このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

混乱

夜になるのを待った。
詳しい話は夜にゆっくり話すとゲーニッツが言ったからだ。
夕飯を済ませコーヒーを淹れて2人は向かい合って座った。
「どこから話したらいいでしょう…。オロチの事からですかね」
そう言いだしゲーニッツが淡々と話し始めた。
ゲーニッツはオロチ一族の1人。他にもゲーニッツを含め8人いると言う。
そのオロチは地球意思の神でありゲーニッツはその神に忠誠心を持っている事。
神、オロチはこの〝負の感情〟が蔓延したことで地球の平衡感覚を戻すため今いる人類を消す事を考えている。
そしてそのオロチを復活させるためゲーニッツはいると言う事だった。
「少し難しかったですかね?オロチの事でもう少し話しましょうか。林子さんが気になっていた風の事です」
先程話したオロチ一族が8人いる中のうち4人、四天王と言われる人たちが居てゲーニッツもその1人に入る。
四天王は自然の力を使えて、炎、大地、雷、風、がありゲーニッツは風を操れる力を持つ。
「そこでルガール、と言う男の事も絡めましょう」
オロチの力は神の力であって到底人が操れるような力ではない事。
が、ルガールはその力に目を付けて自らその力を手に入れようとした。
不完全なオロチの力を持ってしまっているが完全にその力を取り込もうとして今回の事が起きたのではないかとゲーニッツは憶測を話す。
「私も驚いています。まだルガールと言う男がこの力に興味がある事に」
ゆっくりとわかりやすく話したつもりだったが林子には空想の話にしか聞こえなかった。
そんな林子は口を開く。
「あ、関係ないかもだけどゲニさんって『人間』ではないの…?」
少し悩んだ様子で答えた。
「神、ではありませんが人間でもないかもしれませんね」
林子が驚くかと思いきやほーっと口を開けてゲーニッツの事を見ていた。
「林子さんと初めて喋った事覚えてますか?『いつか『人』は滅びるもの』と言った事を。」
悩んだ顔したがすぐ思い出したようだった。
「じゃあゲニさんはそれを果たすためにいるってこと?」
そうです。と笑顔で言うが少し悲しそうな顔でもあった。
「私、応援するよ!ゲニさんの大事な使命だし」
突然の言葉にゲーニッツが驚く。
「人類を消すのですよ?林子さんも消えてしまうのですよ…?」
「いいの。大丈夫!だって私ゲニさんの彼女だし大好きな人の願いは私の願いと一緒みたいなもんだから…」
きゅぅうっと胸が締め付けられるゲーニッツ。
人類が消えても彼女を残してでも一緒に居たい。強く思うあまり初めて〝出会わなければよかった〟と思ってしまう。
目頭が熱くなる。
が、彼女に涙を見せまいと堪える。
「…ありがとうございます」
絞り出した声で林子に感謝の意を伝えた。
6/6ページ
スキ