タイムリミットは夜明けまで
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峯は大吾の見舞いに病院を訪れていた。
すると入口の前で倒れかけた女がいて、それを支えてやった。
体調不良により少し歪められたその顔が少し印象的で、なんだか今にも消えてしまいそうな女だったと少し思い返した。
それから大吾の病室を訪れたが、相変わらず意識不明の大吾が横たわってるだけだった。
あの大吾もこんな姿になってしまって、自分の求めているものとはかけ離れてしまった気がした。
唯一の目標であり、生きる理由と成りえた存在がこうして死んだも同然の扱いを受けているのには、只々嫌気がさすだけだ。
うんざりしたような複雑な気持ちで病院を出ると、またあの女がいた。
今度は地べたに這いつくばって何かしている。
声をかけると驚いたようにこちらを見つめる。
事情を聞けば、倒れかけた際にネックレスを落としたという。
受付にまだ聞いていないと言うので、気まぐれに聞いてやることにした。
無事ネックレスもみつかり、その女に渡せば親の形見だと告げられた。
“親”という存在にあまりいい思い出のない自分。
永遠に昏睡状態の大吾を見たあとのむしゃくしゃした気持ちも相まってか、なんだかこの女をどうしようもなくしてやりたいという衝動に駆られた。
__今まで、自分の金と地位と権力で叶わないことは無かった。
どうせこの女も今までの女と同様に抱けるであろうと。
その消えてしまいそうな儚さの中で、俺だけを頼り、縋ればいいと。
食事に誘ったのはそんな暇つぶし程度の気持ちからだった。
_……
「……もしもし、苗字です」
緊張しながら携帯を握る。
夜8時。明日の予定を聞かねばと意を決して名刺の電話番号に電話をかけた。
「あぁ、苗字さんですか。わざわざありがとうございます」
「いえいえ……明日の予定をお聞きしようと思って」
「明日なんですが……空いているのが丁度夜でして。ディナーでも構いませんか?」
「あ、わかりました。はい。大丈夫です、」
やっぱりなんだか峯と話をするのは緊張して片言気味になってしまう。
峯の抑揚のない声は、電話越しだと更に感情が読み取りにくい。
それから時刻を決め、電話を終えた。
明日の19時。
ディナーというくらいだし、峯のような人だ。
それ相応の服装をしなければいけないのではと気づく。
「どうしよう……」
めかしこみすぎるのも、ラフすぎるのも良くない。
入院生活のせいで既に何が入っていたか忘れかけている自分のクローゼットと睨み合う夜になってしまった。
すると入口の前で倒れかけた女がいて、それを支えてやった。
体調不良により少し歪められたその顔が少し印象的で、なんだか今にも消えてしまいそうな女だったと少し思い返した。
それから大吾の病室を訪れたが、相変わらず意識不明の大吾が横たわってるだけだった。
あの大吾もこんな姿になってしまって、自分の求めているものとはかけ離れてしまった気がした。
唯一の目標であり、生きる理由と成りえた存在がこうして死んだも同然の扱いを受けているのには、只々嫌気がさすだけだ。
うんざりしたような複雑な気持ちで病院を出ると、またあの女がいた。
今度は地べたに這いつくばって何かしている。
声をかけると驚いたようにこちらを見つめる。
事情を聞けば、倒れかけた際にネックレスを落としたという。
受付にまだ聞いていないと言うので、気まぐれに聞いてやることにした。
無事ネックレスもみつかり、その女に渡せば親の形見だと告げられた。
“親”という存在にあまりいい思い出のない自分。
永遠に昏睡状態の大吾を見たあとのむしゃくしゃした気持ちも相まってか、なんだかこの女をどうしようもなくしてやりたいという衝動に駆られた。
__今まで、自分の金と地位と権力で叶わないことは無かった。
どうせこの女も今までの女と同様に抱けるであろうと。
その消えてしまいそうな儚さの中で、俺だけを頼り、縋ればいいと。
食事に誘ったのはそんな暇つぶし程度の気持ちからだった。
_……
「……もしもし、苗字です」
緊張しながら携帯を握る。
夜8時。明日の予定を聞かねばと意を決して名刺の電話番号に電話をかけた。
「あぁ、苗字さんですか。わざわざありがとうございます」
「いえいえ……明日の予定をお聞きしようと思って」
「明日なんですが……空いているのが丁度夜でして。ディナーでも構いませんか?」
「あ、わかりました。はい。大丈夫です、」
やっぱりなんだか峯と話をするのは緊張して片言気味になってしまう。
峯の抑揚のない声は、電話越しだと更に感情が読み取りにくい。
それから時刻を決め、電話を終えた。
明日の19時。
ディナーというくらいだし、峯のような人だ。
それ相応の服装をしなければいけないのではと気づく。
「どうしよう……」
めかしこみすぎるのも、ラフすぎるのも良くない。
入院生活のせいで既に何が入っていたか忘れかけている自分のクローゼットと睨み合う夜になってしまった。