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なんでもない日常。

断末魔のような叫び声が響きわたる。
びくりと身体が跳ねる。
入浴中の彼女、林子に何があったかと思いお風呂場に向かう。
扉を開けようとすると反対側から抑えられた。
「ちょ、ちょっと待って!服着てない…!!」
「どうされましたか?怪我とか…」
「大丈夫!ごめん!あとでちゃんと話すから…!戻ってて!!」
彼女が強い声で言うのでしぶしぶ部屋に戻った。
しばらくすると元気がない林子が部屋にやってきた。
「…体重増えてた。」
ぼそっと林子の口から言葉が出た。
納得したかのようにゲーニッツがさっきの悲鳴の理由がわかった。
「5キロも、5キロもだよ…?!あーんショックぅう…」
悲しんでいる林子にゲーニッツの言葉が詰まる。
見た感じそんな太ったようにも見えないしむしろ出会った当初は細すぎて不安だったのもあったのでいいのでは?とさえ思えた。
でも目の前で悲しんでいる彼女を見てるとこちらも悲しくなるのでどうしたもんかと思っていたがゲーニッツが何か閃いた。
「2人で散歩してみましょうか。軽い運動で」
それなら頑張れそうと林子が言うので明日から一緒に散歩することになった。
 夕方、買い物をして一旦荷物を家に置き近くの広い公園内を歩くことにした。
公園内を林子が疲れるまで歩いた。二人でたくさん歩いた。
空も藍色に染まりかけていた。暗くなる前に帰りましょうかと言い手をつないで家に向かう事にした。
帰ってる途中、たまに買う美味しいパン屋の前で林子の足が止まる。
「あー!揚げパンできたてって書いてある!食べようよ」
ゲーニッツの返答も聞かずパン屋に入っていく。
後から追うがここで買って食べたら意味ないのでは?と思うも笑顔でパンを見ている林子を見て笑い混じりに溜息が出た。
「ゲニさん何食べる?あーこっちのパンも美味しそうだよ!」
最近笑う事が多くなった彼女を見て安心するゲーニッツ。
こうして彼女のつらかった過去も思い出す暇もないぐらい隣で一緒に笑えたらなと思った。
店を出るとすっかり暗くなっていた。
「今日の夕飯はこのパンですかね」
悪戯っぽく問いかける。
「パンは別腹よ!」
そうですか、と呟き再び彼女の手を握った。
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