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混乱

夕焼けで空が赤く染まっていた。
早歩きで歩いている影は長い。
家から一番近いスーパーまでゲーニッツは向かった。
店員さんに林子の特徴を言い来てないかと尋ねるも夕方に交代したばかりで昼間の事はわからないと言われた。
店を出て歩いてる人に救急車などはここに来てないか聞くも誰もが口を揃えて知らないと言う。
すれ違ってもう家に帰ってるかと思い元来た道を戻る。
行く途中は早く歩いていたため道路をよく見ていなかったがふと道の端に見覚えのあるものが落ちていた。
緑色のパンプスが一個、踏まれないように誰かが避けたのがうかがえる。
この靴は林子がよく履いている靴だとすぐにわかった。
靴のあった周りをよく調べると薄暗い路地が近くにあった。
考えたくはなかったが、林子は〝誰か〟に連れていかれたんじゃないかと脳裏に浮かんだ。
誰が、なんのために、林子に危害を加えたのか。
さらわれたのなら警察に連絡、とはゲーニッツは浮かばずこの手で探して殺すしかないと怒りが先に出た。
片方だけの靴を拾い、握りしめ薄暗い路地へ入る。
「林子さん、無事でいてください…」
路地を進んで行くとよく一緒に行く公園に出た。
他に何か手がかりになりそうなものは落ちてないかと探す。
特にこれといったものは見当たらない。
焦燥するゲーニッツ。自分でもこんなに冷静さを保ててないのがわかる。
声を出して林子を探すのも出来ない。連れ去った犯人が何をするかわからないからだ。
すると急に公園の奥の森の方からカラスが一斉に鳴き飛びだすのが目に入った。
ゲーニッツの勘であそこに林子がいるのではないかと察する。
急いで森の方へ向かった。
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