五条悟
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激務を乗り切った俺たちは海水浴場へとやってきた。
呪術師の端くれでも、中身はまだ大人になりきれていない。そこらで騒いでる未成年らしき一般人と一緒だ。
違うのは呪力があるかないか、呪いが見えるか見えないか。簡単に言えばそんなもんだ。
「五条くん、みんなの分適当に決めちゃっていい?」
「どうせまた買いにくるだろうし、オマエに任せるわ」
◯◯が自動販売機の前に並んでいると、いかにも軽薄そうな男が割って入るように◯◯の側へとやってきた。
こういう場所ではありきたりなシーンだ。ひと夏の恋を求めてやってくる奴もいるからおかしくはない。
「ねぇ、お姉さん一人? よかったらさ、一緒に遊ばない?」
「すみません。私、一緒に来てる人がいるので……」
黒尽くめの制服で武装している時はまな板のように平らな胸だったはずなのに、黒のビキニを身に纏って、丸みがあって柔かそうな肌を晒している。
あんな凶器を隠していたなんてなんて卑怯なんだろうか。
はっきりと断らない彼女の手を男が掴み、俺は◯◯の側へと歩み寄った。
「俺の彼女に何か用?」
そう言ってサングラス越しに睨みを利かせれば、男は一目散に去っていく。
「ありがとう……恋人でもないのに」
「嘘も方便だろ。オマエがはっきり言わねぇから。これ、羽織っとけよ」
◯◯には大きすぎる俺のパーカーを手渡すと、笑顔でそれに袖を通していた。
他の男にそれ以上肌を見せるな、とは言えなかった。恋人でもなんでもない俺にそんな言葉をかける権利なんてないから。
「ジュースひとつ買うのにどれだけ時間かけてんの? あれ、パーカー着てたっけ」
「ううん、五条くんが貸してくれたの」
「◯◯に似合うと思ってそのビキニ選んだのに。もったいない」
硝子の仕業かよ──そう思いながら心の中で舌打ちをする。
でも水着姿を拝むことができたのは硝子のおかげと言えなくもないので、毒づくのはやめにした。
「私、ちょっと泳いでくるね」
「適当にして帰っといでよ。あんま遠くに行かないようにね」
はいはーい、と生返事をして手を振る◯◯の姿が小さくなっていき、早速海に入ったのか飛び散る飛沫が見えた。
「五条、◯◯ナンパされただろ?」
「わかってんならあんな水着着せんなよ」
「なに言ってんの、眼福ってやつだろ? 普段胸潰してるからわからないけどさ、あの子のスタイルじゃナンパされても仕方ない。それはそうと五条、いいの?」
「何がだよ」
「またあーだこーだ悩んでる間に盗られるよ、ってこと。あの子もまんざらじゃないだろうしさ、さっさと告白して付き合えばいいのに」
「それができてるならもうしてると思うよ? でも硝子が言うことも一理ある。◯◯に前の彼氏ができた時もそうだったからね」
ビーチパラソルの下で缶ジュースに口をつけながら、独りでひたすら泳ぐ◯◯を見つめる。
確かにそれは尤もな言い分だ。同期のやつらで集まるのが当たり前のようになり、次第に◯◯の付き合いが悪くなっていった。もうその時にはあいつの隣には恋人がいた。
何故か◯◯に裏切られたような気になって、知らない男に笑いかけたり肩を寄せたりしているんだと思うだけで苛々するようになり、やっと◯◯への恋心に気付いた。でも時既に遅く。
八つ当たりのように◯◯以外の女子に目を向けたことはあったが、付き合いは長く続かなかった。
自分で言うのもなんだが高身長と容姿に恵まれ、俺が動かずとも向こうからアプローチをかけてくる。でも何もかも無駄だった。彼女の代わりになれるヤツなんて誰もいるはずがなかった。
「どうせなら行動起こしてから後悔したら? 振られたら何か奢るからさ。ぱーっといこ」
「硝子、それは流石によくないと思うけど」
「振られる前提で話進めんの止めろよな」
泳ぎ疲れたのか◯◯がこちらへと戻って来る。
彼女との付き合いはもう3年ほどになる。3年も俺は何もせず只々呆けていたなんて、何だか馬鹿らしく思えてきた。
それもたった二文字の言葉を告げるために、だ。俺はもう箍を外すことに決めた。
「五条くん、泳ぎに行くの? やっぱり夏はこれだよねぇ」
俺の気持ちなんて何も知らない◯◯は相変わらずの笑顔を向けてくる。
手首を掴んで『話がある』と言えば不思議そうな表情をして俺を見つめた。
「五条くん、どこ行くの? あんまり遠くに行ったら硝子ちゃんと夏油くんが……」
人の波を避けて歩いていたら静止する声が俺の歩みを止める。
あんな人混みの中で言えるわけねぇだろ。
人通りが疎らになった場所で◯◯に向き直る。
「俺さ、四人で何年もつるんで気付くの遅すぎたけど──オマエのこと好きなんだわ」
「ご、五条くん……?」
「初めて知りました、って顔すんなよ。オマエが鈍いのは前から知ってたから、はっきり言っといた方がいいと思った。俺もオマエもフリーだし問題なんてねぇよな?」
さっきのさっきまで友人だと思ってた男に告白されて、◯◯は呆けていた。
問題なら星の数ほどある。フリーでも彼女の気持ちがそこにないなら無意味だ。
だから俺は◯◯に逃げ道を用意した。時間を与えた上で◯◯に選択させる──好感度がオトモダチの状態なら、時間と一緒に育てればいいだけだ。
「問題なんて大有りだよ! 急にそんなこと言われても困る……だって友達だと思ってた」
「まあ俺もハッパかけられてやっと動いたクチだけどな。……で、俺から提案がある。三ヶ月だけ付き合って、やっぱり俺のことそういう目で見れないってんなら潔く諦める」
我ながら彼女の人の好さにつけこんだずるい提案だってのは、自分でもわかっていた。
今まで友達としてやってきたんだから、男として意識させるのはそう難しいことじゃない。
サングラス越しに見る◯◯の頰は紅く染まっていた。羞恥か、照れか、はたまた両方かはわからねぇけど。
「わかった。でも友達としての五条くんしか知らないのは事実だから。知った上で決めたいの、それでもいい?」
水滴を纏った◯◯は妙な色香を放っていて、抱きしめたい衝動に駆られたが理性を総動員して頷いた。
言ったからには準備は抜かりなく。三ヶ月後のオマエがどんな表情してくれるのか、今から楽しみだ。
呪術師の端くれでも、中身はまだ大人になりきれていない。そこらで騒いでる未成年らしき一般人と一緒だ。
違うのは呪力があるかないか、呪いが見えるか見えないか。簡単に言えばそんなもんだ。
「五条くん、みんなの分適当に決めちゃっていい?」
「どうせまた買いにくるだろうし、オマエに任せるわ」
◯◯が自動販売機の前に並んでいると、いかにも軽薄そうな男が割って入るように◯◯の側へとやってきた。
こういう場所ではありきたりなシーンだ。ひと夏の恋を求めてやってくる奴もいるからおかしくはない。
「ねぇ、お姉さん一人? よかったらさ、一緒に遊ばない?」
「すみません。私、一緒に来てる人がいるので……」
黒尽くめの制服で武装している時はまな板のように平らな胸だったはずなのに、黒のビキニを身に纏って、丸みがあって柔かそうな肌を晒している。
あんな凶器を隠していたなんてなんて卑怯なんだろうか。
はっきりと断らない彼女の手を男が掴み、俺は◯◯の側へと歩み寄った。
「俺の彼女に何か用?」
そう言ってサングラス越しに睨みを利かせれば、男は一目散に去っていく。
「ありがとう……恋人でもないのに」
「嘘も方便だろ。オマエがはっきり言わねぇから。これ、羽織っとけよ」
◯◯には大きすぎる俺のパーカーを手渡すと、笑顔でそれに袖を通していた。
他の男にそれ以上肌を見せるな、とは言えなかった。恋人でもなんでもない俺にそんな言葉をかける権利なんてないから。
「ジュースひとつ買うのにどれだけ時間かけてんの? あれ、パーカー着てたっけ」
「ううん、五条くんが貸してくれたの」
「◯◯に似合うと思ってそのビキニ選んだのに。もったいない」
硝子の仕業かよ──そう思いながら心の中で舌打ちをする。
でも水着姿を拝むことができたのは硝子のおかげと言えなくもないので、毒づくのはやめにした。
「私、ちょっと泳いでくるね」
「適当にして帰っといでよ。あんま遠くに行かないようにね」
はいはーい、と生返事をして手を振る◯◯の姿が小さくなっていき、早速海に入ったのか飛び散る飛沫が見えた。
「五条、◯◯ナンパされただろ?」
「わかってんならあんな水着着せんなよ」
「なに言ってんの、眼福ってやつだろ? 普段胸潰してるからわからないけどさ、あの子のスタイルじゃナンパされても仕方ない。それはそうと五条、いいの?」
「何がだよ」
「またあーだこーだ悩んでる間に盗られるよ、ってこと。あの子もまんざらじゃないだろうしさ、さっさと告白して付き合えばいいのに」
「それができてるならもうしてると思うよ? でも硝子が言うことも一理ある。◯◯に前の彼氏ができた時もそうだったからね」
ビーチパラソルの下で缶ジュースに口をつけながら、独りでひたすら泳ぐ◯◯を見つめる。
確かにそれは尤もな言い分だ。同期のやつらで集まるのが当たり前のようになり、次第に◯◯の付き合いが悪くなっていった。もうその時にはあいつの隣には恋人がいた。
何故か◯◯に裏切られたような気になって、知らない男に笑いかけたり肩を寄せたりしているんだと思うだけで苛々するようになり、やっと◯◯への恋心に気付いた。でも時既に遅く。
八つ当たりのように◯◯以外の女子に目を向けたことはあったが、付き合いは長く続かなかった。
自分で言うのもなんだが高身長と容姿に恵まれ、俺が動かずとも向こうからアプローチをかけてくる。でも何もかも無駄だった。彼女の代わりになれるヤツなんて誰もいるはずがなかった。
「どうせなら行動起こしてから後悔したら? 振られたら何か奢るからさ。ぱーっといこ」
「硝子、それは流石によくないと思うけど」
「振られる前提で話進めんの止めろよな」
泳ぎ疲れたのか◯◯がこちらへと戻って来る。
彼女との付き合いはもう3年ほどになる。3年も俺は何もせず只々呆けていたなんて、何だか馬鹿らしく思えてきた。
それもたった二文字の言葉を告げるために、だ。俺はもう箍を外すことに決めた。
「五条くん、泳ぎに行くの? やっぱり夏はこれだよねぇ」
俺の気持ちなんて何も知らない◯◯は相変わらずの笑顔を向けてくる。
手首を掴んで『話がある』と言えば不思議そうな表情をして俺を見つめた。
「五条くん、どこ行くの? あんまり遠くに行ったら硝子ちゃんと夏油くんが……」
人の波を避けて歩いていたら静止する声が俺の歩みを止める。
あんな人混みの中で言えるわけねぇだろ。
人通りが疎らになった場所で◯◯に向き直る。
「俺さ、四人で何年もつるんで気付くの遅すぎたけど──オマエのこと好きなんだわ」
「ご、五条くん……?」
「初めて知りました、って顔すんなよ。オマエが鈍いのは前から知ってたから、はっきり言っといた方がいいと思った。俺もオマエもフリーだし問題なんてねぇよな?」
さっきのさっきまで友人だと思ってた男に告白されて、◯◯は呆けていた。
問題なら星の数ほどある。フリーでも彼女の気持ちがそこにないなら無意味だ。
だから俺は◯◯に逃げ道を用意した。時間を与えた上で◯◯に選択させる──好感度がオトモダチの状態なら、時間と一緒に育てればいいだけだ。
「問題なんて大有りだよ! 急にそんなこと言われても困る……だって友達だと思ってた」
「まあ俺もハッパかけられてやっと動いたクチだけどな。……で、俺から提案がある。三ヶ月だけ付き合って、やっぱり俺のことそういう目で見れないってんなら潔く諦める」
我ながら彼女の人の好さにつけこんだずるい提案だってのは、自分でもわかっていた。
今まで友達としてやってきたんだから、男として意識させるのはそう難しいことじゃない。
サングラス越しに見る◯◯の頰は紅く染まっていた。羞恥か、照れか、はたまた両方かはわからねぇけど。
「わかった。でも友達としての五条くんしか知らないのは事実だから。知った上で決めたいの、それでもいい?」
水滴を纏った◯◯は妙な色香を放っていて、抱きしめたい衝動に駆られたが理性を総動員して頷いた。
言ったからには準備は抜かりなく。三ヶ月後のオマエがどんな表情してくれるのか、今から楽しみだ。
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