ダグラス主 隠れ家
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私はダグラスさんの誕生日プレゼントを選ぶため、王族や貴族御用達のラグジュアリーブランドのタオルショップを訪れていた。
色や素材はバリエーションに富み、なんとも触り心地の良いものばかり。
顧客のメインがロイヤルな方ばかりとの噂だったから、わかってはいたけどお値段は手頃ではなかった。
(タオル一枚でこの値段? 元庶民の私には敷居が高いなあ。タオルだけじゃなくてバスローブもあるんだ)
実際に手に取ってみると、お風呂上がりのボニータのように柔らかな肌触りで、頬擦りしたくなるほどだ。
ただ気になるのはサイズがSとMしかなく、ダグラスさんには少し小さそうだ。私を壊れ物のように抱きしめるダグラスさんの胸の厚みをふと思い出すと、顔が火照りそうになるけれど店員さんがいる手前平静を装う。
「すみません、こちらのバスタオルは2サイズしかないんですか?」
「当日にお渡しすることはできませんが、オーダメイドなら可能ですよ。ご希望のカラーなどはありますか?」
「はい、シルバーグレイとベビーピンクで……」
ボニータは誕生日ではないけれど、ダグラスさんのものと一緒にボニータ用のバスローブもオーダメイドすることにした。
そして三週間後、タオルショップでバスローブを受け取り、当日を迎えるのだった。
室内はパーティー用に飾り付けられ、テーブルにも誕生日に相応しい豪華な料理が並ぶ。
アンキュラらしく海鮮料理をメインに、フライドポテトやチキンナゲットなどお酒を飲みながら食べられるものも用意した。でもそれだけだと体に良くないので、マリネサラダも充分すぎるほどに作ってしまった。
「毎年のことながらこうして生まれた日を祝ってくれるのを嬉しく思うよ。航海から無事生きて帰って来れたんだと改めて実感するんだ」
「私も嬉しいです。ボニータもそうよね?」
「キキッ」
ボニータは料理に夢中で口元にトマトソースを付けたまま、私達を見上げる。
胃袋がそろそろ休憩したがっている頃合いを見計らい、私はクローゼットに隠しておいたピンクとブルーの包装紙で包まれた例のプレゼントをダグラスさんとボニータに手渡した。
「誕生日おめでとうございます。ボニータは誕生日じゃないけど、着たらきっと可愛いと思って。使ってもらえたら嬉しいです」
(私のサイズにぴったりじゃない。ねぇ、どう? それにふわふわしてるし、すごく気持ちいいし着心地も最高で言う事なしね)
「うん、この色にしてよかった。ボニータ、よく似合ってるよ」
ボニータはバスローブに袖を通し、グラビアアイドルさながらのポーズを決めてみせる。ベビーピンクが彼女の愛らしさを引き立てている。
ダグラスさんは丁寧に包装紙からバスローブを取り出すと、ボニータの毛を撫でるようにバスローブを指でなぞる。
「柔らかい肌触りだけど、厚みがあってしっかりした生地だしボリュームもある。随分高かったんじゃないのかい?」
「ダグラスさんって体が大きいから既製品だとボタンが取れたり、破れちゃったりするでしょう? だからオーダーメイドならダグラスさんの体に合わせたものですし、長持ちすると思って」
(とはいえバスローブだけ羽織ったダグラスさん、きっと直視できないだろうけど……)
雫と湯上がりの香りを纏い、バスローブを羽織った彼を想像してみる。
バスローブから覗く褐色の胸筋は存在を主張し、雫は銀髪から刈り上げ部分を通過し、汗のように張り付いたそれは情事の前後を彷彿とさせる。
大柄なダグラスさんは何を着てもボディラインが目立つから、大人の色気を隠すことができず、彼をより魅力的に見せるだろう。
「じゃあ早速今日から使わせてもらおうかな」
「えっ、だ、駄目ですよ。だってまだ洗濯してませんし」
「そりゃあ残念だ。じゃあ今度君のバスローブを買いに行こう。バスローブが準備できたら三人仲良くバスタイムなんてのはどうだい?」
私達がお風呂に入るのはいつも別々で、どちらかがボニータとともに入ることになっている。
私が入浴中にバスルームに侵入してきて、雰囲気に流されて事に至ったという前科がダグラスさんにはあるので、隠れ家で彼と一緒にお風呂に入ったことはない。そういう理由があり、魅力的なお誘いではあるけれど断らざるを得ない。
「ダグラスさんと入ったらゆっくりできないので駄目です」
「今日の君はつれないな。まあそれは次の機会のお楽しみってことにしておこうか。今日は二度もデザートにありつけるんだからね」
「二度……?」
「一度目は君が用意してくれたケーキ。二度目はベッドの上で――これ以上俺の口から言わせるのかい?」
耳元で甘く囁かれ、私の鼓膜は激しく揺れる。
ダグラスさんの歯が耳朶に当たりそうになったところで私は立ち上がり、ケーキを持ってくることを口実にキッチンへと逃げ込んだ。
ケーキを持ってきたら逃げられない――私はそんなことを思いながら、仕方なくケーキを運ぶ準備を始めた。
これはデザートを楽しむ準備ではなく、私がデザートになるための準備に過ぎなかったのだ。
色や素材はバリエーションに富み、なんとも触り心地の良いものばかり。
顧客のメインがロイヤルな方ばかりとの噂だったから、わかってはいたけどお値段は手頃ではなかった。
(タオル一枚でこの値段? 元庶民の私には敷居が高いなあ。タオルだけじゃなくてバスローブもあるんだ)
実際に手に取ってみると、お風呂上がりのボニータのように柔らかな肌触りで、頬擦りしたくなるほどだ。
ただ気になるのはサイズがSとMしかなく、ダグラスさんには少し小さそうだ。私を壊れ物のように抱きしめるダグラスさんの胸の厚みをふと思い出すと、顔が火照りそうになるけれど店員さんがいる手前平静を装う。
「すみません、こちらのバスタオルは2サイズしかないんですか?」
「当日にお渡しすることはできませんが、オーダメイドなら可能ですよ。ご希望のカラーなどはありますか?」
「はい、シルバーグレイとベビーピンクで……」
ボニータは誕生日ではないけれど、ダグラスさんのものと一緒にボニータ用のバスローブもオーダメイドすることにした。
そして三週間後、タオルショップでバスローブを受け取り、当日を迎えるのだった。
室内はパーティー用に飾り付けられ、テーブルにも誕生日に相応しい豪華な料理が並ぶ。
アンキュラらしく海鮮料理をメインに、フライドポテトやチキンナゲットなどお酒を飲みながら食べられるものも用意した。でもそれだけだと体に良くないので、マリネサラダも充分すぎるほどに作ってしまった。
「毎年のことながらこうして生まれた日を祝ってくれるのを嬉しく思うよ。航海から無事生きて帰って来れたんだと改めて実感するんだ」
「私も嬉しいです。ボニータもそうよね?」
「キキッ」
ボニータは料理に夢中で口元にトマトソースを付けたまま、私達を見上げる。
胃袋がそろそろ休憩したがっている頃合いを見計らい、私はクローゼットに隠しておいたピンクとブルーの包装紙で包まれた例のプレゼントをダグラスさんとボニータに手渡した。
「誕生日おめでとうございます。ボニータは誕生日じゃないけど、着たらきっと可愛いと思って。使ってもらえたら嬉しいです」
(私のサイズにぴったりじゃない。ねぇ、どう? それにふわふわしてるし、すごく気持ちいいし着心地も最高で言う事なしね)
「うん、この色にしてよかった。ボニータ、よく似合ってるよ」
ボニータはバスローブに袖を通し、グラビアアイドルさながらのポーズを決めてみせる。ベビーピンクが彼女の愛らしさを引き立てている。
ダグラスさんは丁寧に包装紙からバスローブを取り出すと、ボニータの毛を撫でるようにバスローブを指でなぞる。
「柔らかい肌触りだけど、厚みがあってしっかりした生地だしボリュームもある。随分高かったんじゃないのかい?」
「ダグラスさんって体が大きいから既製品だとボタンが取れたり、破れちゃったりするでしょう? だからオーダーメイドならダグラスさんの体に合わせたものですし、長持ちすると思って」
(とはいえバスローブだけ羽織ったダグラスさん、きっと直視できないだろうけど……)
雫と湯上がりの香りを纏い、バスローブを羽織った彼を想像してみる。
バスローブから覗く褐色の胸筋は存在を主張し、雫は銀髪から刈り上げ部分を通過し、汗のように張り付いたそれは情事の前後を彷彿とさせる。
大柄なダグラスさんは何を着てもボディラインが目立つから、大人の色気を隠すことができず、彼をより魅力的に見せるだろう。
「じゃあ早速今日から使わせてもらおうかな」
「えっ、だ、駄目ですよ。だってまだ洗濯してませんし」
「そりゃあ残念だ。じゃあ今度君のバスローブを買いに行こう。バスローブが準備できたら三人仲良くバスタイムなんてのはどうだい?」
私達がお風呂に入るのはいつも別々で、どちらかがボニータとともに入ることになっている。
私が入浴中にバスルームに侵入してきて、雰囲気に流されて事に至ったという前科がダグラスさんにはあるので、隠れ家で彼と一緒にお風呂に入ったことはない。そういう理由があり、魅力的なお誘いではあるけれど断らざるを得ない。
「ダグラスさんと入ったらゆっくりできないので駄目です」
「今日の君はつれないな。まあそれは次の機会のお楽しみってことにしておこうか。今日は二度もデザートにありつけるんだからね」
「二度……?」
「一度目は君が用意してくれたケーキ。二度目はベッドの上で――これ以上俺の口から言わせるのかい?」
耳元で甘く囁かれ、私の鼓膜は激しく揺れる。
ダグラスさんの歯が耳朶に当たりそうになったところで私は立ち上がり、ケーキを持ってくることを口実にキッチンへと逃げ込んだ。
ケーキを持ってきたら逃げられない――私はそんなことを思いながら、仕方なくケーキを運ぶ準備を始めた。
これはデザートを楽しむ準備ではなく、私がデザートになるための準備に過ぎなかったのだ。
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