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なんでもない日常。

最近夕方に2人で買い物に行くのが日課になっていた。
近所のスーパーへ歩いて向かう。たわいのない会話が林子は好きだった。
そんないつものように会話してる最中だった。
「ゲーニッツさん、だと呼ぶのが長いので「ゲニさん」と呼んでいいですかね?」
突然の彼女からの提案で戸惑うゲーニッツ。
自分の名前を呼ばれるのすらあまりないのに呼びやすいからという理由で自分の名前を短くされたのに驚きと嬉しさがゲーニッツにはあった。
「はい。構いませんが…なんか照れますね」
フフフと笑うゲーニッツ。それを見てつられて笑う林子。
「決まりですね!!ゲニさん!」
どこかくすぐったいと感じるゲーニッツだったがそのやり取りが微笑ましかった。
スーパーに着くと最初に目に入るのは野菜売り場だ。
何が安いかな?と林子がまじまじと野菜を見る。
何個か野菜を手に取り、少し進むときのこ売り場が目に入ってきた。
「今日は何のきのこ買いますか?ゲニさん」
そう毎日きのこ売り場に足を止めてはどのきのこが今日は安く良いのがあるかゲーニッツが決めて買っているのだ。
「やはり値段的にもしめじが安くいいですね。えのきも捨てがたいです。あっ今日は舞茸も安いですね。舞茸も買いましょう」
きのこ売り場で真剣にきのこを見て選んでる姿が林子は大好きだった。
いつもは紳士的で優しく凛としてるゲーニッツがおもちゃ売り場に来た子供の様に目を輝かしてるのが林子には可愛く見えていた。
「今日のきのこは決まりましたか?そのきのこで今日は何作りますか?」
「えのきは冷凍してしめじと舞茸を使った料理がいいですね。…ハンバーグが食べたいですね」
「じゃあ今日はハンバーグにしましょう~!ひき肉安いといいですね~」
こんなやり取りが林子にとっては癒しに感じていた。
毎日好きな人と買い物に行き、好きな人の食材を買って、2人で夕飯を決めて帰路に向かうのが、好きな時だった。

買い物が終わり店から出ると少しずつ日が伸びているのがわかった。
真っ赤に染まった空がそこにはあった。
林子がゲーニッツの手に触れる。しかしすぐに離れた。
するとゲーニッツが林子の手に触れ手を握った。
「手、繋ぎたいんですよね?」
そういい横目で林子を見る。
コクン、と頷く林子。
夕日で照らされた顔だったが照れているのがわかった。
(もっと素直になればいいんですがね…)
そう思いながらもそんな林子が可愛く愛おしく感じるゲーニッツだったのだ。
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