お礼画面
『煌めく街路樹に』 ▽峯義孝
「寝てもいいですよ」
心地よいエンジン音だけが聞こえる車内で微睡んでいると、峯のそんな声が降ってきた。
「う、すみません……」
互いに仕事に明け暮れ、都合が会わずにここ最近は全く顔を合わせることが出来ないでいた。
しかし今日は多忙な合間を縫って、峯がこちらの職場まで迎えに来て食事へと誘ってくれたのだった。
久しぶりに恋人に会えた嬉しさに、仕事の疲れなど一気に吹き飛んだものだ。
しかし、食事を楽しんでからの帰路、あらがうことのできない睡魔はどうしても襲い掛かってくる。
「その様子だと最近はろくに眠れていないようだ」
「どうしても今が一番忙しい時期で……」
「椅子も楽なようにして下さい。眠れるときに寝たほうがいい」
「折角会えたのにごめんなさい……。どうも峯さんの運転って心地よくって」
最初は乗り込むのにこれでもかというくらい緊張したこのイエローのスポーツカーも、今となっては心から安らげる場所になっていた。
「フッ、そう言ってもらえて嬉しいですよ。
……ところで、提案なんですが」
眠いところ申し訳ないと続ける峯の方を見やると、ちらりとこちらを横目で見た彼と目が合う。
「一緒に住みませんか。これからは」
「えっ……!」
驚きと嬉しさで、微睡みの中にいた脳が覚醒したのがわかる。
「仕事が多忙でも、同棲してしまえば顔を合わせることくらいは毎日できるかと思いまして」
「し、しましょう!同棲!」
思わず姿勢を正して話す自分の様子に、峯は笑みをこぼした。
「よかった。これからは毎日貴方に会える」
ストレートに甘い言葉を告げる峯に、思わずくらりとした。
彼が自分の気持ちを素直に吐露することは珍しく思えて、更に嬉しくなる。
「ずっと、一緒にいてくださいね」
赤信号によって歩みを止められた車内で、そっとこれからを祝福するようなキスをした。
.220903
「寝てもいいですよ」
心地よいエンジン音だけが聞こえる車内で微睡んでいると、峯のそんな声が降ってきた。
「う、すみません……」
互いに仕事に明け暮れ、都合が会わずにここ最近は全く顔を合わせることが出来ないでいた。
しかし今日は多忙な合間を縫って、峯がこちらの職場まで迎えに来て食事へと誘ってくれたのだった。
久しぶりに恋人に会えた嬉しさに、仕事の疲れなど一気に吹き飛んだものだ。
しかし、食事を楽しんでからの帰路、あらがうことのできない睡魔はどうしても襲い掛かってくる。
「その様子だと最近はろくに眠れていないようだ」
「どうしても今が一番忙しい時期で……」
「椅子も楽なようにして下さい。眠れるときに寝たほうがいい」
「折角会えたのにごめんなさい……。どうも峯さんの運転って心地よくって」
最初は乗り込むのにこれでもかというくらい緊張したこのイエローのスポーツカーも、今となっては心から安らげる場所になっていた。
「フッ、そう言ってもらえて嬉しいですよ。
……ところで、提案なんですが」
眠いところ申し訳ないと続ける峯の方を見やると、ちらりとこちらを横目で見た彼と目が合う。
「一緒に住みませんか。これからは」
「えっ……!」
驚きと嬉しさで、微睡みの中にいた脳が覚醒したのがわかる。
「仕事が多忙でも、同棲してしまえば顔を合わせることくらいは毎日できるかと思いまして」
「し、しましょう!同棲!」
思わず姿勢を正して話す自分の様子に、峯は笑みをこぼした。
「よかった。これからは毎日貴方に会える」
ストレートに甘い言葉を告げる峯に、思わずくらりとした。
彼が自分の気持ちを素直に吐露することは珍しく思えて、更に嬉しくなる。
「ずっと、一緒にいてくださいね」
赤信号によって歩みを止められた車内で、そっとこれからを祝福するようなキスをした。
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