいいけれど、正直なところ目のやり場に困るし、手持ち無沙汰になっていたから私はダグラスさんの誘いにこくりと頷いた。
ダグラスさんの手に引かれて、プールの中へゆっくりと入っていく。
胸元までプールに浸かったところで、手首を強く掴まれて引き寄せられた。
鍛え抜かれたダグラスさんの胸板に顔を埋めてしまいそうになり、私は目を逸らす。
「もう! びっくりするじゃないですか」
「ははっ、サマーベッドだと抱き締めにくいのがばれたかな? 君に触れる口実が欲しかったってだけなんだけど、こうして君に触れてると航海から生きてアンキュラに帰れたんだって改めて実感するよ。なんて幸せで贅沢な時間だ、ってね」
それを言うなら私だってそうだ。
ダグラスさんが航海に出る度、私は不安に押し潰れそうになる。
もしかしたらもう彼の顔を見られないかもしれない、そんなことを思いながら彼を見送り、想うことしかできない日々を送っていた。
だけど幸運が重なり、ダグラスさんは無傷とは言えないけど、無事帰還してくれる。
彼と再会する度、彼がそこにいることを確かめたくて、理由もなく触れたくなる。
「それは私もです。だからダグラスさんの誕生日をこうして祝うことができて嬉しいです。ダグラスさん、おめでとうございます」
「ありがとう。俺もこうして君と過ごすことができて嬉しいよ。だけどそれは部屋に戻ってから、ゆっくり聞かせてもらうとして──今日はとびきり甘いデザートが食べたい気分なんだ」
「ダグラスさん、甘いものなんてお好きで──」
私が言い終わらない内にいきなり唇を重ねられた。
先程飲んだトロピカルジュースの味が残っているせいか、口付けはどこまでも甘く、溶けてゆくチョコレートのように甘美なものだった。
私はその誘惑から逃れられずに、逞しい背に手を回し、口付けを受け入れる。
私の思考は甘い毒によって徐々に奪われていき、太陽を隠す暗黒のベールのように、ゆっくりと理性を溶かされていくのだった。
だけど髪を撫で、体を優しく抱きしめるような風は秋の到来を感じる。
セント・ガブリエル号の船員さんの家族が経営しているというリゾートホテルのプールを今日だけ貸し切りにさせてもらい、ダグラスさんにゆっくりしてもらおうと彼の誕生日に誘ったところまではいいのだけど。
(プールだけ楽しんで隠れ家に帰る……なんて私からは言えないよね。部屋は一応予約したけど──)
もう何度もダグラスさんの誕生日を祝っているからか、場所選びに困った私は非日常空間を楽しんでもらいたくてここを選んだけれど、夜になればそういう雰囲気になってしまうだろうし、まるで夜のお誘いをしているかのようで少し恥ずかしい。
(美味しいご飯食べて、ダグラスさんの誕生日を祝いたい、ってことはわかってもらえるよね?)
自分に言い訳をするように、私はウッドテーブルに置いてある、トロピカルジュースが入ったグラスに口を付け、喉を潤した。
仲良く二つ並べたサマーベッドに身を委ねるダグラスさんの姿があり、私は彼を見て微笑を浮かべる。
「こうして見ると毎日見ているはずの風景だけど、美しいね。海とプールは別物の筈だけど、今日は君がいるから特別に感じるよ」
「はい、今日はダグラスさんの誕生日だからゆっくりしてほしいなって。もう何度も誕生日を祝うようになったので、マンネリ防止ってやつです」
当然といえば当然なんだけれど、私達が着用しているのは洋服ではなくて面積の小さな水着だけだ。
二人きりとはいえ、こんなに肌を露出することはないから少し恥ずかしいけど、折角勇気を出して買ったのだからお披露目しないと水着がかわいそうだと思うことにした。
胸元にフリルの付いた花柄のバンドゥビキニをちらりと見る。やっぱり少し張り切りすぎたかもしれない。
「君が肌を出している服を着ているのは滅多に見れないからね。ここに誰もいなくてよかったよ。誰かがいたら嫉妬で気が狂う所だった」
「もう……」
「折角だし、プールに入ろうか?」
ジュースを飲みながら会話を楽しむのもいいけれど、正直なところ目のやり場に困るし、手持ち無沙汰になっていたから私はダグラスさんの誘いにこくりと頷いた。
ダグラスさんの手に引かれて、プールの中へゆっくりと入っていく。
胸元までプールに浸かったところで、手首を強く掴まれて引き寄せられた。
鍛え抜かれたダグラスさんの胸板に顔を埋めてしまいそうになり、私は目を逸らす。
「もう! びっくりするじゃないですか」
「ははっ、サマーベッドだと抱き締めにくいのがばれたかな? 君に触れる口実が欲しかったってだけなんだけど、こうして君に触れてると航海から生きてアンキュラに帰れたんだって改めて実感するよ。なんて幸せで贅沢な時間だ、ってね」
それを言うなら私だってそうだ。
ダグラスさんが航海に出る度、私は不安に押し潰れそうになる。
もしかしたらもう彼の顔を見られないかもしれない、そんなことを思いながら彼を見送り、想うことしかできない日々を送っていた。
だけど幸運が重なり、ダグラスさんは無傷とは言えないけど、無事帰還してくれる。
彼と再会する度、彼がそこにいることを確かめたくて、理由もなく触れたくなる。
「それは私もです。だからダグラスさんの誕生日をこうして祝うことができて嬉しいです。ダグラスさん、おめでとうございます」
「ありがとう。俺もこうして君と過ごすことができて嬉しいよ。だけどそれは部屋に戻ってから、ゆっくり聞かせてもらうとして──今日はとびきり甘いデザートが食べたい気分なんだ」
「ダグラスさん、甘いものなんてお好きで──」
私が言い終わらない内にいきなり唇を重ねられた。
先程飲んだトロピカルジュースの味が残っているせいか、口付けはどこまでも甘く、溶けてゆくチョコレートのように甘美なものだった。
私はその誘惑から逃れられずに、逞しい背に手を回し、口付けを受け入れる。
私の思考は甘い毒によって徐々に奪われていき、太陽を隠す暗黒のベールのように、ゆっくりと理性を溶かされていくのだった。