離れてはいられなくて
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ミアレのこの土地は私にとって、ふるさとのような場所だ。今はまだ、どこかへ移り住むという考えはない。しかし、時には別の景色を見に行きたくて気分転換に、しばらくミアレの土地を離れていた。MZ団のみんなには数週間で戻ると伝え、ホテルZの202号室は、変わらず自分の住処として残してもらった。どんなに遠くへ行っても私の帰る場所だ。
「こんにちは。ジプソさん、いつもお世話になってます。数週間ほどジョウト地方に単身で旅行行ってきました。お土産です。」
セイカはサビ組事務所にいるジプソに連絡し、下まで降りてきてくれるようにお願いした。
ジョウト地方のご当地名物であるチョウジタウンのいかりまんじゅうが入った紙袋をジプソに渡す。部下たちにも配れるよう個数も有り余るくらいある。
「ありがとうございます。」
「それでですね。ジョウトには野生のエアームドが生息しているんですけど、あの鋭い目付き、本当にかっこいいですよね!」
ジョウトでの体験話が楽しくなって話し込んでしまった。
「あ、すみません!話し込んでしまって!」
「いえ、私は大丈夫です。・・・セイカさん、ボスにもお会いすればいいのに。」
「お仕事の邪魔するわけにはいかないので。それでは!」
その先の話を聞くのが怖く。呼び止める間もなくその場を後にした。
(ふー・・・。危なかった。さすがに数週間留守でお土産なしも悪いと思ってたけど、やっぱりまだ・・・。)
あの事務所にいるだけで胸が苦しくなる。鼓動が高まる胸を抑えつけるように胸に手を添える。会いたくないわけではない。会いたいけど、あの人の顔がみれない。ざわざわするから行くのを避けるようにしていた。旅行をしたきっかけも、ミアレにいると落ち着かなくて気晴らしのためだった。
「カラスバさま、セイカさんからお土産いただきました。」
ジプソは事務所に戻り、受け取ったお土産を誰から頂いたかを伝えた。極々普通の業務対応だ。
「・・・おおきに。」
カラスバの目線は遠くにあった。返事も単調でかなり機嫌を損ねているのがわかった。ジプソはその原因を察している。カラスバの目の前にあるノートパソコンのデスクトップには、先程まで見ていたであろう事務所前の防犯カメラの映像が映っていた。
カラスバは目を瞑り、しばらく考え込み、ノートパソコンを閉じる。
「・・・ジプソ、ちょっと出る。下のもんも、今日はもう上がってもらい。」
そういって、カラスバは一人でエレベーターに乗り込んで下って行った。
「かしこまりました。」
ジプソにお土産を渡した後、セイカは真っ直ぐホテルZへ戻り、ロビーのいつもの椅子に座って、デウロとジョウト地方の土産話で盛り上がっていた。
「・・・でねー!マツバさんって知ってる?本物はもっとかっこよかった~!」
「知ってる!私はミナキさんって人が好きなんだよね~。スイクン関連の情報は常にその人のチェックしてるんだよ~!」
「デウロは水タイプのポケモンがお気に入りだもんね!」
─ガチャ
ホテル玄関の扉が開くと、黒い服装の男が無言の圧で二人に向かって歩き出す。その男の目線と体の向きは、しっかりセイカを捕らえている。
セイカがこのミアレで最も会いたくて、最も会いたくなかった人物がセイカの前に立ち止まると無表情で見下ろす。目線を逸らせることはできなかった。セイカは初めて目の前の男に恐怖を感じた。ガイの借金発覚後、初めて会った時の緊張感とは違う。脅えた目で目の前の男を逸らせずにみていると彼は大きなため息をする。
「こいつ借りるで。」
デウロに断れるはずもない断りを入れた。デウロに向けた表情は穏やかであった。例えるなら営業スマイルだろうか。
「ど、どうぞ…。」
デウロは冷や汗をかきながら笑顔で手を振る。
セイカの手首を掴み、連れられてきたのは、サビ組事務所の中にある、初めて訪れる部屋だった。道中、掴むその手は、弱くもないが多少の力がないと解けない。彼が怒っていることはその握力からでも十分に伝わっていた。
解けた時には、目の前は彼の顔と、その後ろには天井の照明器具、そして、自身はベッドの上に仰向けになっていた。とんでもない状況なのはすぐに理解できた。
「カ、カラスバさん・・・!?」
「お前なんでオレを避けるねん。」
「え、避けては・・・。」
「避けてるやん。」
「そ、それは・・・・・。」
理由がないわけではない。でも説明できない。
顔を横に反らすが、カラスバの左手で顎を掴まれ、強制的に真っ正面で彼の顔を捕らえる。
「こっち見ぃ。」
「・・・だって!・・・わ、わからない…。というか、カラスバさん見るとなんか苦しくて・・・。」
涙目になりながら、目線をそのままに彼に訴える。
「・・・。オレはお前がいない方が苦しいちゅうに・・・。」
カラスバはセイカに軽く体重を乗せると顔の横にうずめて呟く。
「・・・?」
「好きや。セイカ・・・。」
「えっ・・・?・・・カ、ラスバ、さん?」
夢に見ていた言葉にドクンと胸の鼓動が高鳴り、頭の奥へ熱がざわざわと伝わる。自分自身でも気付かないようにしていた心の内を理解する。
「・・・わ、私、いつの間にか。サビ組事務所に入ると、ドキドキしてしまって苦しかったんです。・・・でも、付かず離れずの関係でいなきゃって思って・・・。しつこくして嫌われるのも嫌だなって。・・・カラスバさんのこと忘れないとって。」
「それで避けてたん?・・・ほんと罪やな。なんで忘れられなあかんねん。」
カラスバは体を起こすとさっきよりも近い距離でセイカを見下ろす。赤らんだ顔を照明の灯りをバッグに隠していた。やっと彼の顔がほころんだ。
「ご、ごめんなさい・・・。だってカラスバさん・・・かっこいいから。・・・わ、私もカラスバさんのこと、好きで好きで・・・本当は、もっとそばにいたい。」
彼の心が自分に向いてた嬉しさに、セイカの目は貯めていた涙が溢れだすと、胸の内に秘めていた感情が露になり、その涙は頬を伝う。
「いいんですか?私で・・・。」
「いいんですか、じゃないわ。何度も言わせんなや。その口塞ぐで。」
「それはそれで、私が嬉しくなります・・・。」
しばらく、見つめるとカラスバは優しく唇を重ねる。
「んっ・・・カラスバさん・・・もう怒ってない?」
「ん~、監視もほどほどにしてたけど、次なんも言わずにあっちこっちいくなら、これからもっと厳しくしなあかんくなる。もしくは、この部屋に閉じ込めてしてまうか。それが嫌ならちゃんと会って話してな。」
「・・・はい。・・・旅行先でもカラスバさんと似たような方言聞いたら、カラスバさんがいてくれたらな~とか、もうずっとカラスバさんのことばかり気になって・・・。」
「なんや、かわえぇな。カラスバさんいないとダメな身体になってるやん。・・・でも、こわいおもいさせて堪忍な。」
撫でるように優しく頬に手を添える。カラスバのコワいところも優しいところも刺激的で溺れ、深みにはまって抜け出せない。
「・・・ううん、私はカラスバさんの優しいところ、知ってるし、その顔も好き・・・。」
「ほんま、返したない・・・。今日は返さんで。」
カラスバはうんと強くセイカを抱きしめた。
─終─
「こんにちは。ジプソさん、いつもお世話になってます。数週間ほどジョウト地方に単身で旅行行ってきました。お土産です。」
セイカはサビ組事務所にいるジプソに連絡し、下まで降りてきてくれるようにお願いした。
ジョウト地方のご当地名物であるチョウジタウンのいかりまんじゅうが入った紙袋をジプソに渡す。部下たちにも配れるよう個数も有り余るくらいある。
「ありがとうございます。」
「それでですね。ジョウトには野生のエアームドが生息しているんですけど、あの鋭い目付き、本当にかっこいいですよね!」
ジョウトでの体験話が楽しくなって話し込んでしまった。
「あ、すみません!話し込んでしまって!」
「いえ、私は大丈夫です。・・・セイカさん、ボスにもお会いすればいいのに。」
「お仕事の邪魔するわけにはいかないので。それでは!」
その先の話を聞くのが怖く。呼び止める間もなくその場を後にした。
(ふー・・・。危なかった。さすがに数週間留守でお土産なしも悪いと思ってたけど、やっぱりまだ・・・。)
あの事務所にいるだけで胸が苦しくなる。鼓動が高まる胸を抑えつけるように胸に手を添える。会いたくないわけではない。会いたいけど、あの人の顔がみれない。ざわざわするから行くのを避けるようにしていた。旅行をしたきっかけも、ミアレにいると落ち着かなくて気晴らしのためだった。
「カラスバさま、セイカさんからお土産いただきました。」
ジプソは事務所に戻り、受け取ったお土産を誰から頂いたかを伝えた。極々普通の業務対応だ。
「・・・おおきに。」
カラスバの目線は遠くにあった。返事も単調でかなり機嫌を損ねているのがわかった。ジプソはその原因を察している。カラスバの目の前にあるノートパソコンのデスクトップには、先程まで見ていたであろう事務所前の防犯カメラの映像が映っていた。
カラスバは目を瞑り、しばらく考え込み、ノートパソコンを閉じる。
「・・・ジプソ、ちょっと出る。下のもんも、今日はもう上がってもらい。」
そういって、カラスバは一人でエレベーターに乗り込んで下って行った。
「かしこまりました。」
ジプソにお土産を渡した後、セイカは真っ直ぐホテルZへ戻り、ロビーのいつもの椅子に座って、デウロとジョウト地方の土産話で盛り上がっていた。
「・・・でねー!マツバさんって知ってる?本物はもっとかっこよかった~!」
「知ってる!私はミナキさんって人が好きなんだよね~。スイクン関連の情報は常にその人のチェックしてるんだよ~!」
「デウロは水タイプのポケモンがお気に入りだもんね!」
─ガチャ
ホテル玄関の扉が開くと、黒い服装の男が無言の圧で二人に向かって歩き出す。その男の目線と体の向きは、しっかりセイカを捕らえている。
セイカがこのミアレで最も会いたくて、最も会いたくなかった人物がセイカの前に立ち止まると無表情で見下ろす。目線を逸らせることはできなかった。セイカは初めて目の前の男に恐怖を感じた。ガイの借金発覚後、初めて会った時の緊張感とは違う。脅えた目で目の前の男を逸らせずにみていると彼は大きなため息をする。
「こいつ借りるで。」
デウロに断れるはずもない断りを入れた。デウロに向けた表情は穏やかであった。例えるなら営業スマイルだろうか。
「ど、どうぞ…。」
デウロは冷や汗をかきながら笑顔で手を振る。
セイカの手首を掴み、連れられてきたのは、サビ組事務所の中にある、初めて訪れる部屋だった。道中、掴むその手は、弱くもないが多少の力がないと解けない。彼が怒っていることはその握力からでも十分に伝わっていた。
解けた時には、目の前は彼の顔と、その後ろには天井の照明器具、そして、自身はベッドの上に仰向けになっていた。とんでもない状況なのはすぐに理解できた。
「カ、カラスバさん・・・!?」
「お前なんでオレを避けるねん。」
「え、避けては・・・。」
「避けてるやん。」
「そ、それは・・・・・。」
理由がないわけではない。でも説明できない。
顔を横に反らすが、カラスバの左手で顎を掴まれ、強制的に真っ正面で彼の顔を捕らえる。
「こっち見ぃ。」
「・・・だって!・・・わ、わからない…。というか、カラスバさん見るとなんか苦しくて・・・。」
涙目になりながら、目線をそのままに彼に訴える。
「・・・。オレはお前がいない方が苦しいちゅうに・・・。」
カラスバはセイカに軽く体重を乗せると顔の横にうずめて呟く。
「・・・?」
「好きや。セイカ・・・。」
「えっ・・・?・・・カ、ラスバ、さん?」
夢に見ていた言葉にドクンと胸の鼓動が高鳴り、頭の奥へ熱がざわざわと伝わる。自分自身でも気付かないようにしていた心の内を理解する。
「・・・わ、私、いつの間にか。サビ組事務所に入ると、ドキドキしてしまって苦しかったんです。・・・でも、付かず離れずの関係でいなきゃって思って・・・。しつこくして嫌われるのも嫌だなって。・・・カラスバさんのこと忘れないとって。」
「それで避けてたん?・・・ほんと罪やな。なんで忘れられなあかんねん。」
カラスバは体を起こすとさっきよりも近い距離でセイカを見下ろす。赤らんだ顔を照明の灯りをバッグに隠していた。やっと彼の顔がほころんだ。
「ご、ごめんなさい・・・。だってカラスバさん・・・かっこいいから。・・・わ、私もカラスバさんのこと、好きで好きで・・・本当は、もっとそばにいたい。」
彼の心が自分に向いてた嬉しさに、セイカの目は貯めていた涙が溢れだすと、胸の内に秘めていた感情が露になり、その涙は頬を伝う。
「いいんですか?私で・・・。」
「いいんですか、じゃないわ。何度も言わせんなや。その口塞ぐで。」
「それはそれで、私が嬉しくなります・・・。」
しばらく、見つめるとカラスバは優しく唇を重ねる。
「んっ・・・カラスバさん・・・もう怒ってない?」
「ん~、監視もほどほどにしてたけど、次なんも言わずにあっちこっちいくなら、これからもっと厳しくしなあかんくなる。もしくは、この部屋に閉じ込めてしてまうか。それが嫌ならちゃんと会って話してな。」
「・・・はい。・・・旅行先でもカラスバさんと似たような方言聞いたら、カラスバさんがいてくれたらな~とか、もうずっとカラスバさんのことばかり気になって・・・。」
「なんや、かわえぇな。カラスバさんいないとダメな身体になってるやん。・・・でも、こわいおもいさせて堪忍な。」
撫でるように優しく頬に手を添える。カラスバのコワいところも優しいところも刺激的で溺れ、深みにはまって抜け出せない。
「・・・ううん、私はカラスバさんの優しいところ、知ってるし、その顔も好き・・・。」
「ほんま、返したない・・・。今日は返さんで。」
カラスバはうんと強くセイカを抱きしめた。
─終─
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