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混乱

林子の目の前には銃を持った男が二人立っていた。
身動きが出来ないよう手足は縛られ口にはガムテープが貼られ声が出せなかった。
恐怖が振り切ってしまい涙も出ない林子だった。
ただ二人の男の話している事がよくわからなかった。
「ゲーニッツってやつ来るんだろうな。こんな女さらっても意味あるのか」
「俺たちを依頼したルガールって男はそう言ってたぜ」
「オロチの力ってものを奪えばいいのか」
「そうだな。無理にも力をかさないようなら女は殺してもいいらしいな」
ルガール、オロチ、力…誰なのかなんの事なのかわからないがゲーニッツを呼ぶ事に林子が誘拐されたのはわかった。
林子は思う、私が知らないゲーニッツの本当の顔があるのか、と思うと少し悲しかった。
見えてる彼がすべてではない。隠したい何かがある。林子は何も知らない。
そうこう考えてると一人の男が林子に近づいた。
「おい、女。今口のテープ外すが変な事するなよ。ゲーニッツって男の事を聞く。」
口元のテープが剝がされる。林子は逃げるチャンスだと思い、男に体当たりをした。
急にな出来事に男が持っていた銃が不発した。
大きな音が響き渡る。衝撃で林子が倒れる。
「ゲニさん助けて!!」
これでもかと声を出したが林子の頭が揺れる。男に足で踏まれ押さえつけられた。
「女、次はねぇからな…!」
林子の顔を蹴とばす。蹴られた拍子に口の中が切れ血が滲み出た。
「さあ、ゲーニッツってやろうの事を聞こうか」
目を逸らして「…知らない、です」と林子が声を出す。
〝ゲーニッツ〟って人は知っているが、この男たちが知りたい〝ゲーニッツ〟は林子は知らないのだった。
私は何を知っているのだろうか…?と思うと胸が苦しくなった。
「まあいいか。本人が来ればわかるだろう。大人しくしてろよ」
銃を林子に向ける。何かしようとすれば打たれるのも林子は理解した。
ただただ、沈黙だけが続いた。
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