ダグラス主 隠れ家
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いつもはダグラスさんの誕生日にはアンキュラを訪れ、お母様やセント・ガブリエル号の船員の人達と一緒に盛大にお祝いするのだけど、今回は初めて隠れ家で過ごすことになった。
皆の顔が見れないのは寂しいけど、たまにはこんなふうに過ごすのもいいかな。
初めて隠れ家で迎える彼の誕生日だから、自然と部屋の飾り付けや料理にも力が入るというもの。
ダグラスさんは仕事で不在だけれど、ボニータは留守番なので私の手伝いをしてくれている。
花瓶にリンドウを挿したり、ケーキに苺を乗せてくれたり。一人で全てをやり切るのは難しいからとても助かっている。
「ボニータ、ありがとう。すごく上手にできたね」
「キキッ」
そう言って頭を撫でてあげると、ボニータは嬉しそうに口角を上げて笑った。
まるで子供が親の手伝いをして褒められて喜んでいるように見えてしまい、私もボニータにつられて笑顔になる。
ダグラスさんと付き合うようになって、自然とボニータと関わることも増えてきて、最初はダグラスさんを奪われてしまったような嫉妬で仲良くなるのは難しいと思っていたけど、今ではキスもハグも当たり前のようにしてくれるようになったから、出会ったばかりの頃よりは仲良くなれているかな。
ダグラスさんは今日の仕事は街の視察だけだと言っていたから、夕方までには戻るだろう。
ダグラスさんが隠れ家を訪れる際には、ヨットに乗ってくるのでそれは波に変化を与えるため、天候が穏やかな時ほどよくわかるものだ。
「あ、ボニータ!」
特にそれに敏感に反応してしまうのはボニータで、彼が帰ってきたとわかると玄関先まで走っていく。
いつもは彼の肩にいるんだもの、少し寂しかったのかな。
「ただいま。お姫様が出迎えてくれるとは光栄だね」
「お帰りなさい! ボニータ、寂しかったのよね? 今日一日いい子にしてましたよ。お手伝いもしてくれたし……ね?」
潮の香りを纏って帰ってきたダグラスさんを急がせるように、小さな手はダグラスさんの裾を掴み、テーブルへと誘う。
アンキュラは陸地が狭く、大部分が海であるため、新鮮な魚介類を使った料理が多い。
ダグラスさんが時折振る舞ってくれるものもそうだ。焼いたり煮たり蒸したりと料理法も様々なのだけれど、彼が食べるのは油っこい物が目立っている。
だから今日は肉料理ではあるけれど豚肉の生姜焼きをメインディッシュにした。肉料理だから油っこいことに変わりはないんだけど、生姜をふんだんに使っているから幾分はましかな。
「この香りは……ジンジャーかな?」
「はい、肉料理ですがジンジャーを使っているので油臭さも抑えられますし、食欲のない時にもいいですよ。ほら、まだ夏が過ぎたとはいえ暑いですからね」
「なるほど。まあ食欲のない時は殆どないけど、この香りだけで食が進みそうだね」
ダグラスさんを席に着かせ、私は料理を並べていく。
今日は視察であったため、お酒は我慢しているだろうと思い、赤・白・青のワインを一本ずつ用意した。
全部空けてしまうことになるだろうけれど、今日くらいはいいよね。
毎年お祝いしていると困るのはプレゼント選び。
私が選んだものなら何でも喜んでくれるだろうけど、彼は欲しい物は簡単に手に入れることができる。
だけどやっぱり特別感を出したいから、自分の目で見ていいと思う物を購入するようにしているのだけど、今回はもう既にダグラスさんの服に仕込んである。
そう、ベルトの裏側にビーズ刺繍で作ったブローチを付けたのだけど、バックルの厚みは中々のものなのでダグラスさんは気付いていないかもしれない。
「ダグラスさん、今年のプレゼントなんですけどね」
「ん?」
「もうダグラスさんが持ってるんです。ベルトの裏、見てみて下さい」
じゃあ失礼するよ、とダグラスさんはベルトを外し、裏側に付いてあるブローチを見つめて破顔した。
貼り付けてあるビジューは大きな宝石には劣るけど、上品な輝きはダグラスさんの目利きならきっとわかるはずだ。
ビジューを縁取ったビーズは手頃な値段なものだから、チープではあるけれど。
「これは……ダイヤモンドだね。ローズカットの控えめな煌めきも美しいな」
宝石のことなら私よりもダグラスさんの方が詳しいから、手に取るや否やダグラスさんの蘊蓄は止まらないようで、いつにも増して早口でダイヤモンドについて説明してくる。
ずっと聞いていてもいいのだけど、その前にお祝いの言葉を伝えたくて私はそれを制止する。
「ダイヤモンドは一番硬いそうですから、ダグラスさんを守ってくれたらいいな、と思って。ダグラスさん、お誕生日おめでとうございます。今年もこうしてお祝いすることができて嬉しいです。また来年もその先もこうやって過ごしましょう。ボニータも、ね?」
私の隣ではボニータがダグラスさんに向けて小さな拍手を送る。
ダグラスさんは身を乗り出して、感謝のキスを私の額に送ると少年のような笑顔を見せてくれた。
今日は姫と王子をお休みして、英気を養うとしよう。また明日から務めを果たせるように。
皆の顔が見れないのは寂しいけど、たまにはこんなふうに過ごすのもいいかな。
初めて隠れ家で迎える彼の誕生日だから、自然と部屋の飾り付けや料理にも力が入るというもの。
ダグラスさんは仕事で不在だけれど、ボニータは留守番なので私の手伝いをしてくれている。
花瓶にリンドウを挿したり、ケーキに苺を乗せてくれたり。一人で全てをやり切るのは難しいからとても助かっている。
「ボニータ、ありがとう。すごく上手にできたね」
「キキッ」
そう言って頭を撫でてあげると、ボニータは嬉しそうに口角を上げて笑った。
まるで子供が親の手伝いをして褒められて喜んでいるように見えてしまい、私もボニータにつられて笑顔になる。
ダグラスさんと付き合うようになって、自然とボニータと関わることも増えてきて、最初はダグラスさんを奪われてしまったような嫉妬で仲良くなるのは難しいと思っていたけど、今ではキスもハグも当たり前のようにしてくれるようになったから、出会ったばかりの頃よりは仲良くなれているかな。
ダグラスさんは今日の仕事は街の視察だけだと言っていたから、夕方までには戻るだろう。
ダグラスさんが隠れ家を訪れる際には、ヨットに乗ってくるのでそれは波に変化を与えるため、天候が穏やかな時ほどよくわかるものだ。
「あ、ボニータ!」
特にそれに敏感に反応してしまうのはボニータで、彼が帰ってきたとわかると玄関先まで走っていく。
いつもは彼の肩にいるんだもの、少し寂しかったのかな。
「ただいま。お姫様が出迎えてくれるとは光栄だね」
「お帰りなさい! ボニータ、寂しかったのよね? 今日一日いい子にしてましたよ。お手伝いもしてくれたし……ね?」
潮の香りを纏って帰ってきたダグラスさんを急がせるように、小さな手はダグラスさんの裾を掴み、テーブルへと誘う。
アンキュラは陸地が狭く、大部分が海であるため、新鮮な魚介類を使った料理が多い。
ダグラスさんが時折振る舞ってくれるものもそうだ。焼いたり煮たり蒸したりと料理法も様々なのだけれど、彼が食べるのは油っこい物が目立っている。
だから今日は肉料理ではあるけれど豚肉の生姜焼きをメインディッシュにした。肉料理だから油っこいことに変わりはないんだけど、生姜をふんだんに使っているから幾分はましかな。
「この香りは……ジンジャーかな?」
「はい、肉料理ですがジンジャーを使っているので油臭さも抑えられますし、食欲のない時にもいいですよ。ほら、まだ夏が過ぎたとはいえ暑いですからね」
「なるほど。まあ食欲のない時は殆どないけど、この香りだけで食が進みそうだね」
ダグラスさんを席に着かせ、私は料理を並べていく。
今日は視察であったため、お酒は我慢しているだろうと思い、赤・白・青のワインを一本ずつ用意した。
全部空けてしまうことになるだろうけれど、今日くらいはいいよね。
毎年お祝いしていると困るのはプレゼント選び。
私が選んだものなら何でも喜んでくれるだろうけど、彼は欲しい物は簡単に手に入れることができる。
だけどやっぱり特別感を出したいから、自分の目で見ていいと思う物を購入するようにしているのだけど、今回はもう既にダグラスさんの服に仕込んである。
そう、ベルトの裏側にビーズ刺繍で作ったブローチを付けたのだけど、バックルの厚みは中々のものなのでダグラスさんは気付いていないかもしれない。
「ダグラスさん、今年のプレゼントなんですけどね」
「ん?」
「もうダグラスさんが持ってるんです。ベルトの裏、見てみて下さい」
じゃあ失礼するよ、とダグラスさんはベルトを外し、裏側に付いてあるブローチを見つめて破顔した。
貼り付けてあるビジューは大きな宝石には劣るけど、上品な輝きはダグラスさんの目利きならきっとわかるはずだ。
ビジューを縁取ったビーズは手頃な値段なものだから、チープではあるけれど。
「これは……ダイヤモンドだね。ローズカットの控えめな煌めきも美しいな」
宝石のことなら私よりもダグラスさんの方が詳しいから、手に取るや否やダグラスさんの蘊蓄は止まらないようで、いつにも増して早口でダイヤモンドについて説明してくる。
ずっと聞いていてもいいのだけど、その前にお祝いの言葉を伝えたくて私はそれを制止する。
「ダイヤモンドは一番硬いそうですから、ダグラスさんを守ってくれたらいいな、と思って。ダグラスさん、お誕生日おめでとうございます。今年もこうしてお祝いすることができて嬉しいです。また来年もその先もこうやって過ごしましょう。ボニータも、ね?」
私の隣ではボニータがダグラスさんに向けて小さな拍手を送る。
ダグラスさんは身を乗り出して、感謝のキスを私の額に送ると少年のような笑顔を見せてくれた。
今日は姫と王子をお休みして、英気を養うとしよう。また明日から務めを果たせるように。