第一章 眼を眩ますは浅葱色
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病院からの帰路。
大通りに差し掛かり、横断歩道を渡る。
まだ紅葉も始まっていないというのに、目の前を美しい銀杏がひらりと舞った気がして顔を上げた。
瞬間、耳をつんざく大きなクラクションが鳴り響いた。
驚いて見れば大型トラックが信号を無視してものすごい勢いでこちらに迫りくる。
目の前にいた小さな女の子を精一杯突き飛ばしてトラックから遠ざけた時にはもう、自分の目と鼻の先に車体が迫っていた。
「キャー---!」
遠のいていく意識の中で、誰かが叫んでいるのが聞こえる。
とてつもない衝撃をうけ、吹き飛ばされた自分の身体の感覚は最早何も残っていない。
身体が冷たくなっていくのを感じながら、意識は闇にのまれた。
「……ろ!
起きろ!!!!」
罵声と共にバシャリ、と勢いよく冷たい水を浴びせられた感覚に意識が覚醒していく。
「ん……」
気だるい体を何とか動かし、瞼をゆっくりと開く。
あたりはじっとりと湿度が高い暗闇が広がり、オレンジの光がぼうっと照らしているのだけが頼りだった。
「副長、目を覚ましたようですよ」
先ほど自分に水を被せたであろう男がこちらを覗きこんでいる。
その男の顔には、頭から左目にかけてざっくりと刻まれた大きな傷跡があった。
生々しいその傷跡と、大きく見開かれた瞳に圧倒され、思わず声が出なくなってしまう。
しかし、本当に心臓が止まってしまうのではないかという程の衝撃を受けたのはその直後だった。
傷跡の男に“副長”と呼ばれた男が後ろからこちらを見下ろしている。
その顔が妖しく照らされ、認識できるようになったところで思わず息が止まる。
状況が理解できないまま、心臓が破裂したのではないかというほどドクリドクリと脈を打った。
僅かな光源の中で見えた、愁いを帯びた瞳にしかめられた眉。
そしてぴっちりと撫でつけられた髪はまさしく__……
「___っ、
よ、
義孝さん……っ!?」
死んだはずの、恋人がこちらを見下ろしていた。
大通りに差し掛かり、横断歩道を渡る。
まだ紅葉も始まっていないというのに、目の前を美しい銀杏がひらりと舞った気がして顔を上げた。
瞬間、耳をつんざく大きなクラクションが鳴り響いた。
驚いて見れば大型トラックが信号を無視してものすごい勢いでこちらに迫りくる。
目の前にいた小さな女の子を精一杯突き飛ばしてトラックから遠ざけた時にはもう、自分の目と鼻の先に車体が迫っていた。
「キャー---!」
遠のいていく意識の中で、誰かが叫んでいるのが聞こえる。
とてつもない衝撃をうけ、吹き飛ばされた自分の身体の感覚は最早何も残っていない。
身体が冷たくなっていくのを感じながら、意識は闇にのまれた。
「……ろ!
起きろ!!!!」
罵声と共にバシャリ、と勢いよく冷たい水を浴びせられた感覚に意識が覚醒していく。
「ん……」
気だるい体を何とか動かし、瞼をゆっくりと開く。
あたりはじっとりと湿度が高い暗闇が広がり、オレンジの光がぼうっと照らしているのだけが頼りだった。
「副長、目を覚ましたようですよ」
先ほど自分に水を被せたであろう男がこちらを覗きこんでいる。
その男の顔には、頭から左目にかけてざっくりと刻まれた大きな傷跡があった。
生々しいその傷跡と、大きく見開かれた瞳に圧倒され、思わず声が出なくなってしまう。
しかし、本当に心臓が止まってしまうのではないかという程の衝撃を受けたのはその直後だった。
傷跡の男に“副長”と呼ばれた男が後ろからこちらを見下ろしている。
その顔が妖しく照らされ、認識できるようになったところで思わず息が止まる。
状況が理解できないまま、心臓が破裂したのではないかというほどドクリドクリと脈を打った。
僅かな光源の中で見えた、愁いを帯びた瞳にしかめられた眉。
そしてぴっちりと撫でつけられた髪はまさしく__……
「___っ、
よ、
義孝さん……っ!?」
死んだはずの、恋人がこちらを見下ろしていた。